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提言17
NHKの受信料強制徴収は自由権の侵害であり、日本国憲法19条違反である。NHKは放送番組にスクランブルをかけて、受信料徴収の公平化を担保する必要があるということ。
冒頭に関係法文を列挙する。
憲法13条(個人の尊重と公共の福祉)
すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。
憲法19条(思想及び良心の自由)
思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。
憲法21条(集会・結社・表現の自由、通信の秘密)
1.集会、結社、及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。
2.検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。
放送法1条(目的)
この法律は、次に掲げる原則に従って、放送を公共の福祉に適合するように規律し、その健全な発達を図ることを目的とする。
1.放送が国民に最大限に普及されて、その効用をもたらすことを保障すること。
2.放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによって、放送による表現の自由を確保すること。
3.放送に携わる者の職責を明らかにすることによって、放送が健全な民主主義の発達に資するようにすること。
放送法3条(放送番組編集の自由)
放送番組は、法律に定める権限に基く場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない。
放送法7条
日本放送協会(以下単に「協会」という。)は、公共の福祉のために、あまねく日本全国において受信できるように放送を行うことを目的とする。
放送法32条1項
協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない。ただし、放送の受信を目的としない受信設備又はラジオ放送(音声その他の音響を送る放送であって、テレビジョン放送に該当しないものをいう。)に限り受信することのできる受信設備のみを設置した者については、この限りでない。
放送法44条3項(国内放送の放送番組の編集)
協会は、国内放送の放送番組の編集に当たっては、次の各号の定めるところによらなければならない。
1.公安及び善良な風俗を害しないこと。
2.政治的に公平であること。
3.報道は事実をまげないですること。
4.意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。
民法90条(公序良俗)
公の秩序又は善良の風俗に反する事項を目的とする法律行為は無効とす。
NHKは放送法32条1項を根拠に、未契約者には不法行為に基づく受信契約を強要し、受信契約者の中の未納者にには債務不履行に基づく民事訴訟を提起している。
然しながら、所謂、契約自由の原則に反し且つ事情変更の原則により無効な、60年前に施行された放送法を盾に、日本国民から強制的に受信料を徴収せんとするNHKの行為は、時代錯誤も甚だしい暴挙である。正に人権(自由権)の侵害であり、憲法19条違反であると言わざるを得ない。その理由を詳述する。
放送法32条が現行法の文言に改正された昭和42年当時のメディア環境下においては、テレビ設置者は少数であり、NHK放送番組や民放放送番組も充実していなかったので、テレビ設置者の殆どが、NHK放送番組と民放放送番組とを交互に受信していたのが実情であり、放送法32条は放送法1条1項の目的達成のため、契約自由の原則の例外規定として是認された条文である。
ここに、契約自由の原則とは、
個人の契約関係は、契約当事者の自由な意思によって決定されるのであって、国家は干渉してはならないという近代私法の原則。「契約を締結するかどうかについての自由(契約の自由)、どのような相手方と契約をするかについての自由(相手方選択の自由)、どのような内容の契約をするかについての自由(内容の自由)がその内容であるとされる。
但し、公益に関係のある事業などにおいては契約の自由が否定されて締結強制がなされているのが実情である(放送法32条1項)。
