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http://www.janjan.jp/government/0704/0704012871/1.php
おおよそ30年ぶりに、国会へ出かけた。改憲の布石となる国民投票法案が、統一地方選挙の前半終了の機を捉えて4月半ばには強行採決されようとしていることから、その公聴会を傍聴することなどを思い立ったのである。
新聞記者だったころは、予算委員会などの取材で日参し、院内で蕎麦がうまいのはどこかといったことも含めて、この建物の“裏表”に通ずるまでになっていた。しかし、一市民として来てみると、マスコミを背中に背負っていた当時にはない“発見”がある。
自民・公明両与党の案には、最低投票率が定められていない、だからたとえば有権者の4分の1程度の賛成だけで憲法が変えられることになるといった問題の深刻さを、委員会審議のなかで改めて知った。しかし、それにも増して驚いたのは、国民投票の元になる憲法改正案を、内閣が提案する可能性が、政府答弁や自民党議員の委員会発言の中で飛び出していることである。
これは、自民など与党が国民投票法案の併合修正案を提出したのを受けて行われた3月29日の衆議院憲法調査特別委員会の審議中、同委員会筆頭理事、保岡興冶・自民党議員によって述べられている(参照:会議日誌)。辻元清美・社会民主党議員が、内閣が改憲提案をしたら、「この国民投票法案では国会のみの提出ということになっているわけですから、国民投票法案とそごがでるのではないか」と質問したことに対するもので、自民党などの国民投票法案は、改憲案を「内閣が提出するケースを排除しているのではない」(『朝日新聞』3月30日)としている。
この質問には前提がある。その前、3月8日参議院予算委員会で、塩崎恭久・官房長官が「内閣総理大臣の法案提案権」(憲法第72条)をもとに「政府として憲法改正の原案としての議案についても内閣はこれを提出することができる」と答弁し、また、山本康幸・内閣法制局第一部長が「例えば国会法で憲法改正原案は内閣に提出権はないんだというふうに書けますか、それは憲法違反になりますかという問い(中略)に対しては、違憲であると(中略)申し上げざるを得ない」と補足していたことである。
改憲に内閣が、したがって官僚が実際にどのように関与することになるかは、予測しにくい。たとえば内閣法制局の官僚などに対して法律上の専門知識を求めるようなことはあってよいのだろう。しかしである。改憲案のパッケージを作成するような憲法に関わる統括的な動きに、明治以来、日本の政治を牛耳ってきた官僚が、「内閣」の名でシステムとして踏み込んでくることは、考えるだに、忌まわしいことである。
(安藤博)