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http://www.tokyo-np.co.jp/kenpou60/
憲法の改正手続きを定める国民投票法案の審議は、二十二日に衆院憲法調査特別委員会の公聴会が開かれ、大詰めを迎えています。日弁連はこれまで法案の問題点を指摘してきました。
まず、国民投票で最低投票率の規定がないのはおかしい。仮に投票率が40%なら、有権者のわずか五人に一人の賛成で改正が決まってしまう。改正の決定権が国民にあるという理念を考えるなら、投票権者の三分の二以上の最低投票率を定めることは、憲法の精神に沿っています。
「最低投票率規定を設けると、ボイコット運動が起きる」という意見も、過去の住民投票の例からあります。しかし、国民投票が実施されることになったら、改正に反対する人たちも投票で意思を明確に示すはずです。
公務員や教育者の地位を利用した投票運動の規制も問題があります。罰則はないとはいえ、何が地位利用に当たるのか不明確だからです。憲法を論じることは、将来の日本をどうするかを考えること。教師は学生や子供たちと自由に議論すればいい。この規定で教師が委縮すれば、そんな議論もなくなってしまう。
投票運動期間中のテレビ、ラジオの有料スポットCMの在り方については、まだ議論が深まっていない。野放図にしてお金のある側に有利にならないよう「全面禁止」を求める声がある一方、法規制の前例を作ると、それが独り歩きして別の場面に波及する恐れがあります。
賛成意見も、反対意見も、メディアに平等に扱われるためのルール作りこそ、国会は考えるべきでしょう。無料放送枠も市民団体が利用できるような工夫が必要です。
投票方法は、テーマごとの個別投票を基本としながらも、関連する条文は一括投票になるという。例えば、自民党の新憲法草案には「自衛軍」と「海外派兵」が明記されていますが、どちらも「〇」、どちらも「×」という人は投票できても、自衛軍は「〇」、海外派兵は「×」という人は投票できなくなる。
スポットCMをはじめ、まだ議論が十分に深まっていないテーマもあります。なぜ制定を急ぐのか疑問です。
すがぬま・いちおう 1950年東京生まれ。中央大法学部卒。2001年2月、憲法問題の調査・研究を目的として日本弁護士連合会に設置された憲法委員会事務局長。共著に「Q&A国民投票法」。56歳。
(2007年3月22日)