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株式日記と経済展望
http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu180.htm
http://blog.goo.ne.jp/2005tora/
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開発コストに占めるソフトウエアの割合はDVDレコーダーでは約60%,
携帯電話では約80%に達している。付加価値がソフトウエアにシフトする
2008年11月24日 月曜日
◆「オープンソースが組み込み機器にもたらすインパクトとは」 11月22日 日経BP
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20081122/319750/?ST=oss&P=2
「組み込み開発に押し寄せるオープンソースの波は日本の産業に何をもたらすのか」---2008年11月21日,組み込み技術展「Embedded Technology(ET) 2008」で「オープンソース・イノベーション:ソフト開発のエコシステムを求めて」と題するパネルディスカッションが行われた。
パネリストはオープンソースのプログラミング言語Rubyの作者 まつもとゆきひろ氏,アプリックス 代表取締役社長 郡山龍氏,CE(Consumer Electronics) Linux Forumマーケティング・チェアでソニー テクニカルマーケティングマネージャ の上田理氏。モデレータは日経BP社 執行役員 日経エレクトロニクスの浅見直樹発行人が務めた。
自前主義から部門・企業のカベを越えた統一へ
モデレータの浅見氏は日経エレクトロニクスの記事を示しながら「開発コストに占めるソフトウエアの割合はDVDレコーダーでは約60%,携帯電話では約80%に達している。組み込み機器を作ることはソフトウエアを作ることとイコールに近付いている」と指摘。そして「かつてはソフトウエアを部署ごとに自前で作っていたが,開発コスト削減と品質確保のためにプラットフォームの統一が大きな課題になっている」という問題意識を提示した。パナソニックは6年前,全社共通プラットフォームをUniphierと呼ぶチップとミドルウエア群に統一した。統一すれば当面は移行などのために作業は増える。しかし同社は10年後を見越して決断した。その経営判断が現在のパナソニックを支えている。
さらに一企業の部門間にとどまらず,企業間のカベを越えたプラットフォーム統一が進行している。「5年ほど前,パナソニックがデジタルテレビに最初にLinuxを使い始めた。国内ほぼすべてのメーカーのデジタルTVがLinuxを採用しており,HDDレコーダーの多くやHDDビデオカメラにも使われている」(CE Linux Forum 上田理氏)。
CE Linux ForumはLinuxを採用する家電メーカーなどが参加するコミュニティである。現在は世界のメーカーから技術者が参加しており,日本,米国,欧州,韓国などでイベントが開催されているが,その源流はソニーとパナソニックがLinuxを共同開発するために提携したことにある。
ソニーでも自社でOSを開発していた。「プロプライエタリなOSは何でも自分で自由にできる。しかし,新しいデバイスの対応,新しいネットワークへの対応,バグの修正,全て自社で行わねばならず,その開発コストが重くなってしまった」(上田氏)。現在ではソニーの主要製品のほとんどがLinuxを採用している(関連記事「ソニー中鉢社長がOSS推進フォーラム幹事に就任した理由」)。
世界の技術者による協業
Linuxが普及した最大の理由のひとつは,オープンソースであることにある。
Rubyの作者であるまつもとゆきひろ氏はオープンソース・ソフトウエアの定義と歴史を解説した。「ソースコードが公開されているオープンソース・ソフトウエアは開発者に問い合わせることなく情報が得られ,自由に改良でき,開発者同士が協力しやすい」(まつもと氏)。世界中の開発者が協力
Rubyもオープンソースで公開したことで世界中からプログラマが開発に参加,まつもと氏が作業することなくCrayのスーパーコンピュータや,携帯電話向けOSであるSymbianにまで移植されている。またデンマークに在住していたDavid Heinemeier Hansson氏がRuby on Railsと呼ぶフレームワークを開発しオープンソース・ソフトウエアとして公開したことでWebアプリケーション向けにも普及。米GatnerによればRubyプログラマの数は現在100万人弱,4年後には400万人に達する見込みという。
組み込みLinuxにおいても,企業のカベを越えた協力により改良が行われてきたと上田氏は言う。もともとデスクトップやサーバー向けに開発されてきたLinuxには,必要メモリー・サイズの大きさ,起動時間,省電力機能など,組み込み機器に使用するためには解決しなければならない課題が多数あった。しかし,競合する企業同士が協力したことで短期間に改良が進み,現在では携帯電話やデジタルカメラなど,消費電力や起動時間の制約が厳しい機器にも多数搭載されている。さらに省電力機能がブレード・サーバーのメーカーにも注目されるなど組み込み機器以外の分野にも効果をもたらしつつあるという。
