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12月26日17時9分配信 ITmediaエンタープライズ
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081226-00000057-zdn_ep-sci
某月某日深夜、都内某所。ブログサービスを提供する会社に所属し、サービスの企画から立ち上げ、運用に携わってきた方々に集まっていただき、ブログの黎明期から現在に至るまでの苦労話やエピソードなどを伺った。
●ブログとは何ぞや
―― まずは、皆さんがどのような経緯でブログ事業を始められたのか、お話いただけますか。
A社 ブログは、いまでこそすごい数の人が参加するようになりましたが、5年ぐらい前は日本ではまったく流行らないだろうと思われていました。そのころブログをやろうという企画をしたのですが、社内で即却下されました。とにかくあのころは、ブログとは何かを会社の人がまったく理解してくれなくて。ブログの企画を通すのが、本当に難しかった。
B社 「インターネットの話は17文字で説明できなきゃダメ」とかいわれてましたもんね(いまでも、インターネット上の広告テキストは17文字という規定のものが多い)。
D社 私はそのころ掲示板サービスをやっている会社にいて、ブログをやりたいと思った。確か「ブログは掲示板の延長線上にあるサービスだ」と会社に説明しましたっけ。
B社 当時テンプレートホームページというものがはやり始めて、「そういうものはやらなきゃ」と調べてみたらブログにたどり着いた。でも「テンプレートホームページの延長」という説明では、ブログが何かを説明できませんでしたね。
C社 うちは、社長が「やろう」といいだした。とにかく作らなければならないという状況で、ブログをやることが決まってからサービスを立ち上げるまで、なんと1週間で作り上げました。
B社 日本で最初にブログツールを提供した大手がライブドアで、ブログの普及に貢献したのがニフティのココログでしょうかね。はてなダイアリーは面白いですよね。はてなキーワード(文中の同じキーワードを共有するはてなの共有辞書サービス)とか周辺の機能がけっこう面白い。
●ユーザーを増やせ
―― アメブロはいま、すごい人気ですね。
C社 でも最初は後発で、ユーザーを増やすために、ランキングで賞金とか出してましたよね。なりふり構わずって感じで。でも結果的には、それで「実録鬼嫁日記」などの人気ブログが出てきた。
A社 一時期、JUGEM(ジュゲム)のユーザーがすごい増えて、ライブドアを抜いたことがありました。それで、ライブドアの堀江さんがえらい怒ったとか。でもそのあとサーバの統合に失敗して、新規会員の募集を止めなきゃならなくなった。そのときに、FC2が出てきた。FC2がなんで伸びたかというと、JUGEMのテンプレートを使えたというのがあって、JUGEMがトラブっている間にユーザーがゴッソリ移動した。
B社 ライブドアといえば、やっぱり「エログ(素人女性による、セクシーな写真を中心としたブログ)」ですかね。2004年の夏ごろに、雑誌のSPAで「エログがスゴイ」という特集をやって、ブログより先にエログが世間に知れ渡った。
A社 エロはいま、携帯に移ってますね。
C社 そういえば、エログのサービスをやって課金するかという件を、真剣に検討したことありますよ。
●アルファブロガーを探せ
―― いまだからいえる、きわどい話ってありますか?
