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中国製冷凍ギョーザによる中毒事件の波紋が広がっている。新たな事実が次々に浮か
んでいるが、謎はむしろ深まるばかりだ。
事件の始まりは、千葉県と兵庫県に住む3家族の10人が、中国の同じ工場でつくら
れたギョーザを食べて中毒症状を起こしたことだ。警察や輸入元などが調べを進めるな
かで、新たに同じ工場製のギョーザ6袋の表面や内側から、中毒の原因になった農薬成
分が検出された。
(中略)
中毒が起きたことが公表されると、日本では中国食品への不安の声が一気に高まった。
中国製というだけで、今回のギョーザとは無関係の冷凍食品がスーパーから撤去され
たり、外食産業でメニューからはずされたりする動きが出た。
中国では、この事件はあまり報道されていない。だが、インターネットでは情報が伝
わり、様々な意見が飛び交っている。なかには、「中国製品を売れなくするための日本
人の陰謀だ」という極端な意見まで流れている。
いまは原因が解明されていないため、不安や憶測、あるいは疑心暗鬼が広がっている
ということだろう。
だが、日本人の食生活はいまや中国食品なしでは成り立たない。中国にとっても、輸
出先として日本はなくてはならない存在だ。中国食品の安全は日中の共通の利益なのだ。
中国人技術者を日本に招いて食品安全の研修をする構想があるのも、共通の利益があ
るからだろう。
小泉元首相の靖国参拝などで冷え込んだ数年前と違って、いまは共同調査を進めやす
い状況にある。首相の相互訪問もあり、両国は信頼関係を少しずつ取り戻しつつある。
今回の事件は、長い間の停滞から再出発したばかりの日中両国にとって、大きな試金
石といえる。冷静に協力し合って解決に導けば、中毒事件の打撃を減らし、成熟した関
係への一歩ともなる。
■ソース(朝日新聞)(中略部分はソースで)
http://www.asahi.com/paper/editorial20080205.html#syasetu1