携帯電話向けJavaプラットフォームJBlendなどを開発するアプリックスの郡山龍氏は「ソフトウエアは人間の叡智だけで作られている唯一の工業製品であり,ソフトウエアこそが機械に生命を吹き込む」と組み込み機器におけるソフトウエアの重要性を強調。そして「昨日自分が書いたコードより,今日書いたコードの方が進歩している。昨日のソースはもういらない。誰かがすでに作ったものと同じものを作って人間の叡智を無駄遣いしないためには,昨日のソースコードは共有し,新しいこと,差別化になる部分に叡智を使わなければならない」と指摘した。
日本人はソフトウエアが苦手か
モデレータの浅見氏は「日本人はソフトウエアが苦手なのだろうか」という質問を投げかけた。
ハードウエアに比べ,ソフトウエアでの日本の存在感は薄い。米GoogleはLinuxとJavaをベースにしたAndoridというソフトウエアを公開しただけで,自らはハードウエアを作ることなく「Google携帯」を誕生させた。日本人はソフトウエアが苦手なのだとすれば,組み込み機器の付加価値がソフトウエアにシフトしてくことは,日本の産業にとって不得手な分野の比重が大きくなることを意味しかねない。
日本よりも海外に多くのユーザーを持つRubyの作者まつもと氏は「日本の開発者の技術が海外の技術者に劣ることは全くない」と断言する。しかし「商業的に成功するためにはリスクをとらなければならない。日本は失敗に厳しい社会で,利口であればこの社会でリスクはとれない」と,問題は「日本人」ではなく「日本」にあると指摘した。
米Microsoftで日本語OS/2のプロダクト・マネジャーを務めていたアプリックスの郡山氏も「日本人のソフトウエア技術は高い」と言い切る。「日本はソフトウエアが苦手という論調が不愉快で,見せてやろうという思いがあった」(郡山氏)。同社のJBlendの累計出荷数は1億数千万台になるが,うち半数以上の約1億台が海外だという。
自由か無料か
オープンソース・ソフトウエアはかつて「フリー・ソフトウエア」と呼ばれていた。浅見氏は「この『フリー』という言葉は『自由』を意味するのか『無料』を意味するのか」と改めて問いかけた。
まつもと氏は「無料という表現には違和感がある」と語る。まつもと氏がフェローとして所属する企業であるネットワーク応用通信所もシステム構築などでソフトウエアを開発しビジネスを行っている。「無料であることよりも(改変や再配布が)自由であることから大きな恩恵を受けている」(まつもと氏)。CE Linux Forumの上田氏も「無償ソフトウエアと書かれると戸惑う。サポートすることも無料だと思われると悲しい」と述べた。
浅見氏は「メディアが『無償ソフトウエア』と書くことがソフトウエアの対価が低いことにつながるとしたら,自戒していかなければならない」と,ソフトウエアが大きな商業的価値を生み出していることを改めて強調した。
(私のコメント)
最近はブルーレイのレコーダーを欲しいと思って注目しているのですが、ブルーレイ機器に関してはパナソニックとソニーが一歩リードしている。それは開発スピードが他のメーカーとは違うからだ。DVDレコーダーの頃は東芝やシャープも同じレベルだったのですが、東芝やシャープはなかなかブルーレイレコーダーを出せなかった。
東芝はHDーDVDで負けたわけですが、ソフトウェアの開発スピードが遅くてHD−DVDの発売で出遅れてしまった。東芝は一社でソフトを開発していたから時間がかかってしまったわけですが、ソニーとパナソニックはLinuxを共同開発するために提携して開発スピードを速めた。
Linuxを採用していれば外部にソフト開発の委託や開発コストを下げる事ができるが、一社で囲い込んでいると時間もコストもかかるようになってしまった。Linuxが普及した最大の理由のひとつは,オープンソースであることにある。Linuxを使えるソフト技術者は世界に沢山いるわけであり、自由に改良でき,開発者同士が協力しやすい環境にある。
日経BPの記事にもあるように現在の製品開発費のほとんどがソフトウェアの開発費であり、ブルーレイレコーダーも携帯電話も60%から80%がソフト開発費だ。だから他社製品を分解して同じものを作ろうとしてもチップに内蔵されたソフトはコピーできないからコピー商品はなかなか作る事が出来ない。
だから中国や韓国が日本を追い上げて追い越すといっても簡単にはできない。プログラムの数百万ステップのわずかな部分をブラックボックス化すればコピーする事は不可能だ。だからこれからの産業はソフト開発力のある企業が利益を独占していく世界であり、一旦遅れるとなかなか追いつくことは難しい。
ソフトウェアの開発も要するに積み重ねであり、昨日自分が書いたコードより,今日書いたコードの方が進歩している世界であり、コードを覗くことは暗号を解く事と同じ作業だ。例えばWindowsのコードを覗くことは不可能だ。だからオープンソースのLinuxで開発する事が進んでいますが、強大なマイクロソフトのWindowsもすべてのソフトを一手に開発する事は不可能であり、Linuxに携帯や情報機器のOSは移ってしまった。
だからコンピューターが使われていないような日用品などにおいては中国も直ぐに作れるが、作ったとしても中核部品は日本やアメリカから輸入して作らなければならない。その意味ではパナソニックやソニーはマイクロソフトやインテルと同じような商売をしているのであり、東芝やシャープがブルーレイレコーダーなどで追いつくのはかなり困難だろう。
