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http://blogs.itmedia.co.jp/serial/2007/11/post_1d70.html
ブロガーがもらえる金銭的なインセンティブはものすごーく少ないです。常日頃そう考えています。アフィリエートをやったとしても、AdWordsを付けたとしても、もらえるのはン百円、ン千円、よくて1桁万円台前半ぐらい。
更新頻度の高い人になると週に2-3回密度の高い投稿を上げるわけですが、非常に高い熱意と見識とでもって書かれるそうした投稿群に対して、1ヶ月合計が最大1桁万円台前半ではインセンティブになり得ません。と少なくとも私個人は思います。
ものを書いて食べていた頃、雑誌記事を書くのに「1ページ5万円以上でなきゃイヤだ」と言っておりました。物書きをやめる最後の時期です。出版筋の方がこれを読むと「とんでもない奴だ」という印象をお持ちになると思いますが、けれどもそれはメディア側の発想であって、情報収集をして取材をして自分サイドでは二版三版と時間を使って書いて、それで2pで6万円では浮かばれません。事実、2pもの連載記事が5本あったとしても、その月の売上は50万円。一般的に連載記事を5本、それも2pの分量があるものを毎月コンスタントに質を落とさずに書いていくというのは、非常に非常に労力と集中を要することです。
自分の場合1998年ぐらいからシンクタンク等の仕事をさせていただくようになったこともあって、毎月の売上が当時100〜150万円程度あり、記事執筆のギャラがたとえ低くてもあまりこたえないという状況でしたが、それでもページ単価3万円ではインセンティブをまったく感じなかったな。コスト・労力・中身に対する正当な対価等を考えると、ちょっと…。
そうした水準でブロガーが得る金銭的なインセンティブを考えると、やはりインセンティブとは言えないなーという感じです。お小遣いというのとも違う。何かの取材などに応じていただく謝礼ぐらいの感じです(以前は額面500円のテレホンカードがよく使われていました)。いわゆるお車代が5万円が最低相場であることを考えると、お車代とも言えない。正直なところそう思います。
ブログがつまらなくなったという議論が最近行われていますが、私の考えでは、ここで述べている金銭的なインセンティブが実質的に「ない」という状況で(無形のリスペクト等の報酬だけという状況で)、相当の見識や能力や知識等々がある方がブログを書き続けられるのは2年程度である、従って2年を過ぎるあたりから急速に更新欲が薄れてきて、それが今現れている現象なのではないか、というところです。
2年という数字にどういう意味があるかは、以前に述べました。
一般論として、才能は報酬を求めます。以前どなたかの文章で、その時代時代のもっとも優秀な才能は、もっともギャランティが大きな業界に集まる、という意味のことを書かれていたのを読んだことがあります。それも真実だなと思いました。
70年代〜80年代前半であれば広告業界。その前はテレビ業界。80年代後半の一時期は音楽業界、それからゲーム業界と推移して…。90年代後半から金融業界になっているんでしょうか?これからは…実物資産の最たるもの、食糧?(なんちて)
ブログがおもしろかった時期というのは、放っておいても無形の大きな報酬を求めて無数の才能が集まっていた時期だと思うのです。けれどもその無形の大きな報酬がだんだんとコモディティ化して報酬として機能しなくなった。上述のように金銭面ではとるに足らない。そこで更新欲がうせて行く。そういう図式があるように思います。
ブログというものがキャズムを越えられるかどうかの瀬戸際なんでしょうね。
もしここで新種のインセンティブが開発され、提供されるならば、更新欲が減退したブロガーももりもりと復活してきて、また、新たな筆力を発揮してくれるかも知れない。あるいは、これまで眠っていた膨大な実務系専門家系プロフェッショナル系の人たちが夜に昼にブログを書き継ぎ、膨大な日本語の知識資産がインターネット空間にあふれるようになるのかも知れない。そんなことを本気で考えています。
いま、開発している[pepoz](ピーポーズ)というサービスは、非常に貴重な経験や専門ノウハウをお持ちの方が30分とか60分とかの時間を一人の顧客のために使い、金銭的な対価を得るという骨格を持っています。[pepoz]のブログパーツを自分のブログに貼り付けて、自分の空き時間と対応できる内容を明記しておくと、誰かがぽちっと押して予約してくれる。イメージとしては、その人の年収から割り出した時給に相当する金額あるいはそれ以上を対価として得る、という世界を目指しています。もっとも金額は需給で決まってくるわけですが。
このモデルには賛否両論あって、ものすごーく評価をしてくださっている方もいれば、そんなもの成立するわけがねーとおっしゃる方もいます。双方の言い分はよく承知しています。ですが、あえてそれをやるのです。
そういうインセンティブが機能し始めれば、ブログはキャズムを越えられるということになるのかもしれませんね。