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「作り手のタダ働き」が支えるWeb2.0
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投稿者 めっちゃホリディ 日時 2009 年 2 月 07 日 04:47:43: ButNssLaEkEzg
 

2月6日15時35分配信 ITmediaニュース

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090206-00000071-zdn_n-sci

 ユーザーがコンテンツ作りに参加する、投稿型のネットサービスやオンラインゲームが増え続けている。

 「YouTube」「ニコニコ動画」のような動画投稿サービス、「FAR CRY2」のように、ユーザーが制作したマップを共有できるサービス、「AppStore」のように、プロ・素人問わずアプリを公開できるサービスなどだ。

 だがこういったサービスで一番もうけているのは、コンテンツを作っているユーザーではなく、プラットフォームを提供している企業だ。ユーザーはむしろお金を支払ったり、広告を見たり、サービスを盛り上げたりすることで、直接・間接的にプラットフォーム企業の利益の源泉になっている。

 「生産者はユーザーなのに、プラットフォームを提供している特定の人たちを富ませる仕組みになっている。サービスのクラウド化は、富の二極分化をもたらす」――ゲームジャーナリストの新清士さんは、2月5日に開かれたイベント「OGC 2009」でこう指摘した。

●生産物よりシステムを所有する人に利益

 新さんは昨年のOGCでも、ユーザーがゲーム作りに参加している例を紹介し、ユーザーのイノベーションがプラットフォーム企業の利益を生むと説明。創造性を発揮できるプラットフォームを提供することがゲームメーカーの生き残りの道だと説いた。

 1年たった今、ユーザーが制作に参加できるオンラインゲームは増えた。例えばFAR CRY2には「かなりレベルの高いMOD(Modificationの略、ユーザーがゲームを改造できる仕組み)が入っており、ユーザーが作ったマップをアップロードして共有し、ユーザー同士で評価もできる」という。

 「little Big Planet」の場合は、ユーザーがステージを自由にデザイン可能。ニンテンドーDSの「うごくメモ帳」では、子ども達が自由にパラパラ漫画を描いて公開し、評価しあって遊んでいる。ゲームではないが、「AppStore」には、素人・プロ問わず多くの人がオリジナルアプリを公開している。

 こういったサービスのビジネスモデルについて、新さんは昨年より悲観的に見ているという。「Web2.0は、特定の人たちを富ませる構造だ」――コンテンツを作るユーザーの働きのおかげで成り立っているサービスなのに、一番もうけているのはプラットフォームを提供している企業。ユーザーからはむしろお金を取っている。「生産物よりシステムを所有する人が利益を得る方向に来ている」

 プラットフォーム企業は、多くのユーザーにコンテンツを作ってもらってそこから利益を得、膨脹してサービス範囲を広げ、スケールメリットを運営を効率化してさらに利益を上げる。そのごく一部がユーザーに回ることもあるが、どこか不公平感が残る。「例えばGoogleのAdSenseは、何かだまされているような気になる」

 加えて、コンテンツ作りに参加しているユーザー数や売り上げ、利益額などを明らかにしない企業も多く、「市場の“見えない化”が進んでいる」。多くの企業がユーザーの行動データを蓄積しながらそれをどう利用しているかを明かさず、不信感も残る。

 そういったプラットフォーム企業の典型例はAmazonやGoogleだ。オンラインゲームやゲーム配信業界でも、ユーザー囲い込みを進めている企業ほどユーザー数や利益額を公表せず、市場が見えなくなっているという。

●富の二極分化 再配分が必要

 また、コンテンツ制作の障壁があまりに低いため、人気のプラットフォームには多くの人が集まり、すぐに供給過剰状態になる。

 例えばAppStoreにはすでに1万5000以上のアプリが投稿されており、すでに「ゴミタイトルの海」。多くは日の目を見ないままランキング圏外に沈んでいく。新さんの10歳の息子は「うごくメモ帳」への投稿に一時ハマっていたが、最近は投稿数が増えすぎて「誰も見てくれない」と熱が冷めつつあるという。

 「デジタルの世界は正否のフィードバックがかかりやすい」ため、人気のあるものだけが上位に上がってさらに人気を集め、人気のないコンテンツはすぐに沈むという形で二極分化が起きる。

 プラットフォーム企業とコンテンツを制作するユーザー間で、また、ユーザー同士で富の二極化が進んでいる。「人間がどんどんデータ化している」今、この傾向はさまざまな分野で加速すると新さんはみている。

 「富の再分配が必要だが、それは公共セクターが入らないと難しいだろう」

●どう乗り切る

 そんな時代に“次の市場”をとらえて利益を確保するには、どんな戦略を採ればよいのだろうか。新さんが挙げるのは、「イノベーションを敏感にかぎわけ、プラットフォーム側に回る」こと。また、ユーザーがコンテンツ作りに参加できるような仕組みを開発し、参加してくれたユーザーに富を再分配しながら利益を上げられる構造を作ることだ。

 その実例として、昨年末にオープンし、1万会員を集めたフィギュア写真投稿サイト「fg」に触れ、「ユーザーがフィギュアを販売する仕組みを作り、そこから収益を挙げようとしているのだろう」と推測。交換可能なデジタルデータより、実体のある物の方が利益になりやすいと指摘する。

 mixiや韓国Cyworldなど国内でデファクトスタンダード化し、成長の余地が少なくなったコミュニティーサイトを例に、「世界に出ることも必要」とも説く。「ネットでは日本の“極東、島国”という地政学的優位は消え、Googleのような“海外の文明”が簡単なローカライズだけで自宅にやってくる時代。クラウド化が進むと、人口の少ない日本ではきつくなるだろう」  


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