★阿修羅♪ > 憲法1 > 695.html ★阿修羅♪ |
Tweet |
(回答先: 設問に問題あり――憲法に関する世論調査 (リベラル21) 投稿者 いっぱつ 日時 2007 年 9 月 16 日 10:17:05)
http://lib21.blog96.fc2.com/blog-entry-127.html
2007.09.15 設問に問題あり――憲法に関する世論調査
岩垂 弘 (ジャーナリスト)
新聞、テレビなどのマスメディアによる世論調査が盛んだ。IT(情報通信技術)の発達により以前よりは素早く、あまり経費をかけずに調査ができるようになったという事情が、その背景にあるとみていいだろう。が、こんな声を市民の間でよく聞く。「メディアから発表される世論調査結果は民意を正確に反映していないのではないか」「何よりも設問に問題があるのではないか」
こんな市民の声がずっと気になっていたので、元長崎大学学長・世界平和アピール七人委員会委員の土山秀夫氏(病理学専攻)の発言に「我が意を得たり」と共感した。同氏が、この8月8日、長崎市で開かれた原水禁系の被爆62周年原水爆禁止世界大会・長崎大会の分科会で話した内容にである。
土山氏が出席したのは「平和と核軍縮」をテーマとする分科会。講師の一人として発言したのだが、その中で、憲法改定問題に触れた。もちろん、現憲法を守り、広げる立場からの発言だったが、その中で、マスメディアによる憲法に関する世論調査のあり方に疑問を呈した。
土山氏は「世論調査の件で申し上げたいことがある」と切り出し、「新聞社あるいはテレビなどのメディアはしばしば憲法問題で世論調査を行っております。しかし、私は毎回クレームを付けてるんですが、設問が非常に悪いんですね。『改憲を必要と思うか否か』という設問が圧倒的なんです。しかし、この設問ぐらい非常に誤った解釈を導き出すリスクの高いものはないわけです」と続けた。
土山氏によると、憲法問題で世論調査をするなら、対象者にまず「憲法の中身をどの程度知っているか」を聞き、その上で「改憲が必要と思うかどうか」を聞くのが当然だという。なのに、前提なしにいきなり「改憲を必要と思うか否か」と聞くから、結果的に「改憲すべき」という回答が多くなるのではないか、と土山氏はみる。
同氏によれば、国民の多くは憲法の中身をほとんど知らない。なのに、世論調査では「改憲すべき」と答える。これは、対象者が回答にあたって「周りの人がそろそろ憲法も変えるべきだと言い出しているから」とか「政治家とか一部のメディアがそう言っているから」とか「古くなったから、そろそろどうだろう」といった情緒的、気分的なムードに流されているからではないか、と土山氏はいう。「『何も知らないけれどやっぱり変えた方がいいんじゃないか』ということなんですね」
土山氏は、こうした自説を裏付けるものとして朝日新聞と北海道新聞の世論調査をあげた。「これは、良い世論調査の例です」と土山氏。
朝日新聞のそれは、昨年5月3日に発表されたもの。これについて、土山氏はこう述べた。「『憲法を改正する必要があると思いますか。それとも改正する必要はないと思いますか』という設問があって、55%の人が『必要』と答えているんです。ところが、別の設問のところで『憲法についてどの程度知っていますか』というのがあるんですね。その結果は、『ほとんど知らない』というのが52%、『少し知っている』というのが43%。にもかかわらず、55%の人が『改憲が必要』と答えているわけです。そうしますと、憲法をほとんど知らない人、あまり知らない人が改憲に流れていると考えざるをえません」
北海道新聞の世論調査結果は、こうした傾向をもっとはっきり示しているという。
それは1995年5月3日付の同紙に発表された。土山氏によると、そこでは「日本国憲法の内容をどの程度しっていますか」との設問に対し、「よく知っている」と答えた人の77%が『改憲に反対』という回答を寄せている。それに対し、憲法の内容を「ほとんど知らない」と答えた人の74%が「改憲すべき」と答えている。同新聞も「『憲法を知らない』と答えた人ほど『改正』を支持し、『知っている』と答えた人には『存続』を主張する人が多い傾向も明らかになった」と書いている。
土山氏は憲法改定問題についての見解表明を閉じるにあたって、「憲法改正を必要と思うか否かと聞くだけで、憲法の中身をどれくらい知っているかを問わないメディアの世論調査については、はっきりと注文をつけるべきだろうと思います」と述べた。そして「逆に考えれば、私たちがこれから先、九条の会などを通じて憲法の中身を十分啓蒙してゆけば、必ず改憲反対者が増えてゆくという可能性を秘めているということです。そこに、私たちは大きな一つの期待がかけられる」と付け加えた。
マスメディア関係者にとって傾聴すべき意見ではないか。私にはそう思われてならなかった。