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日本軍事情報センター(神浦元彰氏)より転載
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(↓読者よりのメール *kame注)
メールにお返事
ミャンマーで亡くなった長井さんの写真の件で(9月29日)
届いたメール
はじめてメールします。00通信に勤めている0000といいます。
ロイターは腕を挙げている写真のほか、その直後と思われるもう1枚を配信しています。上がっていた腕は地面に着いています。拡大してみたところ、右胸の腹に近い部分に弾痕と思わしき跡がありました。心臓を貫通しているのであれば、右胸から入った弾が斜め上に抜けことになります。そうだとするとと、地面に当たって跳ねた弾だった可能性もなきにしもあらずです。
日本の新聞社はよほどの例外を除いて死体写真を掲載しません。今回は、例外に当たると考えた毎日と通常通りの判断をしたそれ以外ということだと思います。
ああいった現場で、目立つ格好がいいのか群集に紛れる方が良いのか一概には言えない。その場その場で判断するしかない難しい問題です。銃を持っている側が外国人記者を狙っている場合は群集と同じ格好がいいし、群集だけを狙っているようなら長井さんのように明らかに外国人らしい格好がいい。長井さんはミャンマー人ならまず身に付けない短パンをはいており(ロイターは、地元民とは異なる短パン姿としていました)、目立つ格好でした。日本人がサンダルにシャツ、ロンジーなら地元の人と見分けはつきません。長井さんは当然、そのことを分かった上で短パンの方がいいという判断だったのでしょう。
追伸
さきほど、「右胸から入った弾が斜め上に抜けた可能性」とメールに書きましたが、これは正面から撃たれた場合であり、逃げる途中で背中から撃たれたなら心臓の辺りを狙って右胸の下から抜けたのかもしれません。
ちなみに、右胸の腹に近い方にあった跡というのは、シャツに穴が開き、肌色が見えているという程度で、そこから弾が入ったのか抜けたのかは分かりません
(↓神浦氏よりのコメント *kame注)
コメント
この件に関して、多くの方から映像に関する情報のメールを頂きました。ありがとうございました。
ヤンゴンで短パン姿はミャンマー人ではなく外国人という見方をされるのですか。そのことを知りませんでした。だったら長井さんには安全のために目立つ姿という認識があった可能性がありますね。自分の経験として、観光ビザで入国して取材しているため、PRESSとかNEWS(あるいは現地語で「報道」)といったゼッケンを使うことに抵抗があります。
そうそう、今回、ミャンマーに長井さんの遺体を引き取りに行ったAPFの山路さんは、91年頃に会社を立ち上げた際、カンボジアのシェムリアップで白地に「APF」と書いた大きな旗を掲げ、借り上げた自動車で走っているのを見たことがあります。私は外国通信社のAFPと誤認し、なぜ大手通信社があんな大きな旗を掲げて走っているのかわかりませんでした。まだ火薬の臭いが残るシェムリアップで異様に目立っていました。
それから長井さんが射殺された写真(ロイター配信)の拡大(鮮明)と、射殺時のビデオ映像(ヤンマーの民主組織が配信)を、昨日の夕方にテレビ局の報道部で見ました。写真では長井さんの右脇腹に銃弾が貫通した血痕がありました。出血が少ないので、その弾が心臓を貫通し、それで血圧が急激に下がって出血が少ないと思いました。弾が体を貫通したもう一方は、左背中の上部ではないでしょうか。長井さんの前方から撃った場合は、兵士は至近距離から銃を低い位置の腰ダメの射撃姿勢で撃ったことになります。しかし後方(背中)から撃った場合は、兵士は至近距離で銃の銃床を肩付けの射撃姿勢で撃ったことになります。
つぎにビデオの映像を見ると、なんとなく背後から撃っているように見えます。(確かではありません)
撃たれた瞬間、長井さんの全身が伸びた姿勢で倒れていました。撃たれて膝をつき、腰を折るような姿勢で倒れていません。これも弾が心臓を貫通したためかと思いました。私が写真とビデオを見た感じでは、長井さんは背後から兵士に至近距離(数メートル)で撃たれ、倒れる時に弾の衝撃で体が半回転して上向きに倒れた様に思えました。
写真で撃った兵士の顔が確認出来ました。撃った兵士がサンダル履きで、軍靴を履いていないのは、山岳地帯などで戦う部隊で、ヤンゴンのような舗装した道路では軍靴が必要ないと考えたのではないでしょうか。ミャンマー軍でも地方の部隊は支給される軍靴は貴重品です。
