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http://news.livedoor.com/article/detail/3011692/ から転載。
「温暖化難民」の懸念広がる 海面上昇続く南太平洋のツバル
【アルジャジーラ特約2日】パリで開かれた「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」会合は2日、地球温暖化がもたらす影響について警鐘を鳴らしたが、南太平洋に浮かぶ島国ツバルではその懸念が早くも現実となって表れている。
人口1万人、面積25.9平方キロの同国では過去100年間に海面が10−25センチも上昇、温暖化が進めば同上昇がさらに深刻化すると懸念されている。
このため科学者によると、海面上昇はツバルのさんご礁を破壊すると同時に、海水が同国をのみ込み、住民は住めなくなると予測している。この事態はツバルにとどまらず、近隣の島国にも及ぶという。
ある予測によると、今後海面が40センチ上昇すれば、ツバルの植物は生息不能となる。
今回のIPCC会合は地球温暖化が人類の行為そのものに起因していると警告している。
これに対しツバルの国民の多くは「自分たちはその原因を作っているわけではない」と考えているが、温暖化の影響を世界の中でも真っ先に被り、海面上昇により祖国に住めなくなり、世界で最初の「温暖化難民」になるのは自分たちだろうと懸念を深めている。
ツバルでは現在、島の至る所で海面上昇が見られ、太平洋の波が岸辺を洗い、ラグーン(礁湖)が広がり始めている。
ツバルにとりそれ以上に深刻なのが、地下から海水が地表にわき出して来ることだ。さんご礁でできているツバルの土地は穴ぼこだらけで、それが海水を地表に押し上げ、水溜りをつくるのだ。
同国のパアニ・ラウペパ外務担当相は、国土が狭いため、海水が押し寄せてきたら、国民は逃げる場を失うと懸念する。
さらに、「この島には避難できる山もない。せいぜいできることと言えば、体をヤシの木に結び付け、幸運を祈ることぐらいだ。そこが一番高いからだ」と自嘲気味に話す。
イエファタ・パエニウさんの家はそうした水溜りの中に建っている。大波が来ると、床が海水に洗われてしまうが、パエニウさんはこの家から移ろうとはしない。
「ここが我が家であり、大変だが何とかしのぐことにしている」と話すパエニウさんの顔には作り笑いが浮かぶ。
これに対し若者たちの間には、このツバルから離れたいと思っている者が多い。リック・タウポさんもその1人で、嵐が襲い自宅の庭に大波が襲って来た時に、そう決めたという。
「子どもたちやその次の世代が安全に暮らせる外国に行きたい。このような危険と背中合わせの状況から一刻も早く抜け出したい」と言う。
しかし、いざ難民の資格を得ようとすると、事は簡単には運ばない。ツバルの国民たちが地球温暖化の「犠牲者=難民」としても、果たして彼らを受け入れる国があるのだろうか。
候補の国のひとつがニュージーランドで、2001年に合意された南太平洋諸国間の協定に基づき、同国は毎年、ツバル国民75人を受け入れている。
しかし、同じ南半球の国オーストラリアは、国民1人当たりの温室効果ガス排出量が世界一高いのにもかかわらず、その影響を直接受けているツバル国民を受け入れてはいない。
リックは言う。「辛いことだが、この国には住めなくなるだろう。ここが祖国で、文化も生活もここにあるのにだ」
現在の海面上昇が続くとして、ツバルの”余命”がいつまでかは科学者間でも意見が分かれるが、海面があと40センチ上昇すれば、ツバルから植物は消えるとされる。
ラウペパ外務担当相は、「政府ができることは限られており、最終的には移住を検討せねばならない。大変なことで、国民の怒りを買うのは目に見えている」と話す。
ツバルが海中に沈めば、美しい南太平洋もその重いつけを払わされることになる。ツバルには何十年にもわたって投棄されてきたごみが大量にあり、それが海中に流れ出てしまうからだ。
ツバルの国民の多くは、今回のIPCC報告があまりにも遅すぎ、影響力に乏しいと考えている反面、温室効果ガスの大規模排出諸国が姿勢を変えて、温暖化抑制に動くことに期待を寄せている。
ラウペパ外務担当相が最後に言う。「われわれ人類は”地球丸”という同じ船に乗っているのだ。地球はわれわれ人類のものであり、人類にはこの”地球丸”をいつまでも安全に航海させ続ける責任がある」(翻訳・ベリタ通信=志岐隆司)
2007年02月03日02時01分
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