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<軍人密度が世界で一番高い国は日本>井上ひさし/作家/「日本国憲法が創り出した価値」
http://www.asyura2.com/07/kenpo2/msg/230.html
投稿者 gataro 日時 2008 年 3 月 20 日 10:48:30: KbIx4LOvH6Ccw
 

軍人密度が世界で一番高い国は日本だ、といったら馬鹿こくな!と叱られるかもしれない。北朝鮮はどうなんだと反問されるかもしれない。しかし北朝鮮の軍人は半分自活を要求される民間人みたいな者を多数含む上に、統計なんてものもまともにない怪しい国でもある。したがって問題外のまだ外に位置する国なのでここでは埒外にしておいていただこう。

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http://www.masrescue9.jp/guest/inoue/inoue.html#inoue から転載。

井上ひさし/作家/「日本国憲法が創り出した価値」/08/03/11

07年11月21日 所沢ミューズで行われた 主催「井上ひさし講演を成功させる会」での 井上ひさし氏講演要旨(文責・「マスコミ九条の会」ホームページ編集部)

日本国憲法が創り出した価値(YouTube)

講演冒頭の約8分40秒を再録したもの

http://jp.youtube.com/watch?v=-0LbBSOEFGY


「日本国憲法が創り出した価値」

オリンピック最終予選のサウジアラビア戦をあきらめて、集まっていただきましてありがとうございます。
今日は、つまり憲法を「守る」「守る」と言っているうちに、実はもう国民投票法まで決まって、うまいチャンスがあれば憲法改正を国民投票にかけられるところまで、退いてしまっています。


軍人密度が世界で一番高い国 日本

軍人密度という考え方があります。人口当たり軍人が何人いるかということを統計的に出して、どこの国が一番軍事が厚く、堅くなっているかという、統計の方法があります。これによりますと日本は世界で一番、軍人密度が高いのですね。つまり人口との関係で、軍人が一番多い国になりました。25万人の自衛隊、そして5万人のアメリカ軍、あわせると30万人です。1億2千万のところに30万の軍隊がいる。はっきりいって自衛隊は軍隊ですから。


今一番兵隊さんの多い国は中国です。230万人。でも中国は13億の人口がありますから、それを割り算したりして比べますと、日本の方がわずか上回って、世界一の軍人密度国なんですね。
ですから、「憲法を守れ」「平和を守れ」と言っているうちに、実は、既成事実の方がどんどん進行して、今や世界で一番軍人の多い、兵隊の多い国になってしまっているわけです。
簡単に言いますと、「守れ」「守れ」と言っているうちに、崖っぷちから落っこちてしまいますよ。「「守れ」といっている間は、どんなにうまく守っても、現状を守るというのが精一杯で、少し油断するとちょっと引っ込む。その連続で、結局ここまで来てしまった。


いったいどうすれば良いかということを、この頃考えるようになりました。
その考えを今日は少しまとめて、こういう『国際条約集』(有斐閣刊 07年版 2800円+税)というものを調べたり、考えたり、学者の先生にうかがったりして、もう一つ前へ進む方法をお話ししたいと思います。
平和を守れとか九条を守れといっているばかりでは、狡賢い人たちがどんどん現状を変えてきていますから、負けながら「守れ」「守れ」といっている状態というものを、皆さんもお感じになっていると思います。ですから、そこから盛り返すために、皆さんのお知恵を借り、力を借りて、この九条の会も「守れ」といってなにか講演会をやると、「あ、これで守った」と、それでは守っていないので、もう一つ前へ進むにはどうしたら良いかということを考えて来ましたので、それを後半にお話しいたします。 


本邦初演ですのでうまく行くかどうか。それから、「九条の会」の皆さんと相談して、「俺、こういうこと言うよ」というのではなくて、一昨日頃から考え始めたことをお話します。

この「守りましょう!」と言っているだけでは、ちょっとこちらも空しいんですね。実際、リアルな現実はそこまで来ています。
日本は、世界第3位の軍事予算を使っている国です。でも、その軍事予算を良く調べると、なんか滅茶苦茶ですよね。


ホバークラフト、普通民間で買えば20億のものを60億で買っているとか。それから、海上自衛隊の給油問題もありますが、80万トンだかなんか、あれどこから買ったと思います? バーレーンの石油会社から買っています。海上自衛隊の給油艦がバーレーンから石油を買ってインド洋で、皆さんご存知の展開となっているわけです。この売り手の石油会社の経営者は誰だと思います? あのライス国務長官とチェイニー副大統領ですからね。しかも3倍で日本が買うわけです。これはアメリカの高官から買っているのと同じですよね。それをタダであげているわけです。 こんな滅茶苦茶な金を使って、国を守れるわけがないですよ。私たちを守ってくれるなんて大嘘で、それは旧満州でソ連が侵攻してきたときの関東軍の動き、そういうのを見ていればもうすぐ分ります。関東軍はだーっと朝鮮半島の付け根まで退却して、中にいる120万の日本人たちは見殺しです。どうも私たちは軍隊があれば自分たちを守ってくれるという幻想があるようで、その辺も後半にお話しします。

