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http://www.amnesty.or.jp/modules/news/article.php?storyid=406
アムネスティ日本(事務所・東京)の搆美佳理事長は、12月4日付けでオリンピック関係者に書簡を送付し、北京オリンピックに向けた中国政府による人権改善に関する公約にもかかわらず、同国の人権状況が悪化している問題を伝えた。
書簡は、12月9日からローザンヌで開催されるANOC理事会、IOC理事会を控えて、日本オリンピック委員会理事でもあり各国オリンピック委員会連合(ANOC)理事でもある岡野俊一郎氏と国際オリンピック委員会(IOC)副会長の猪谷千春氏、また竹田恒和日本オリンピック委員会(JOC)会長にあてられた。
書簡の中でアムネスティ日本の搆美佳理事長は、(1)外国人ジャーナリストの報道の自由が規制緩和される規定が2007年1月に導入された一方で、国内メディアに対する管理や規制が強化されていること、(2)北京市内の「クリーンアップ」を理由に、適正な司法手続きなしに最長4年の拘禁を許す悪名高い「労働による再教育(労働教養)」を北京市当局が採用したこと、(3)人権擁護活動家への弾圧が急増していることを挙げ、こうした問題がANOCやIOCの理事会で取り上げられ、中国政府に対する懸念を公式に表明するよう求めた。また、IOCが人権に関する中国政府の公約実現に向けて、どのような行動をとっているのかを尋ねた。
「IOCをはじめオリンピック開催に関わるすべての関係者は、『人間の尊厳保持』『普遍的・基本的・倫理的諸原則の尊重』などオリンピック憲章の根本原則に基づき、オリンピックの正の遺産を奨励すべき」であり、「北京オリンピック開幕までに、公約に沿った人権改革が中国政府によって達成されることが、その証しとなるでしょう」と、搆美佳理事長は書簡を締めくくった。
<背景情報>
中国政府は北京オリンピック開催に向けて、「完全な報道の自由」をふくむ国内の人権改善と促進を公約している。中国政府による人権改善の公約はIOCも支持しており、2008年8月の北京オリンピック開幕前に、有意義かつ持続的な改善がもたらされる必要がありと、アムネスティをはじめとする国際人権団体や諸機関は注目している。
アムネスティ・インターナショナルは2007年8月から、「北京オリンピック・カウントダウン」キャンペーンを国際的に開始し、北京オリンピックまでに達成すべき具体的な人権課題として、人権擁護活動家の保護や活動の自由、メディアの自由、拘禁制度などの司法改革、死刑制度について挙げている。
*アムネスティのキャンペーンは、北京オリンピックを人権改善の好機と捉えるものであり、ボイコットを呼びかけるものではありません。
<アムネスティが具体的に無条件釈放を求めている被拘禁者の一例>
(1) オリンピックに向けた建設事業のために、強制立ち退きさせられた住民とともにデモ行進を組織しようとしていた葉国注[ようこくちゅう、Ye Guozhu]氏は、後に拘束され、禁固刑を言い渡された。同氏は看守によって殴打され、電気ショックをかけられるなど拷問を受けており、アムネスティ・インターナショナルは同氏の身の安全を懸念している。
(2) Yang Chunlin氏は、2007年7月6日に拘束され、警察署内で拷問を受けたと言われている。Yang Chunlin氏の手足はそれぞれ鉄のベッドの4つの角に鎖でつながれ、身動きできない状態にされた。同氏は二度、この状態に置かれ、さらに他の被拘禁者が拷問されるところを無理矢理に見させられた。このような拷問は、Yang Chunlin氏が「国家転覆」の罪を自白することを拒否したために行われたと考えられている。実際に同氏が行ったことは、「オリンピックではなく、人権がほしい」という題の署名を集めていただけにすぎない。
◆参考資料
アムネスティ・インターナショナル報告書 ASA17/046/2006 日本語訳「オリンピックへのカウントダウン−守られない人権保護の約束」は、下記サイトからダウンロードできます。
http://www.amnesty.or.jp/uploads/China%20report2006_J.pdf
2007年12月5日