ところで、メディア関連技術の進歩発展は日進月歩で目を瞠るものがある。情報源の豊富な今日、日本国民はNHKの放送を受信せずとも、自由に情報源を選択して世相を認識することで、自由に自己の行動を律することが出来る。放送法1条1項の目的が達成され且つ情報の選択が多様化した今日のメディア環境下においては、事情変更の原則が認められるべきであり「受信料は、NHKが事業を行っていくための公的負担金であり、受信契約締結には強制力がある。」との主張は認められない。なお、テレビ設置者全員から確実に受信料を徴収することは現状では事実上不可能である。
ここに、事情変更の原則とは、
契約は其の時の社会的事情を基礎とし、それを前提として締結されるものであるから、その社会的事情に変化があれば契約の内容はそれに応じて変更されなければならないという原則。私法上及び国際法で問題とされる。私法上は、契約締結後の経済事情の重大な変動に際して、「信義誠実の原則」の一適用として契約の消滅あるいは契約内容の変更を認める原則のこと。契約は守られなければならないが、契約当時全く予見できなかったような社会事情の変動が後に当事者の責めに帰することのできないような原因で生じ、しかも、それが重大であるという場合に、当事者になお契約上の債務の履行を迫ることは著しく衡平に反する。したがって、信義側を適用して、当事者に契約の解除又は将来に向けて契約内容を改訂することを請求するのを認めるというのがこの原則の内容である。借地法12条、借家法7条はこの原則を認めたものであるといわれる。
放送法35条に基づいて「放送に関する研究」は全額国費で賄われているのであるから、今日の格段に進歩した放送技術を駆使して、速やかに、放送番組にスクランブルをかけて、受信料支払い者のみがNHK放送を受信できるようにするべきである。なお、公共放送目的達成のためには、ニュース放送・政見放送等公共性の強い番組についてはスクランブルをかけないようにすればよい。受信料金を支払わないでNHK放送を受信する多数の者を排除することで、受信料徴収の公平化を担保することは、国民の信頼を取り戻す第一歩となるであろう。このことは現在、不払い受信者宅の訪問徴収に従事している営業開発スタッフの活動経費、年間約800億円以上が節約できて経費の削減にも繋がる。
因みに、NHK放送を受信できるテレビ設置者は全てNHK放送を受信する意思ありとみなして、NHKとの受信契約締結を義務付けた放送法32条のみなし規定は、憲法19条に抵触する虞があり、更に「個人の契約関係は、契約当事者の自由な意思によって決定されるのであって、国家は干渉してはならない。」という近代私法の原則である「契約自由の原則」にも違背するものであり、基本的には民法90条により無効とされるべき条文である。
放送法32条1項の規定は、立法当時と事情が大きく変容した今日に於いては、契約自由の原則に戻って、速やかに廃止されるべき規定である。更に、NHKの公共放送を全ての日本国民に強制的に視聴せしめる結果を招来することは、国民の思想統一の虞がある。日本国憲法19条が保障する思想の自由を侵害することになり違憲である。
憲法前文1項に謳われているとおり、日本国民は国政についての最高の意志決定権を行使出来る主権者であり、憲法制定権を有する。国会・内閣・裁判所などの権能は、何れも国民の信託に係るものである。つまり、国民は国家の統治について最高の地位にあり、国家の全ての権能の源泉となる権能を保持するものである。日本国の主権者は、総理でもない、閣僚でもない、国会議員でもない、裁判官でもない、勿論天皇でもない、我々日本国民一人一人が、主権者である
2001年1月頃、NHK幹部が自民党政治家と面会後に従軍慰安婦の特集番組を大幅改編した問題や、2004年夏頃に多額のNHK番組制作費用が、NHK番組プロデューサーに横領される等の不祥事が相次いで発覚したことを契機に、受信契約廃止・受信契約解除・支払い拒否の国民運動が盛り上がってきたのも当然のことと思料される。受信料に係る潤沢な収入の上に安座して経営努力を怠り、漫然と今日まで怠惰の夢を貪ってきた当然の結果であり、国民の鉄槌が下るのも当然の事である。NHKは深く反省自戒して、職員の甘えと驕りを払拭し、今後の経営努力によってこの危機を乗り切り、公共放送の面目を回復する必要がある。
政府や企業の力に屈しない、視聴率に左右され難い、営利を目的としない質の良い且つコマーシャル放送のない公共放送の存在は、万人の希求するところである。NHKが放送番組にスクランブルをかけて、受信料納付者のみが放送を受信できるように受信料徴収制度を改正して、徴収の公平化を担保し、加えて、あらゆる権力に屈することなく不偏不党公平公正な報道に努めるならば、必ずや日本国内のテレビ設置者の殆どをNHKの受信者とすることが出来るであろう。
(本稿 2008.06.15)