それでは、日本国憲法はどういう働きをしているかということです。
僕が体験したのではイタリア半島の、イタリア半島っていうのは長靴をはいている人の足の形をしているとよく言いますよね。その足のつま先の先にシチリア島があり、これはボールの形をしています。そして膝頭の反対の方、膝の後の方に、小さな人口5万のサン・マリノという小さな国家があります。ここは軍備を持っていない。世界で今、国連加盟国が200近くありますが、世界で非武装、軍隊をもっていない国が25ヶ国あります。そのうちの一つです。
そこのあるレストランに行ったら、日本国憲法の前文と第9条が日本語で小さい額にして飾ってあるのです。日本では武力を捨て、戦争も捨てている。武力を捨ててというのは嘘ですけれど、そのレストランのおやじさんはそう信じているわけです。憲法で戦争を放棄して頑張っている、ああいう国があるのをわれわれはどれだけ誇りに思っているか。あんなに大きな国が丸腰で生きていくんだから、私たちのような小さな国も当然だと。それにイタリアの中にありますからね、先輩として大先達として尊敬しているのだというレストランのおやじさんがいまして、そういうところまで日本国憲法は入り込んでいるというのを身を持って実感して、非常に嬉しく思ったことがあります。
 それから、日本国憲法がこれまでどういう仕事をしてきたか、つまり価値ですね。日本人が知らない、気がついていない日本国憲法の仕事を総ざらいしてみます。

「憲法」前文が
 世界の非核化条約成立の水先案内

「南極条約」に活かされた憲法前文


 1957年から2年間、皆さんご存知のように国際地球観測年というのがありました。戦後初めて各国の科学者たちが力をあわせて南極を探検しようと、国際地球観測年という2年間を決めました。日本はようやく独立しまして、国際的な集まりに初めて科学の分野で参加することになりました。私たち年をとったものは、「宗谷」という南極探検船を良く覚えているのですが、つまり覚えているというのは、やっと日本もオリンピックやその他国際的な催しに一人前として参加できたという感動がありまして、よく覚えているのです。そのときに実は国際地球観測年が壊れそうになったことがあるのです。


それは、ソ連とアメリカが互いに相手の出方を疑ったことによるのです。ソ連側は、アメリカは国際地球観測年にかこつけて、南極に観測基地と同時に軍事基地を作ってしまうのではないかと疑い、アメリカもソ連を疑ったのです。ソ連はああいうわけの分らない国なので、国際地球観測年にかこつけて軍事基地を作るのではないか。これだけなら良かったのです。そこにイギリスが入ってきて、いや、もともと南極はイギリスの探検家が最初に発見したところなので、これはイギリスの領土だ、と言い出したのです。


そのようなことでこの観測年が壊れそうになったときに、やはり日本も国際社会に復帰して気合が入っていたとみえて、ちょっと待って欲しい、と。せっかく初めてわれわれ科学者たちが力をあわせて探検船を出してやろうとしているのに、いろいろな事情で壊れては困る。私たちは日本国憲法というのを持っているのだけれど、ここには“あらゆる諸国民がお互いを信頼し”という前文にあるそこを示したのです。だから疑うのは止めましょうと、騙されてもいいからお互い相手を信じたらどうですか、ということを珍しく言い出しましてね。それで半年ぐらいしていろいろな交渉が行われて、実際に南極観測というのが始まったわけです。
そのときにアメリカとソ連とイギリスが、日本に感心するのですね。感心して、その信頼した約束を法律にしようと、法的にそこを日本が言い出したようにしようというので、有名な「南極条約」(1961年6月効力発生)というのを作るのです。
「南極条約」は本当に短い国際法です。


南極はどこの領土でもない。これは人類のための領土である。あらゆる人々の国である。というのが一つと、ここには軍事基地は絶対に誰も作ってはいけない、と。しかし、科学観測はみんなで競争しようではないか。こういう内容を参加した7ヶ国がお互いに認め合って、署名して、国会も批准して、「南極条約」というものが発足するのです。


これが始まりで、いろいろな国際条約が結ばれていくわけです。
日本国憲法にも第98条ですか、これは憲法をまとめた、福島の「九条の会」の方が下さったのでいつも持って歩くのですが、日本国憲法第98条の第2項です。
「日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする。」と、憲法で決めてあるのです。


