★阿修羅♪ > 憲法1 > 681.html ★阿修羅♪ |
Tweet |
http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/consti/news/200707/CK2007070502029676.html
【試される憲法】
松山大法学部長 田村譲さん 権力を疑ってかかろう
2007年7月5日
「若い世代の憲法への関心はきわめて薄い。無関心が一番危険だ」と話す田村さん
写真
国民投票法が成立し、学生には「君たち一人一人がこの国の在り方を決める。憲法改正はそれが問われる。国民一人一人に判断が求められる時代になったが、これは国民主権の具体的な表れだ」と教えました。学生たちは恐ろしく無関心。無関心は最大の敵です。国家権力に思う通りにされ、気が付いたら抜き差しならぬ状態になっている。
今年はゼミで憲法九条を取り上げ、地元で約二千人の街頭面接調査をします。学生が自ら学び、答えを見つける訓練であると同時に、市民にも関心を持ってもらいたい。
かつて戦争に突き進んだ時に、皆「(国に)だまされた」と言った。だけど、だまされた国民も悪いでしょう。戦争をするのは個人でなく国。だから憲法は国に「戦争するな」と言っている。僕たちの先輩がだまされた結果、どうなったか。そうはっきり言ったのは映画監督伊丹十三さんのお父さんで、松山出身の万作さんです。
憲法九条もそうだが、学生は戦争も知らない。ゲーム世代だから、死んでもすぐ生き返る。戦争とは一体何だ、と想像力を喚起する講義をしています。古い映像やニュースを編集して見せたり、新聞の社説を読み比べ、どれが一番説得力があるかとリポートを書かせたり。この連載「試される憲法」も教材にしています。日々起きている大事件も知らない学生が多いのには驚きます。新聞だけでなく、テレビニュースも見ない。見るのはバラエティーだけ。
世の中がおかしくなっているというのが、感覚としてないんでしょうね。その日が楽しければいいと。無関心だから「戦争なんてあるわけない。自衛隊がやるもんだ。自分たちには関係ない」と思ってる。憲法は権力を縛るもの。権力が改正しようとしてるんだから「何かおかしい、と思わない?」と学生に言います。疑ってかかろう、と。
今の学生生活は幸せですが、それは平和が原点。ずっと平和が続いているから実感はないが、その認識を新たにし、自分の将来の問題として憲法を自分で判断してもらいたい。学生に向き合う教職のわれわれは、判断材料を提供する役割です。戦争の歴史を繰り返さないように、と。
たむら・ゆずる 1943年愛媛生まれ。明治大大学院法学研究科博士課程修了。帝京大法学部助教授を経て松山大法学部教授。著書に「日本労働法史論」「近代法の基礎理論」など。64歳。