B社 きわどいのはやっぱり、評論家のSさん事件でしょうか。2004年12月に日本中のブログサービス事業者を集めて、彼が演説したことがある。ブログ界の芥川賞をやりたいって。
D社 そのときの言い方がインターネット目線じゃないというか、なんだか上から命令されているように感じて、結局は誰も彼の提案に反応しなかった。
A社 そうそう、そんなこともあったよね。Sさんが演説しているときに「エイヤ! でやってください」って何度も言ってて、それがやたら耳に残ったなぁ。
B社 このこととは全然関係なく、いまではアルファブロガーアワードとかがありますよね。
A社 僕はアルファブロガーって、いまだによく分からないんですよね。どんな人が受けるかは、事業者サイドではあまり意図してはできないですし。「キャラ弁(アニメや漫画のキャラクターや芸能人の顔などを模した弁当)」とかで、主婦が一気に有名になったりするじゃないですか。
D社 JUGEMに「排気口」だけをひたすら追いかけてモブログ(携帯電話のカメラやネット機能を利用して更新するブログ)している人がいますね。あと「廃墟」とかは、受ける定番のテーマだったりしますね。
B社 いまのデジタル一眼レフカメラのブームって、理由の1つはブログからきてるんじゃないかと思います。自分で撮った写真を掲載できる場所って、やっぱりブログが多いでしょう。
●土下座して炎上
―― サイバーエージェントの藤田社長が離婚したときは、アクセスが集中してアメログはサーバがパンク状態でしたよね。
A社 JUGEMは、サーバ統合に失敗して1年ぐらい新規募集などが止まっていたことがあった。そのときに、社長が土下座して謝っている写真をブログにあげたら、それが炎上してしまった。そのあとの対応がやることなすこと全部裏目に出て、炎上しまくりましたね。
B社 ブログ炎上の走りといってもいいかもしれない事件でしたね。ところで、炎上するときに、トラックバックってよくないですよね。
D社 トラックバックって、遠くから聞こえるように悪口言ってるというか。それと同じことが、最近のはてぶコメントにもあるかもしれませんね。
―― 芸能人ブログについては、どう思われますか。
D社 ブログってCGM(Consumer Generated Media)で、もともとユーザが作るものっていう感覚があるじゃないですか。有名人が書いてアクセスを稼ぐのはどうかという意見があったり。
―― 有名人や芸能人で新たにブログを書いてもらうとしたら、誰がいいですか。
D社 いまなら安室奈美恵さんですかね。彼女がブログを始めたら最強じゃないでしょうか。
A社 ジャニーズのタレントにもやってほしいですね。彼らは、いまは有料の会員制のサービスの中でしか書いていないですから。
B社 朝日新聞とか大手の新聞社ですかね。新聞記者がブログを書く。新聞記者って、ちょっとブログを馬鹿にしているところがあるような気がします。だから、あえて彼らにブログを真剣に書いてほしい。
●ビジネスモデルを模索せよ
―― 今後のブログシーンは、どうなっていくと思いますか。
D社 ゼロから開発するという意味での新規参入は、ほとんどないのではないでしょうか。いまはむしろ、中堅以下のサービスが厳しい状況にさらされている状態だと思います。新しくなにかやる場合には、現状すでにあるブログを生かしたものの方がビジネスにしやすいかもしれません。
A社 広告モデルだと、ページビュー(閲覧数)と値段しか見られない。そうすると、ブログの中身ではなくて、掲載料金の安いところに広告主は流れてしまい、差別化のポイントが値段になってしまう。
D社 ブログ黎明期の早い段階でサービスを有料化にしておけばよかったかな、とも思います。
C社 当時はそれどころではなかったから。ブログをみんなに知ってもらいたい、その一心で事業者間を越えて力を合わせてここまで来た。
D社 広告モデルじゃない新しい仕組みは欲しいところです。いまはなんとかなっていても、ずっとこのままでいいのかという漠然とした不安はあります。このままで、本当に面白いものが今後生まれてくるのかという。
B社 ニフティなんかは、ブログだけじゃなくてさまざまなサービスを有料化しようと試みたけど、無理でしたよね。
B社 課金の仕組みは何かほしいですね。『投げ銭』みたいな、簡単にできる少額課金の仕組みがあるといいのかもしれない。いいブログがあったら、読み手がそれに対して対価を払えるような。
D社 サービス事業者の儲けもありますが、書き手にもお金が入ってくる仕組みがあればいいと思います。サービス事業者も書き手も、両方がハッピーになれる世界になってほしいです。
―― 皆さん、ありがとうございました。