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(回答先: 日本国憲法第9条をアフガニスタンの地で実践している中村哲医師の話を聞こう 投稿者 クマのプーさん 日時 2008 年 5 月 28 日 17:29:51)
私たちペシャワール会は、24年前からパキスタン・アフガニスタンで医療活動を続けているが、アフガン東部で1500本以上の井戸を掘り、灌漑事業も進めている。2000年夏に顕在化した現地の大旱魃は、日本や欧米諸国で知るものは少ない。アフガン国民2500万人のうち、その8割以上が農民である。大干魃は確実に進行、2007年にWFP(世界食糧計画)は食糧自給率が60パーセントを割ったと危機を訴えた。今冬の寒さは厳しく、餓死や凍死が相次いでいる。
一方、「対テロ戦争」は泥沼化し、米軍とISAF(国際治安支援部隊=NATO軍)併せて7万名になる兵力増強が図られている。しかしISAFは戦闘部隊と化し、米軍の民衆への誤爆が日常化、反欧米軍感情が急速に広がっている。それを背景に、タリバーン勢力の面の実行支配が拡大し、確実に首都カブールは包囲されつつある。
旱魃と戦乱の中で、私たちの手がける21・5キロメートルの農業用水路事業は、住民と一体になって進められてきた。既存用水路への支援を含めると、既に5千町歩が恩恵に浴し、砂漠化していた原野が緑の沃野に変った。それだけではない、この工事で40万人以上の雇用が発生し、人々は軍閥や米軍の傭兵とならずに済んだのである。そん詳細は拙著『医者、用水路を拓く』(石風社)に譲るが、丸腰で作業に励む私たちの現場に並行して米軍の軍用道路が建設されていた。それを請け負った技術者には一人につき3人の完全武装兵が付いていた。ところが丸腰の私たちは一度として襲われず、彼らは数回に亘って拉致殺害されたのである。
日本国憲法第9条を「理想論」に過ぎぬという者がいる。しかし非武装こそが力であることを私たちは身を以て実感している。何よりもこの9条が日本国政府の「自衛隊派兵」を抑止しているが故に、現地で米国の同盟軍として標的になることを免れてきたのである。
生活クラブ「本の花束」2008年16週号より