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<9条世界会議>は「歴史」になり得たか(JANJAN)
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投稿者 クマのプーさん 日時 2008 年 5 月 15 日 11:40:08: twUjz/PjYItws
 

http://www.news.janjan.jp/government/0805/0805136948/1.php

<9条世界会議>は「歴史」になり得たか

安藤博2008/05/15

「9条世界会議」の実行委員会のメンバーとして、会議が大盛況のうちに終わったことを素直に喜びたい。しかし一番期待した若者の、にべもない無関心さがそのままだったことが残念だ。日本の国内法に過ぎない9条が、世界の共有財産として活用されることを願う。具体的な中身を伴った活動を重ね、次の9条会議は国外で開きたい。

 <9条世界会議>は5月4日、千葉の幕張メッセで盛況のうちに終えることができた。実行委員会のメンバーとして、各地の集会で9条グッズ売りや来場(チケット購入)お願いのスピーチなどを重ねながら、いつも2つのことを念頭においてきた。ひとつは、日本の平和憲法に対する支持を、いわゆる「護憲派」を超えて広げる転機とすること。もうひとつは、この会議を一発の打ち上げ花火ではなく「次」につなげていけるよう、1つの「歴史」となるべき報道を残すことである。

 この双方を踏まえて、筆者なりの<世界会議>総括を試みてみよう。前売り券を持った3,000余のひとびとに「満員・入場お断り」を食らわせたのは、「うれしい悲鳴」では済まない大失態だとしても、「全国で30,000人」の大盛況を素直に喜びたい。が、参加者数の読みと実績の差といったこととは別に、「成功の裏面」に触れることを、あえて憎まれ口も交えて記しておく。
 
 
「護憲派」を超えたか

 「『護憲派』を超える広がり」を考えるのは、「護憲」は護憲派の内輪な連帯だけでは成り立たないからである。国民投票法が成立して、「いよいよ改憲への具体的政治スケジュールに入る」(JanJan「国民投票法案、参院委で可決〜首相ちゃっかり9条改憲PR」2007/05/12 参照)と思われた1年前ほどには、改憲への緊迫感はない。国会の衆参ねじれ状況下、自民、民主両党は道路財源などを巡る政争に忙しい。

 しかし、所属国会議員の大半が自民と政治的DNAを同じくする民主、それに公明の3党が一体化すれば、国民投票に向けての9条改憲発議に一気に向かう可能性がある。それは、厳格な平和利用を旨としてきた日本の宇宙開発にミサイル防衛システムなど軍事利用の途を開く「宇宙基本法」が、与野党の激しい対立下でも、この3党の議員立法で成立しそうになっていることでも明らかだろう。

 「満員」で締め出しを食わせてしまったひとびとのなかには、筆者の自宅近くのキリスト教会の、神父・牧師さんと信者のご一行10人ほども含まれる。「大会場ががらがらになる恐れがあります」と半ば泣き落としでご参加(チケット購入)をお願いしたのだが、初日4日は日曜日で、礼拝を終えやや遅めにお出でになったため、そろってこの酷い仕打ちに遭われたのである。こうした「詐欺」と「狼少年」の双方につき、お詫びをしなくてはならない方が、筆者にも少なからずいる。

 このような失態に対して、<世界会議>実行委員会の新倉修・共同代表(青山学院大教授)が公式に「お詫び」することを提案。これに池田香代子・共同代表も直ちに呼応し、同じく実行委の川崎哲・事務局長らが起案した文書が、会議終了から間もない8日に発表された(9条世界会議にお越しいただいた皆様へ)。こうした機敏な対処もまた、会議の「大成功」をやや特異なかたちで裏書きすることといえよう。

 問題は、憲法や戦争・平和の問題に日ごろ縁がないと思っているようなひとびと、特に若者をどのくらい呼び込めたかである。東京(幕張メッセ)と広島、大阪、仙台の会場を埋めた「30,000人」の参加者のなかに、いうまでもなく自民党支持者、あるいは改憲支持者は多くはあるまい。前日3日の「憲法記念日」集会に、例年通り参加したような、旧来の護憲派が大半だろう。

 大誤算は、少なくとも筆者の場合は、「護憲」の看板をかけた実行委員の一員として開催準備に当りながら、9条に対するひとびとの思いの強さを「見くびる」という、一種の傲慢さから生じたことといえよう。そんなことだから、「護憲派の外への呼びかけ」を口にしながら、実際には組しやすい人・場所への呼びかけに止まっていたといわざるを得ない。

