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http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20071214/289590/?P=1&ST=broadcast
存在してはいけないはずの、“ある”地上デジタル放送チューナーが登場し、国内の放送業界が騒然となっている。2007年11月初旬ごろから、インターネット経由でごく少数販売されている「Friio(フリーオ)」がそれ。パソコンにUSBケーブルで接続し、視聴ソフトをインストールすることで、テレビ番組を見たり録画したりできる製品で、価格は1台2万9800円だ。
なぜ、Friioは存在してはならないのか。実は、Friioを利用してテレビ番組をデジタル録画すれば、同じ画質でいくらでもダビングできるのだ。現在の地上デジタル放送は、コンテンツを提供する放送局と、受信・録画機器を販売するメーカーが、著作権を保護するための技術的なルールをお互いに守ることで、テレビ番組が不正にダビングされて流出することを防いでいる。Friioの存在は、放送局とメーカーが築き上げてきたこのスキームを根底から覆しかねない。日経パソコンは今回、少数が出回っているFriioの入手に成功した。Friioの機能を検証した第1報をお届けする。
ネット経由で注文し、台湾から個人輸入
Friioは、インターネット経由で注文して、台湾から個人輸入するという仕組みで国内に出回っている。台湾から届いたパッケージの中身は……
ネット経由で注文し、台湾から個人輸入
Friioは、インターネット経由で注文して、台湾から個人輸入するという仕組みで国内に出回っている。台湾から届いたパッケージの中身は、Friioの本体と簡素なマニュアルだけだ。本体の大きさは、幅38×奥行き180×高さ170mm。プラスチック製の白いきょう体にスイッチ類はなく、インタフェースも簡素だ。
本来、地上デジタル放送を受信するには、放送番組のスクランブルを解除するための「B-CASカード」が必要だ。B-CASカードは、放送局やメーカーなどが設立したビーエス・コンディショナルアクセスシステムズ(B-CAS)が発行している。デジタル放送対応のテレビやパソコン、レコーダーなどには、必ずB-CASカードが付属する。ところが、Friioには、B-CASカードは付属しない。ユーザーは、何らかの手段でB-CASを入手して、Friioのカードスロットに装着する必要がある。
Friioを使う前にユーザーは、FriioのWebサイトからドライバーソフトと、地デジを視聴・録画するためのソフトを入手しなければならない。この際、購入時に入手できるIDを入力する。ソフトをインストールして、FriioをパソコンにUSBケーブルで接続すると、Windows上でFriioは、「USB Smart Card reader」として認識される。Friioは、USBのバスパワーだけで駆動するので、ACアダプターは不要。B-CASカードを挿入して、アンテナを接続すれば、設置完了だ。
地デジのテレビ番組を視聴するには、インストールした視聴・録画ソフト「Friio HDTV Player」を起動する。東京23区内であれば、あらかじめ地域情報を設定済みなので、設定を変更する必要はなく、すぐに視聴できる。Friio HDTV Playerの画面はテレビ番組を映す上部ウインドウと、コントロールのための下部ウインドウで構成する。チャンネルを切り替えるには、コントロール部の左下にある「Channel Setup」をクリック。チャンネルリストがポップアップするので、目的の放送局を選び「Set」ボタンを押せばよい。画質は、通常のテレビパソコンと比べて、遜色のないレベルだ。
録画ファイルを暗号化せず生成、複製も自在
録画は、コントロール部の中央にある「Rec」ボタンを押すだけ。録画が完了すると、ハードディスク上に拡張子が「.ts」のファイルが生成される。ファイル名は、録画した日付や時刻を自動的に含んだものになる。このファイルのデータ形式は、デジタル放送やHDDレコーダーの録画ファイルなどに利用されている「MPEG-2 TS」だ。
HDDレコーダーやパソコンでデジタル放送を録画した場合、録画データは暗号化して保存する。暗号を解く鍵は、それぞれの機器で異なっているため、デジタル放送の録画データは、原則として、録画した機器でしか再生できない。また、HDDレコーダーやパソコンなどで保存したデータには、コピー制御情報(CCI)が含まれているため、通常は録画データをコピーすることはできない。
一方、Friioの録画データは、暗号化されていない。このため、MPEG-2 TSに対応した動画再生ソフトを利用すれば、録画データを簡単に再生できる。また、Windows上で録画ファイルのコピーが可能で、コピーしたファイルも問題なく再生できる。これは、Friioを利用して録画したデジタル放送の番組を、劣化なく好きなだけダビングできることを意味する。また、DVD書き込みソフトを利用すれば、録画番組のDVDビデオの作成が可能。別の形式の動画に変換することもできる。
これだけの機能を実装しているとなると、当然ながらFriioはその適法性を疑われることになる。自由に複製や加工のできる.tsファイルをパソコン上に生成できることは、電波産業会(ARIB)が定めた地上デジタル放送の技術仕様に抵触するほか、不正競争防止法に違反する可能性もある。また、Friioのユーザーが録画したテレビ番組のファイルを他人に譲渡したり、インターネット上にアップロードしたりすれば、著作権法違反となる。日経パソコンとして、Friioの購入や使用を推奨するものではない。
国内の放送局やメーカー、コンテンツホルダーなどの各業界に与えるFriioの衝撃は甚大だ。日経パソコンは、Friioの実体と、その影響について、引き続きレポートしていく。
衝撃のコピーフリー受信機「フリーオ」、その仕組みをひもとく
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20071217/289646/