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http://news.livedoor.com/article/detail/3326276/
廃墟と化した英バーバリー工場
2007年09月30日14時13分
英国ウェールズ南部に荒れ果てたバーバリーの工場がある。鉄の扉は固く閉じられており、周りには雑草が生い茂っている。「バーバリーの職場を返せ」という大型のステッカーが今も警備室の外に張られている。警備職員が時々こちらを振り返るだけで、周りには人影もほとんどない。借り手や買い手を求めるという表示板は工場の建物をさらに寂れたものにしている。
ロンダ渓谷の山の中に位置するこの工場は、英国の代表的ブランドである「バーバリー」製品を生産する英国内の三つの工場のうちの一つだ。トーマス・バーバリーが1856年にハンプシャー州のベージングストークで小さな洋品店を開業したのが始まりだった。現在バーバリー本社はロンドン市内にある。トレオーキーではポロシャツを製造していた。ヨークシャーのキャッスルフォードとロザラムではトレンチコート(短い防水コート)を製造し、全世界に販売している。
トレオーキー工場はバーバリーが1989年に当地の衣料製造会社を買収し、運営してきたものだ。しかしバーバリーは昨年9月にトレオーキー工場の閉鎖を発表、今年3月30日をもって実際に閉鎖した。バーバリー関係者は、「単純に利益のためだけではなかった。生産性向上のためには老朽化したトレオーキー工場の整備に資金を投じるよりも、海外で工場を建設するほうが有利と判断し、閉鎖に至った」と説明した。中国の安い人件費も工場移転の大きな要因だ。ポロシャツ1枚を製造するのに掛かる費用は、トレオーキーでは11ポンド(約2573円)だが、中国では4ポンド(約936円)だというのだ。
職場を失ったトレオーキーのバーバリー工場の元社員311人は、今もほとんどが失業状態だ。住民の一人であるジョン・グランスさんは、バーバリーの元社員で長い間親しい友人として付き合っているトーマスさんについて話してくれた。グランスさんは「トーマスは仕事を失ってから、財布の事情でパブにも出てこない。夏のバカンスにも行けなくなって近所との付き合いも避けているようだ」と語ってくれた。
バーバリー工場での職場を失ったウェンディー・デービスさんは、同じ職場で働いていた妹のカレンとともに運転を習っている。デービスさんは仕事のために休日の返上や夜勤なども当然のように行っていた。時には1月1日にも工場で働いたこともある。しかしそれでも会社の競争力を高めるには至らなかったと語った。
失業者たちはどんな仕事でもためらわない。労働組合の幹部だったジョン・ヤングさんは数日前に病院のヘルパーとして就職し、パメラ・トーマスさんは最近大型ショッピングセンターの社員として就職した。食堂を経営するカパニーニさんは、「仕事を求めて一人二人と村を出てしまうと地域経済が崩壊するかもしれない」と心配する。企業が国際競争力を失うとどのような恐ろしい結果が待っているか、トレオーキー村では今それを骨身に染みて体験している。
ウェールズ=金泳鎮(キム・ヨンジン)特派員