 自衛隊員を、たとえば幕張の会場に近い陸上自衛隊習志野駐屯地から「研修」のために招くことを提案してみたこともある。筆者のような口説の徒や、自分では戦地に赴く恐れなしに「国際貢献」のための軍事力活用を説く内閣総理大臣、外務官僚、防衛省高官などとは異なり、自衛隊員は戦場に駆り出されることもある。だから、「戦争をしに外地には行かない」ことを謳った9条の大切さを、体で感じているはずで、彼らとその家族こそ日本人では一番切実な「護憲派」だとも思ったのである。しかし、これを実行委員会による組織的な行動とすることまでは試みていない。

 憲法9条のことをあまり知らなかったという学生が、大学で先生に勧められて「9条会議に出て価値観が変わり、今では平和の大切さを友達に語っている」といううれしい話が、実行委のメールで紹介されている。しかし、同じように授業で学生に接する機会を持つ筆者は、学生たちに会議の紹介をしたものの、残念ながらそうした成果をあげていない。

 概して言えば、<世界会議>のチラシ配りをした護憲集会などで感じた9条を巡る断層(JanJan 「9条を巡る断層」2007/11/28)を埋められたという手ごたえはない。特に、このイベントへの参加を一番に期待した若者が、駅前広場でのビラ配りなどに対して示したにべもない無関心には、途方にくれたままに終わっている。

 ただしこれは、人の集まりが「入場お断り」をしなければならないほどになったのが、おじさんおばさんたちだけによるものだということではない。むしろ、筆者のチラシ配りなどでは手が届かなかった、しかし<世界会議>のことをインターネットなどでしっかり捉えたような若者が、大誤算の大盛況を生む大きな力になっていたのだろう。


「歴史」となったか

 「ようやく『護憲運動』が『下からのグローバリゼーション』の動きと一体化した、といえるのではないでしょうか。しかも企画の主力が間接的に国連と連携する市民であったことは、これまでにないまったく新たな事態です」―。これは、半世紀近く護憲・平和のための活動に関わってきた河野道夫・元村山首相秘書官の評価である。「9条改憲に対する反対意思の表明効果という点で、この催しはこれまでのいかなるイベントよりもすぐれていました」とも述べている。

 問題は、そうした評価が可能なこの<世界会議>と、日本における<9条の現実>との乖離である。やはり長く護憲に関わってきたひとから、「9条を世界に向けて『輸出する』といったスローガンの会議など、自分には恥ずかしくてとても言い出せない」と言われたこともある。日本が、9条違反の確定判決も出たイラクでの対テロ戦争加担などをしていることからの“恥ずかしさ”である。

 ハーグの国際平和市民会議の宣言(1999年)に「各国議会は、日本国憲法9条のような、政府が戦争をすることを禁止する決議を採択すべきである」と謳われていることをもって、今回の会議はこのハーグ国際会議に続くものだと位置づけられている。

 しかし、やはり古参の護憲活動家の中でハーグ会議に参加していたようなひとは、上記の「9条決議」を求める日本代表の提案に対し、外国の参加者たちがかなりあからさまに「米国と軍事同盟を結び、その巨大な軍事力を自国内の基地で保持しておいて、『日本の憲法を真似ろ』なんて、よく言うよ」といった調子の、いわばブーイングを鳴らしたことを苦い記憶として言う。

 つまり「ハーグ宣言」の9条推奨は日本側が仕組んだ、かなりの「やらせ」であって、だから9条を「拡げる」「輸出する」などという、日本の側から他国の憲法に向けて何かを仕掛けるような言葉を<世界会議>の場で公言することには、極めて慎重であるべきだというのであった。

 <世界会議>の基調講演で、マイレッド・マグワイアさんは、9条が「60年間、東アジアの平和に貢献し、世界の人々に希望を与え続けてきました」と述べた。コーラ・ワイズさんも「『9条』を世界中の憲法に入れるお手伝いをするために、私はここに来ました」と大きな声で語った(JanJan「『9条』の精神こそ世界平和の礎〜千葉・幕張メッセで『9条世界会議』〜」2008/05/08 から)。9条が既に国境を超えて、広く世界の資産になりつつあることを実感させる力強いメッセージであった。