日本国は、特に国民の代理人として国会に集まっている政治家、それから国家公務員は、日本が外国と締結した条約と国際法をしっかり守る、というのが憲法の定めるところです。ですから、この「南極条約」が出来たことで、国際法が一つ出来た。これを政府は守らなければならないわけです。われわれが憲法の上で政府に守れと命令しているわけですから。

それからこの「南極条約」の次に出来たのは、中米・南米の33カ国ですか、そこが、「ラテン・アメリカ核兵器禁止条約」(1986年効力発生)を作るのです。
この「ラテン・アメリカ核兵器禁止条約」というのは、中米・南米においては核兵器を作らない、どこからも持ち込ませない、もちろん使わないという、三つのことをみんなで申し合わせたものです。


申し合わせるだけですと核保有国が勝手に攻めてきますから、核保有国にこの条約に入った国々が、つまり条約機構が議定書というのを送るわけですね。それで約束させるわけです。われわれはこういう約束をしたので、あなた方はここで核を使わないで欲しい、使ったら国際社会に訴える、という約束をお互いに交わす。
こういう「ラテン・アメリカ核兵器禁止条約」が続いて出来ます。


同時に海底もやろうじゃないかというので、海底は今、非核兵器地帯なんです。これも条約で、正式にいいますと「海底非核化条約」(1972年効力発生)といいます。これも日本国は署名して批准していますから守らなければならないですね。
次に、南太平洋の辺りが、ほとんど毎月のようにイギリスとフランスによって核実験がおこなわれた時代がありますね。あそこには13くらいの小さい国がありまして、実験をしたければ自分の国でやれと、いうことになるわけです。それは当然ですよね。 そこで、この南太平洋の一帯ではいっさいの核、核実験はもちろんのこと、核兵器を作らない、作る力は無いかもしれませんね。小さな、本当に人口3万とか10万という島国ですから。作らない、それから持ち込まない、使わせない、核実験もさせないという「南太平洋非核地帯条約」(1986年効力発生)というのを結びます。 これは「南極条約」が、日本国憲法を示されて、揉めていた人たちがそれを読んで、なるほどなと思って、そうしないとこれから先に進まないなというので受け入れたのですけれども、この「海底非核化条約」も「南太平洋非核地帯条約」も、これは日本国憲法の前文を一部引用していくのです。ですから日本国憲法が水先案内になって、核実験などで悩んでいる国々をまとめていったわけです。

持っていた核を廃棄した国、南アフリカ共和国

さらに今度はアフリカ大陸。あそこもフランスが砂漠で核実験をやったんです。フランス領が多いですから。フランスは南太平洋を締め出されて核実験場がない。やはり自分の国ではやらないのですね、パリの真ん中でなんかとてもやれない、それからプロバンスなんていうところでもとてもやれないですから、自分たちのかつての植民地だったところでやるわけです。それでアフリカの国々、あそこに20くらい国があるのですけれども、その国々がまとまって「アフリカ非核兵器地帯条約」というのを、これを批准している国としていない国があり、今はまだ全部ではないのですけれども、条約を作った。


そこにも核兵器はいっさい持ち込ませない、それから使わないという約束をしたわけです。
今度ワールドカップがある南アフリカ共和国、あそこは実は世界6番目の核保有国だったのです。この、「ベリンダバ条約」、「アフリカ非核兵器地帯条約」というのは署名されたのが1996年ですから、もうすでに世界6番目の核保有国だった南アフリカ共和国では国民投票をするのです。
つまり、アフリカ大陸と運命をともにするか、アフリカ大陸の国々と一緒に生きていくためにはその条約に入るべきか、それとも入らずにやはり核を保持して自分を守るか、ということを国民投票をした結果、やはりわれわれはアフリカの一員であるというので核を廃棄、これたった一つですね。これまでの世界史の中で、核を持っていながら廃棄した国はたった一つ、南アフリカ共和国です。
ですから、あそこでワールドカップがあるというので、これはぜひ行かなくちゃと思うわけですよね。そんな国、いまだかつて無いですから。持っていたのに廃棄したという国はあの国一つです。


