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カフェで寄席で平和語る 9条支持草の根ジワリ【東京新聞】
2007年7月11日 朝刊
「二〇一〇年に憲法改正が発議される可能性がある。戦争について想像力を付けた方がいい」
六月末の昼下がり。東京・高円寺のカフェバーでフリーターや学生、会社員ら約二十人の若者がソフトドリンクを飲みながら、熱心に議論していた。憲法を考える「憲法カフェ」。ジャズやソウルが流れる中、講師役の横浜市立大准教授山根徹也さん(41)=西洋史=が力説した。
「自衛軍の保持」を盛り込んだ自民党の新憲法草案第九条。山根さんは「戦争放棄から攻撃容認になるかもしれない」と話す。草案全体については「国家が個人を掌握し縛り付ける。政府を批判できない仕組みになる」と説明。国民が権力を縛る現憲法との違いを訴えた。参加者からは「自由や権利が規制されるのか」「中学や高校では憲法をきちんと教えない。内容が分からない人が多いのでは」と感想が出た。
自民党草案が公表され改憲論議が活発になってきた一昨年暮れから、山根さんは隔週火曜日の夕方、講義後の教室を使って憲法カフェを開いている。「『徴兵制にならなければ改憲してもいい』と短絡的に考える学生もいる。戦争を想像させるきっかけが必要だと思った」と話す。
学外での“出張憲法カフェ”は、教育基本法改正の反対活動で知り合った若者らに請われ、既に二回実施。学習会を発案した一人、世田谷区のフリーター園良太さん(26)は「憲法に無関心の人が多い。こんな論議の場が各地に広がれば」と願う。
山根さんは「僕は護憲派ではないが、今の改憲の流れには反対。参院選で選ばれた人は、改憲発議にかかわる可能性がある。重要な争点です」。憲法の在り方を考える草の根活動は、確実にすそ野を広げている。
「おい、大変だよ。隣町のやつらがまた攻めてくるんだよ」。江戸の下町の長屋に住む八つぁんが血相を変えて、妻のお清に伝える。
「いつ何があるか分からないから、木刀や石ころをそろえておけ。いざとなったら、こっちから火をつけに行こう」。そうあおるのは米屋の若だんな米吉と、その取り巻きで町の世話役の晋公と純公だ。
その昔、隣町と争いごとがあってから、町内には「けんかはご法度」という決め事ができた。だが、隣町の商売敵が気に入らない米吉はこれを変えたくて仕方ない。米吉の父親と一緒に決め事を作ったという町のご隠居から、それがいかに大切かを教えてもらった八つぁんは、その足で米吉にねじ込みにいく−。
東京・上野の鈴本演芸場で六月下旬、女性落語家初の真打ち古今亭菊千代さん(50)が、創作落語「たからもの(9条に思いをこめて)」を初めて披露した。「憲法九条を何としても守りたい」と構想を温めてきたものだ。
朝鮮半島や中国で戦争被害者の話を聞いたこともある。「日本はこれ以上戦争に加担しちゃいけない。九条は謝罪の気持ち。変えたら『謝ったのはうそ』と言うのと同じ」。今後も少しでも大勢の人に「たからもの」を披露したいという。
草の根運動は護憲派に目立つが、改憲派には少ない。半世紀以上改憲運動をしてきた「新憲法制定議員同盟」の清原淳平事務局長(75)は「保守系議員を通じて集会などを働きかけても、なかなか実現しない。改憲の国民的運動を起こそうとしても、なかなか難しい」と嘆いた。
「憲法改正」が大きな争点となる参院選は十二日公示を迎える。
(藤浪繁雄、西田義洋)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2007071102031388.html