日本の携帯電話もガラパゴス化しているとエコノミストたちは言うけれど、日本の携帯メーカーは早くからオープンソースを使ってソフト開発しており、その開発スピードに海外のメーカーがついてこれないというのが実情だろう。黒船として登場したiPhoneも見かけだおしであり、デザインは斬新だがソフトがバグが多くてよく落ちるようだ。ソフトを改良していけばバグも解消されるのでしょうが、アップルが数年かけて開発されたiPhoneもこの程度なのだ。
アメリカなどは軍需産業がダントツにリードしていますが、軍事兵器はソフトの塊でありもちろん公開する事はできない。だから軍需産業のレベルがいくら高くても民需に反映されないのであり、アメリカやロシアや中国は優秀な人材を軍需産業に取られて民需産業は日本に立ち遅れてしまった。
自動車なども最近はコンピューターの塊であり、自動車本体よりも備え付けられたコンピューターのほうが価値を持つようになっている。だからGMやフォードが日本車並みの製品を作れといってもなかなかそれは難しい。なぜ戦車やミサイルを作る技術があるのに自動車は出来ないのだろうか? それはソフトが全く違うからだ。
自動車なども世界中の国が国産車を作っていますが、なかなか日本車やドイツ車のような高性能の車が出来ないのも、エンジンをコントロールするのもコンピューターであり、そのソフトはノウハウの塊だ。しかしソフトはコピーできないから自動車は出来ても加速が悪かったり、サスペンションコントロールが出来なかったり、燃料コントロールも悪くて燃費もよくなかったりする。すべてソフトに差があるからだ。
技術の分からないエコノミストたちは車のデザインや携帯のデザインだけで、韓国車も良くなったとかiPhoneのデザインを見て絶賛したりしているが、実際に使ってみれば見かけだおしなのはよく分かるだろう。それくらいソフトプログラム自体をコピーする事は暗号文を解読するようなものであり、技術を積み重ねながらソフトも書き換えていくような作業は真似が難しい。
日本が情報機器で一時アメリカに遅れをとったのはWindowsがブラックボックスであった為であり、Linuxのようなオープンソース・ソフトウエアを採用する事で、日本の情報製品はアメリカをリードする事ができるようになった。そうでなければWindowsが唯一のOSであったならば日本はアメリカに永久に差をつけられていたことだろう。Windowsだと改良が出来ないから日本のメーカーは手も足も出ない。
新興国のハイテク産業の進歩は著しいといっても、新興国は日本やアメリカから製造装置を一式輸入して製造しているだけだ。メモリーや液晶パネルの製造も韓国や台湾が世界一になりましたが、製造装置は日本から数千億の金をかけて輸入している。製造装置メーカーはそのノウハウまでつけて販売した。だから新興国は資金も技術も輸入して製造しているだけであり、市場を一時は席捲しても開発力がないから時間が経つと経済危機を起こすようになる。
昨日の株式日記でも書いたように、世界の覇権国とはダントツの科学技術力を持った国であり、現代では圧倒的にアメリカが科学技術力でリードしている。コンピュータソフト開発力もアメリカが圧倒的であり、日本の電機メーカーの多くもアメリカのソフトメーカーに開発を委託している。しかし主要産業の動向を見ると自動車や情報家電製品の品質は日本がリードしている。
コンピューター自体はアメリカがリードしていても、自動車や情報家電への組み込まれたコンピュータ技術が日本は強いのであり、オープンソースを利用して作られている。最近ではパソコンもWindowsからLinuxで動く小型のノートパソコンが多くなり、巨大ソフトメーカーのマイクロソフトも限界が見え始めた。オープンソースのLinuxの蓄積された技術がWindowsを越える日も近いだろう。
日本人のユーザーは世界一品質にうるさい国民であり、それが自動車や携帯などの情報家電製品にソフトの改良に結び付けている。それが世界一の製品を作り出す元になっており、大雑把なアメリカン人にはそれが出来ない。アメリカ人は自動車も安くて走ればいいと思っているが、日本人は燃費やハンドリングや騒音などにうるさい。携帯などもきびきび動く携帯でないと文句が出て売れないが、欧米の携帯は通話が出来ればいいと思っているから高性能品が出来ない。
つまりこれからはソフトを細かく改良できる能力が問われるのであり、アメリカや中国やインドなどにそのような製品が出来るのだろうか? パソコンのWindowsもバグだらけの欠陥商品なのですがアメリカのメーカーだからそれでも平気だ。日本のメーカーがパソコンOSを作っていたのならもっと完璧なものが出来た事だろう。
ソフト開発は小さなバグ一つが命取りになる事もあるから、大雑把なアメリカ人や中国人やインド人には限界がある。むしろ細かく緻密さが要求されるソフト開発こそ日本人が最適な条件を持っている。このような付加価値の高くてコピーできない製品こそ日本が作って行けば世界をリードできる国になれる。
任天堂は世界一の高付加価値製品を作るメーカーですが、一人当たりの利益ではゴールドマンサックスをも上回る利益を稼いでいる。ヒット商品のWiiにしても開発に何年もかけて出来たものであり中国や韓国がコピー商品を作るのは難しいだろう。最近では中国や韓国は日本で定年退職した技術者をスカウトして開発しているようですが、自前では技術者の養成に失敗しているからだろう。