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12月27日15時32分配信 読売新聞
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081227-00000040-yom-soci
消費者に電話番号を明かさず、苦情や問い合わせの窓口をメールに限定するIT系企業に対し、消費者から対応を疑問視する声が上がっている。
インターネットが生活に浸透するに従い、IT知識の少ない中高年もネットを利用するようになっており、消費者問題の専門家からは「『IT弱者』への視点が欠けていないか」との声が上がっている。
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「話が伝わっているのかいないのか分からない」
国内最大のネットオークション「ヤフー・オークション(ヤフオク)」を巡り、身に覚えのない出品料約24万円を請求された兵庫県芦屋市の会社員梅田雄一さん(38)は憤る。
自分の会員IDで何者かが偽ブランド品約200点を出品していると気付いたのは9月29日。運営会社のヤフーに連絡しようとしたが、同社の電話番号は一般に公開されておらず、問い合わせはメールに限定していた。
すぐメールで事情を伝えたが、翌日、「改めて連絡する」と返信があった後は、音さたなしに。10月中旬に催促のメールを送ったが、その返信は月末。具体的な措置はとられないまま今月5日、24万円は引き落とされてしまった。
「電話なら1回で済むのに。時代の最先端をいくIT企業のはずだが、まるで江戸時代の手紙のやり取りだ」と梅田さんは話す。
同様の相談は、NPO法人「消費者支援機構関西」(大阪市)にも255件寄せられ、うち約80件は「返信がない」、約50件は「伝わっているかどうか不明」との苦情だったが、ヤフーは「電話が殺到すると業務の混乱を来す」として、今後も電話番号を公開する予定はないとしている。
読売新聞がプロバイダーなど大手IT企業26社を調べたところ、ヤフーやミクシィなど6社が公式サイトで電話番号を掲載せず、うち5社は番号案内(104)にも登録していなかった。
中高生に人気の携帯交流サイト「グリー」では電話番号は非公開で、その理由を「メールの方が応対の記録を管理しやすいし、電話対応だと人件費がかさむ」(グリー広報)と説明する。だが、同じく携帯交流サイトの「モバゲータウン」を運営する「ディー・エヌ・エー」では昨年1月、「ネットに不慣れな親の世代を想定して」、電話番号を掲載したところ、保護者などから年間1000件近い電話の問い合わせを受けた。
総務省が今年1月実施した動向調査では、「過去1年間にネットを利用した」との回答は74%にのぼったが、「毎日少なくとも1回以上利用する」のは43%、60歳以上だと32%に落ちる。
社団法人「消費者関連専門家会議」によると、企業が電話窓口を設け始めたのは、公害問題などで消費者意識が高まった1960年代後半から。「電話対応は、消費者に開かれた基本的な窓なのに」と石川純子事務局長は不安を口にする。
また、消費者問題に詳しい植田勝博弁護士は「IT系企業ばかりでなく、一般企業でも、電話番号をHP上で見つけにくい場所にしか掲載しないなど不親切。あっても音声自動案内だったりするところが増えている」と指摘している。
◆トラブル情報「HPのみ公表」増える◆
一般企業や団体でも、トラブル情報について公式サイトだけで公表するケースが増えている。
独立行政法人「石油天然ガス・金属鉱物資源機構」(川崎市)では今年7月末以降、公式サイトが海外のハッカーから攻撃され、コンピューターウイルスに感染。同サイトを閲覧した人のパソコンも知らないうちに感染し、個人情報が抜き取られるタイプで、最大約2000人分が感染した可能性があった。ところが、同機構は9月18日にサイト上で告知したほか、メールマガジン登録者に連絡しただけ。全国農業協同組合連合会(東京都千代田区)も同様に公式サイトがウイルスに感染しながらサイト上でしか告知せず、「サイトを閲覧した方が再びチェックするとは限らず、対応は不十分だった」とする。
伊藤ハム東京工場に製造委託したソーセージでトルエンが検出された生活協同組合連合会ユーコープ事業連合(横浜市)の場合、当初はサイト上での告知と組合員への連絡にとどめたが、店頭で販売した商品約8000袋のうち1割以上が回収できなかったため、発覚の4日後に一般紙などにおわび広告を掲載した。