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英国の第2野党の自由民主党の党首、ミング・キャンベル氏が、15日で辞任した。この意味は結構、深い。
まず、ヤフージャパンで産経新聞が報じている。
自民党キャンベル党首が辞任
【ロンドン=木村正人】英野党第2党、自由民主党のキャンベル党首が15日、支持率低迷の責任を取る形で辞任した。同党首は在位約1年半。次期党首は12月中旬までに選ばれる見通し。
同党はイラク戦争反対の立場を鮮明にし、前回の総選挙で議席数を伸ばした。しかし、ブラウン首相がイラク駐留英軍の大幅削減を打ち出すなど米国追随のイラク政策を転換したため、政策の軸を失い支持率が低迷。11日に実施された英紙デーリー・テレグラフの世論調査の支持率で最大野党、保守党が43%と与党、労働党を7ポイント引き離す中、自由民主党は14%と落ち込んだ。このため、同党内の若手からキャンベル党首の指導力を疑問視する声が強まっていた。
(以上産経から)
「結構深い」という意味は、私が見るところ、2つある。1つは、辞任は秋にあると見られていた総選挙が先送りになったことの結果、という側面だ。ブラウン首相は、当初10月か11月と見られていた総選挙が2009年以降に行なわれる(正確には2008年にはない、と言った)と宣言した。ブラウン氏が総選挙を先送りにした(ただし、自分は総選挙をこの秋やると言っていたわけではない、と説明しているが)のは、野党保守党が支持率を伸ばしたことが一因(あるいは決定的理由)と言われている。
もし2009年、あるいは2010年に総選挙があるとすると、それまでキャンベル氏が自由民主党を大きく盛り上げ続けていられるかというと、大きな疑問符がついた。近頃は保守党に向うべき票が自由民主党に流れていたと見られ、保守党が巻き返しで支持率が上がっているので、自民党にとっては苦しい時期となる。何とかしなければ・・・という雰囲気が党内に濃厚になっていた。
もう1つの側面は、「年齢」だ。最初の理由と関連してくるのだが、2009年か2010年に総選挙があるとすると、キャンベル氏は現在66歳なので、 68―69歳になってしまう。キャンベル氏は「年寄りだ」という点で、様々な風刺の対象になってきたので、さらに自民党は分が悪いことになる。
66歳で「年寄り」とされて、戯画化の対象になるなんて、考えてみると、残酷ではある。高齢ゆえにキャンベル氏が何かに失敗したということも(党首としての最初の議会での質問はおたおたしてしまったけれども)、特にはないのだが、「キャンベル氏=60代=年寄り」というイメージができてしまったのである。前の党首チャールズ・ケネディー氏が1999年の党首就任で39歳から40歳ぐらいということで若かったので、特に目立つことにもなった。
英国の政治は、40歳前後の人がトップになって動く傾向が、ブレア元首相(43歳で首相)のあたりから、普通になってきたようだ。第1野党保守党のデビッド・キャメロン氏も41歳。ブラウン首相は55歳だが、次のリーダーとして、やはり41歳のデビッド・ミリバンド氏の名前があがっている。
つまり、40代ぐらいの年齢の人物を上におく英国の政治の流れができてしまっている。この流れにキャンベル氏が乗れなかった。年齢だけは誰も変えることはできない。つらいものだ。
次の党首は誰になるのか?有力候補の一人がニック・クレッグ氏である。〔右写真はウイキペディアより)今年で40歳。5年間欧州議会議員として経験を積んだが、英下院議員になったのは2005年から。ほんの2年前なのである。英国で開催される欧州関係の会議などにもよく出席しており、現在は影の内務大臣として活躍している。それでも、彼がなるかどうかは分からない。本人は「次の次」の党首を狙ってきたのではないか、と私は見ている。
総選挙後、自由民主党が政権党になることは今のところありえないが、保守党か労働党が政権を握ったら、クレッグ氏も中に入るといいなと思っている。(1997年、ブレア政権誕生前夜、当時の自民党の党首パディー・アシュダウン氏を、ブレア氏が政権に参加するように画策したが、党内の反対にあって実現しかなったという経緯がある。)
http://ukmedia.exblog.jp/7194329/