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□新潟地震“人造”だった!? 近くでガス田注水作業 [ZAKZAK]
http://www.zakzak.co.jp/top/2007_07/t2007071931.html
新潟地震“人造”だった!? 近くでガス田注水作業
地下断層への水浸透が引き金に?
10人目の犠牲者が18日に発見された「新潟県中越沖地震」は、04年10月の「中越地震」の記憶がまだ生々しい新潟県を再び襲い、やはり日本ではいつ、どこで地震が起きるか分からないという現実が突き付けられた。ところが、この両地震について、人為的な刺激が誘発する“人造地震”だったのではないかという可能性が取り沙汰されている。どういうことか。
「両地震の震源からほど近いところあるガス田開発では、“水圧破砕法”といって高圧の水を注入して岩を破砕していた。そのことが2回の地震の引き金になった可能性はある」と指摘するのは、地震学者の島村英紀氏。だが、その破砕の震動が地震を誘発するわけではない。問題は「水」なのである。まず、人造とも言われている「誘発地震」のメカニズムから紹介しよう。
「ダムを建設して水を貯めると、周辺で小さな地震が起き始めることは知られています。地下深くの断層面まで水が浸み込むことで、滑り出しの“潤滑剤”になると考えられています」(東大地震研の加藤照之教授)
ニューディール政策で有名な米フーバーダムでは、1935年に貯水を始めた翌年から地震が増え、40年には過去最大のM5の地震が起きた。アフリカ・ジンバブエとザンビア国境のカリバダムでも貯水が始まってから地震が急増、満水になった63年にM5.8の地震が起きた。このほか、エジプト・アスワンハイダムなど世界各地の巨大ダムで、貯水後に地震が起きているという。貯まった水自体の水圧で地下深くへ浸透していると考えられるが、井戸への高圧注水も同様の効果をもたらすようだ。1960年代、米デンバーの軍需工場で深さ約3600メートルの井戸を掘り廃液を注入したところ、注入量や水圧と地震の発生が連動していることが観測された。
新潟県のケースでは、「南長岡ガス田」の深さ5151メートルの井戸で、01年夏に1カ月にわたって950kg/cm2(指先に約1トン)の水圧破砕作業が行われ、昨年秋にも、別の井戸で再度実施された。ちなみに、今回の震源により近い「東柏崎ガス田」での同作業実績はない。
前出の加藤教授は、「今回の中越沖地震は、広域での応力によって発生したとみられている。震源は油田とは離れており、個人的見解としては、直接の影響はなかった、つまり、誘発地震ではなかったと思う」と話す。
だが島村氏は「水が浸み込む深さや広がりがどうなっているのか地下世界は見当もつかない。世界のダムでは震源が何十キロも離れたケースもあった。もちろん、日本では地震が頻発しており、注水作業が地震の引き金になったと断言はできない。しかし、わが国では誘発地震に関する研究が外国に比べてかなり遅れている。温泉井戸もたくさん掘られており、温泉の汲み出しでも、地下の流体(水)のバランスが崩れて地震の引き金になることも考えられる。研究体制の整備が急がれている」と警告する。
なお、世界の地震学者が注目しているのは、中国・三峡ダムだという。
■しまむら・ひでき 1941年東京生まれ。東大大学院地球物理学専攻博士課程修了。北海道大学・地震火山研究観測センター教授を経て、現在、武蔵野学院大学客員教授。著書『公認「地震予知」を疑う』(柏書房)や『地震は妖怪 騙された学者たち』(講談社)などで政府の地震研究体制を批判してきた。
ZAKZAK 2007/07/19