普段からヤンゴンで治安作戦にあたる部隊は軍靴を履いています。またヤンゴンの人民警察軍も軍靴を履いて行動しているのは確実です。軍政がヤンゴンのデモ鎮圧のために、地方の部隊を投入している証拠になると考えます。射殺した兵士の左上の腕に、赤地の部隊章が確認出来ました。
http://www.kamiura.com/mail.html
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What's New
100人以上の僧侶・市民殺害された
強固な基盤 揺るがず
長井さん使用のビデオ返却されず(産経 10月1日 朝刊)
(↓神浦氏による上記産経紙記事の概要 *kame注)
[概要]ミャンマーで僧侶によるデモを主導した全ビルマ仏教僧連盟の幹部、ウベカー師(37)は潜伏中の中部マンダレーで産経新聞の電話取材に応じて、全国のデモで参加した僧侶と市民の100人以上が殺害され、約1000人が逮捕されたと述べた。
ウベカー師によると、ヤンゴンでは最近3日間に5か所の僧院が軍と警察の混成部隊の襲撃を受けた。午前3時頃に治安部隊が僧院の門を閉鎖して僧侶を閉じこめ、僧侶らを殴りつけてヤンゴン市内のインセイン刑務所に連行した。収容出来ない僧侶約400人がその外側に拘束されているという。
軍政がデモの本格的な武力制圧に乗り出した26日以後、88年の民主化運動で投入された第77軽歩兵師団の姿が見られた。歴史的にビルマ族に厳しく統治され、複雑な民族感情を持つチン族を主体に構成された師団で、「ビルマ人に対して銃を向けることをためらわない」(消息筋)という。軍政は88年の民主化デモの鎮圧経験から、緊急事態に対処できる第77師団のような部隊の育成に力を注いできた。また88年の民主化運動の主役として活動したミン・コー・ナイン氏ら「88年組」とされる活動家の身柄を押さえて、デモのリーダーが生まれないように細心の注意を払った。
バンコクの観測筋は「ミャンマーでは48年の独立後、共産党の半政府運動や各少数民族の分離独立運動を、軍は武力で対応してきた。そのような経験から強固な軍政の基盤は容易に揺るがない」と指摘する。
国連からミャンマーに派遣されたガンバリ特使は、ヤンゴン市内の政府施設でアウン・サン・スー・チーさんと約1時間以上面会した。面談内容は明らかにされていない。軍政がスー・チーさんとの面談を容認したこといについて、「国連に譲歩した姿勢を見せることで、国際社会の不満にガス抜きを図る狙いではないか」(外交筋)という見方をしている。
ヤンゴンでデモを取材中に射殺された長井健司さんのビデオカメラは、APF通信の山路社長に現地警察は予備用でバッグに入っていたビデオ・カメラは返却したが、現場で使っていたカメラは返還はしなかった。
(↓神浦氏による分析 *kame注)
[コメント]ロイターが配信した写真で、長井さんが射殺された時に至近距離にいた兵士が、軍靴をはかずサンダル履きであることに違和感を持った。通常なら考えられないことで、おそらくヤンゴンから遠く離れた山間部に配置された部隊で、ジャングル以外の戦闘ではサンダル履き(素足)が普通の部隊と推測した。それがチン族で編制された第77師団だったようだ。ミャンマー国内では厳しく差別された少数部族で、経済的に貧しく識字率も低いといわれている。チン族の宗教で仏教徒は少ないと思う。だから仏教徒が多いミャンマーで差別されてきた。
長井さんの取材ビデオ・カメラは、混乱して逃げるデモの民衆や、それを警棒で襲いかかる治安部隊の兵士を撮影していることは間違いない。私を含めてカメラマンの本性として、そのような混乱した事態が起これば、無条件にカメラを回すことは理解出来る。そのために長井さんはデモ隊に紛れ込んで取材しているのである。そして手に持っていたビデオの最後のカットは、背中に受けた銃弾の衝撃で体が飛び上がり、地面に激しく倒れるまでの空中を泳ぐ映像と思う。そのような映像が世界のメディアに配信されれば、ミャンマー軍政が受ける打撃は極めて大きい。まさに長井さんが命をかけて告発したメッセージなのである。
国民の民主化運動を弾圧し、軍事独裁の軍政ミャンマーへの怒りは、段々と広がり高まっていくことは間違いない。軍政が民主化の指導者を拘束するなら、これからミャンマーの民主化は小さな川の流れを作ることである。小川が集まって大河になるように。大河になればだれもその勢いを止めることができなくなる。
・・・・・・・・・ 引用終了