それから、「バンコック条約」(1997年効力発生)というのも結ばれています。これは東南アジアの国々は全部、今、非核兵器地帯なのですね。
すべての条約の中に、日本国憲法の、特に前文ですね、前文は石原慎太郎先生、それから三島由紀夫先生が悪文だといっている。僕は全くそうは思わないですよ。あんな論理的な文章はないと思っています。でも、あれが邪魔な人はあれを悪文だといいます。ケチを、隣の嫁さんにケチをつけるときに、性格なんかよりも顔つきが気に食わないとか、僕はそういうふうな言いがかりだと思う、僕から見るとそう見えますね。悪文だから駄目だと。悪文でも中身がよければいいじゃないかと、お前もそうだろうと、石原さんには特に聞きたいのですけれど。
それはともかくとして、「バンコック条約」で東南アジアの国々も非核兵器地帯になることをおたがいに約束しあった。
これらの条約は全部、日本国憲法の流れであり、かつ、議定書というのを核保有国と取り交わして、使わせないようにしているわけです。
日本では肝心の日本国憲法は邪険にされて、押しつけだの、時代は変わっただのと冷たくされていますが、日本国憲法は本当に健気な孝行息子ですよ。自分を生みの親たちが嫌っているわけです。しかし、あれは鬼っ子だとか、勘当して別の息子を取ろうなんていっている間も文句もいわずに、ずーっと、見えない仕事をしています。


今、「宇宙条約」(1967年効力発生)というのが締結されていまして、もちろんこれには国連加盟国はほとんど入っていますが、宇宙空間、大気圏を抜けるとそこからはもう非核兵器地帯です。レーガン大統領がすごいミサイルを作って、何とか計画というのをやったときに、どうしても宇宙空間に核兵器を積んだミサイルが出てしまうのですね。するとこれは条約違反なので国際社会の批判がやはり怖いというので、長距離を飛ばすミサイルをあきらめたというくらい、国際条約というのは本当に年とともに強固になってきているわけです。ですから宇宙空間も今は非核兵器地帯なんです。


それを変えようという動きが今ちょっとあります。宇宙ステーションを作るにつれてアメリカ、そして日本はその尻尾について、宇宙条約を変えようという動きも密かにあります。宇宙ステーションといったら人間の夢が広がるなんていっている場合じゃなくて、あれは明らかにもし軍事目的に使われるようになったら、直に弾を打ち込んでくるというのではなくて、戦争の準備のために観察、偵察、いろいろなことで写したものを解析するとかそういうことに使われるとしたら、その結果、核兵器などを使われたら、これは宇宙条約違反になるかもしれないので、今一生懸命変えようとしているのです。


僕は部屋の中に小さな地球儀を置いてあって、条約のところを全部塗っていくと、南半球はみごとに全部、核兵器を使えない地帯になっています。揉めているのはほんの北半球の一部のところです。石油が出る所とアメリカです。

ドルの信頼がなくなったアメリカの焦り

アメリカ、あの、アメリカの悩みは分るんですね。
イラクがなぜ攻撃されたかといいますと、大量兵器は無かったでしょう。最初に攻撃するとき、ブッシュは大量破壊兵器を作って隠しているというので攻め込んだわけです。ところがだんだん時間が経つと真相が現れてきます。実はイラクは世界第2の産油国ですが、石油をドル建てではなくユーロ建てにしようとしたのですね。ドルは世界の基軸通貨とよく言います。これはアメリカにとって非常に有利です。 たとえば私たちの、こまつ座という劇団があります。ここが日本のお札を印刷できるということになったら、こんなに便利なことはない。赤字になったらコピー機かなんかで刷りゃあいいんですから。そしてそれを使えば損はいっさい現れないわけです。
だからアメリカはドルを守るのが第一なんです。ドルを世界の基軸通貨にしようと。 ところが有力な産油国が、いやドルでは売り買いしない、ユーロでやりたい、と言ってサウジアラビアとイランを誘ったわけです。イランとサウジアラビアは一時イラクに同調した。で、石油は全部ユーロ建てになった。ところがアメリカの脅しにあって落ちたのが、サウジアラビア。ドル建てに戻ったんです。今サウジアラビアは石油をドル建てで取引を行っていますが、イラクとイランはユーロでしています。


この頃ドルの状況を皆さんご覧になれば、アメリカがいかに弱くなったか…。
もしドル建てで石油が売り買いできていれば、あの、サブプライムローンというのがあるでしょう、あの問題も隠せたかもしれないのです。カバーできたかもしれない。

つまり、みんながドルを信用しなくなった。結局ヨーロッパ連合体の共同で発行するお金の方が信頼できるわけです。だからああいうのがぼこぼこ現れてきて、ドルを今まで通り印刷して買わせることが出来なくなったのです。
アメリカがもしイラク、イランから石油を買う場合は、お札を刷ってドルで買えばいいのですが、それができなくなったということで、なんとかドル建てに戻そうというのが、イラク攻撃の本当の原因だった。アメリカがイラクを叩いた原因ということが、時間が経つとだんだんと誰もがわかってくるわけです。 (つづく)



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