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ネット名誉棄損:1審の無罪破棄し罰金命令−−東京高裁【毎日JP】
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20090131ddm041040081000c.html
ラーメンチェーン経営会社を中傷する文章をインターネットのホームページ(HP)に掲載したとして、名誉棄損罪に問われた会社員、橋爪研吾被告(37)の控訴審判決で、東京高裁は30日、1審の無罪判決を破棄し、求刑通り罰金30万円を言い渡した。
ネット上の書き込みで同罪が成立する要件について、1審は「マスコミ報道や出版の場合より限定すべきだ」と判断したが、長岡哲次裁判長は「ネットに限って基準を変えるべきでない」と覆した。
橋爪被告は02年10〜11月、HPに「経営会社はカルト団体が母体」などと記載したとして在宅起訴された。
1審・東京地裁は08年2月に「利用者が互いに反論でき、情報の信頼性も低いと受け止められている」などとネットの特性を挙げ「内容が真実でないと知っていたか、水準を満たす調査をしなかった場合に限って名誉棄損罪が成立する」との新基準を示した。
これに対し、2審は「ネット情報が不特定多数に閲覧されることを考えると、被害は深刻になり得る」と指摘。
ネットに限って名誉棄損罪の成立要件を限定するのは「被害者保護に欠け、適当ではない」と結論付けた。
判決後、橋爪被告は「やれるだけの調査をしたのに刑事罰を科せられては、表現が萎縮(いしゅく)してしまう。
問題企業や団体をサイトで告発している個人が片っ端から犯罪者にされてしまうのか」と話し、上告の意向を示した。
東京高検の渡辺恵一次席検事は「適正、妥当な判決」とのコメントを出した。【伊藤一郎】
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■解説
◇被害者保護を重視
東京高裁判決は、ネット上での誹謗(ひぼう)・中傷や人権侵害が横行している状況に警鐘を鳴らし、被害者保護を重視したものだ。判決は、ネットの拡大により「表現内容の信頼度の向上はますます要請され、それにより真の表現の自由が尊重される」とも言及した。ネット上での個人の自由な発言がどこまで許されるのか、議論を深める必要があるだろう。
岡村久道・国立情報学研究所客員教授(情報法)は「現在の名誉棄損罪の基準はマスコミにとってさえ厳しいもので緩和すべきだ。ネット上にはまじめな個人利用者もいる。表現の自由を窒息死させるようなことがあってはならない」と指摘した。【伊藤一郎】
毎日新聞 2009年1月31日 東京朝刊