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自公与党政権は5月3日の国民投票法案の成立を断念したようだが数の力で早急な法案成立を図ろうとしている。一方、民主党は実質的に内容が与党案とほとんど変わらない対立法案を提示して与党案に反対している。審議は参議院に移ったが、民主党の一部議員(簗瀬議員)は自党の法案にはない最低投票率の規定を設けるべきと主張している。
朝日新聞の世論調査によれば、「投票率が一定の水準を上回る必要がある」と考える人が79%に達し、「必要がない」の11%を大きく引き離したことが明らかになっている。
最低投票率の問題は、憲法改正国民投票において国民の承認があったかどうか確認できる国民投票が成立しているかにどうかに関わってくる。最低投票率を設ける必要がないという考え方は、憲法が最低投票率を0%と定めていると解釈した場合だけである。これを日本国憲法が想定しているというには無理があるだろう。
国民投票法案は法律なので衆参両院での過半数の賛成で成立する。しかし憲法改正の発議は衆参両院で三分の二以上の賛成を必要とする。このことは、憲法改正の発議がなされるときは、かならず国民投票法案も成立することを意味する。なにも今急いで国民投票法案を成立しなければならない必要は全くないのである。衆参両院で三分の二以上の議席という条件をクリアしていない与党が、国民投票法案の成立にこだわるのは、憲法改正が必要なときにきているというムードを国民に浸透させ、憲法改正の発議を可能とする世論を醸成しようとしているためと思われる。
憲法改正の発議で衆参両院で三分の二以上の賛成を必要とするということは、自民、公明の両党に加え、民主党も賛成するというである。民主党のすべてが賛成する必要はなく、一部の賛成でも憲法改正は発議できる。一旦国会で発議がなされると、後は国民投票法の手続きに従って改正の可否が決することになる。しかし今現在、国民投票法案に対する国民の関心は決して高くはないだろう。最低投票率の問題をはじめ、与党案、民主党案ともに国民の意志を問うにはあまりにも欠陥が多い。にもかかわらず法案の意味や内容が国民の間に充分浸透していない状況で国民投票法案の成立を強行しようすることは将来に禍根を残すことになる。
こうした状況を防ぐために、国民投票法案に関する国民投票を実施すべきだろう。このようにすれば、国民投票法案についての国民の関心も高まり、各党は国民に法案の内容について説明責任が生じる。国民の国民投票法案にたいする意志も把握できるだろう。もちろん、この国民投票は法的強制力を持持つことはできないが、国民の多数の意志に逆らう内容を持つ国民投票法案は提出できなくなるだろう。
今ではすでに時期遅しであるが、与党案、民主党案に反対している社民、共産、国民新党がこうした動議を共同で提出すべきだったと思う。