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<記者発>憲法99条までかすむ 【東京新聞】
言わんとすることは分かるが、ちょっと待てよ、という気持ちだ。
麻生太郎外相は十八日に始まった集団的自衛権の行使に関する研究について「法律を守って国が滅びるのは、どう考えても主客転倒。国を守るために、どう法律を生かすかの話だと思う」と、論議に期待感を表明した。
憲法を守っていては国が滅びてしまう可能性が出てきた−。歯に衣(きぬ)着せぬ発言が持ち味の麻生氏らしい表現で、この問題の核心を突いたといえる。
安倍晋三首相もこれまで「大きく時代が変わった。今の解釈で安全が守れるのか」と強調してきた。
首相と麻生氏の問題意識は全く同じだ。今のままでは、日米同盟も、国際貢献も、日本は役割を果たせないということだ。しかも、改憲まで待っていられないということだろう。
しかし、憲法九九条は「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」と、わざわざ規定している。
憲法は、国家による逸脱した権力の行使を制約する基本法といわれる。憲法を守る義務は、国民にもあるが、むしろ首相の側により重い意味が課されている。
解釈改憲となれば、憲法九条だけでなく、九九条の精神さえかすんでしまう。過去の国会でも「政府が政策のために憲法解釈を変更することは、法秩序の維持からも問題がある」(一九九六年、内閣法制局長官答弁)と指摘されている。
蛇足かもしれないが、私は中学一年と小学五年になった自分の子どもたちに、君が代はちゃんと立って歌いなさいと教えている。良くも悪くも、日本の歴史を背負った国歌だからだ。憲法も、評価はそれぞれあっても今の最高法規。その解釈が権力者の側で勝手に変わるとは子どもに説明できない。
十八日はくしくも、教育関連三法案が衆院を通過した。教育の重要性を唱える首相は、立憲主義を実践する立場でもあることを肝に銘じてほしい。 (吉田昌平)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2007051902017256.html