 ただ、そうした9条が、世界の現実にどこまで活かし得るかについて、冷めた目で評価することも忘れてはなるまい。軍隊を、武器をなくしていくことを、わたしたちが説得し闘かわねばならない日本、米国を含めた多くの国々の政府関係者なら、海外ゲストの「9条賛辞」は、そうした人物を選んで来てもらったのだから当然のことだと言い捨てるに違いない。

 平和を創るために、非暴力が暴力(軍事力)と際どいせめぎ合いをしなければならない世界の現実のなかでは、マスコミの持つ大きな力に注目せざるを得ない。参加者数を過小評価した大誤算の原因のひとつは、間近になってかなり多くの新聞が<世界会議>を報道するようになったことが挙げられよう。

 特に、2月24日に広島を出発し、71日をかけて幕張まで行進した日本山妙法寺の僧侶たちによる<ピースウォーク>が、順次各地で報じられていったことなどが大きいだろう。筆者を含めた実行委メンバーなど会議関係者が、それぞれの個人的コネクションを通じて行った「縁故募集」の外にある捉えどころのない不特定多数が、予想をはるかに超えて「直接に参加することを希望」したということである。そこには、新聞を中心とするマスコミの力がかなり大きく働いたといえよう。

 ただ、マスコミ報道はやはりニュースの1要素である<異常事>を捉えることに傾きがちである。今回でいえば、それは「予想外に多数の参加・入場お断り」である。これを『読売新聞』の幕張地元面は「参加者殺到」と報じている。しかし、<世界会議>の成果と今後への行動誓約をまとめた宣言文(「戦争を廃絶するための9条世界宣言」)や、6月の洞爺湖サミット参加国の首脳に向けた声明文(「G8に対する9条世界会議声明」などを、歴史に残るべき資料としてきちんと報じたところは、まだない。

 <会議>に先立つ2ヶ月ほど前から、<9条世界宣言>などの起草作業が進められ、5月6日の最終会議で採択されて、その直後の記者会見で発表されたのだが。この発表日が連休の真ん中のいわゆる新聞休刊日で、翌7日の朝刊がなかったこと、あるいはそれ以前に、宣言文などに新奇なニュース性がなかったことなどによるかもしれない。

 川崎事務局長らが基調講演者のマイレッド・マグワイア、コーラ・ヒルズさんらと綿密に協議してまとめた文書は、もちろん、<世界会議>のホームページには挙げられている。他方で、「9条に世界からエール」と題して<世界会議>を丁寧に振り返ったような記事もある(『朝日新聞』2008/05/09)。が、それにしても、宣言文そのものが、全国紙の全国版に1行も掲載されていないのは、いかにも残念だ。それは、かつて筆者が新聞記者であったが故の、新聞についての特権的・独善的ともいうべき以下のような観点からのことである。

 即ち、
 ・記録にならなければ、
 ・(TVなど電波メディアでなく)新聞記事にならなければ、
 ・さらに(地方紙でなく、また地方版でなく、どんなに小さくても)全国紙の全国記事にならなければ、

 「歴史」にはならない。インターネット時代、これはもう、とてつもない時代錯誤かもしれないが。

次は
 6日午後1時から行われた記者会見で、「次回開催の可能性」を聞かれたもう1人の実行委共同代表の吉岡達也・ピースボート共同代表は「これだけの熱気からすれば、『次』はある」と答えた。会議前日夕刻まで準備作業を進めながら、筆者に限らず大方の<会議>関係者が、「会場がら空き」を本気で心配していた。だから、そんな<会議>について、「次」をいうことには、「今泣いたカラスが・・・」と首をすくめる思いさえする。であればこそまた、「次」が具体的に検討されるようになったことを喜びたい。

 吉岡・共同代表は、「9条の世界化」を単なる合言葉でなく具体的な中身を伴ったものとしていくための準備会議を重ねていくことが6日の最終会議のなかで提案されたことも、この記者会見で紹介した。

 筆者は、そうした準備会議を積み上げた上で、今回同様オリンピックの年に、つまりは4年後に、日本国外で次回の<世界会議>が開催されることを期待したい。日本の国内法である9条が、真に世界の共有資産として平和を創るために活用されるよう、たとえば朝鮮半島を南北に分断する非武装地帯で、軍人も含めて世界のあらゆるひとが集うことができるようになることをこころから願う。
 

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