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(回答先: 初音ミク すごい歌があつまってきてます。動画も。 投稿者 自分への旅 日時 2007 年 10 月 29 日 22:29:04)
http://it.nikkei.co.jp/digital/news/index.aspx?n=MMITel000017102007
前回のコラム「テレビ関係者は『初音ミク』を侮ってはいけない」では、続々登場しているオンラインの制作ツール類が、ネットでのコンテンツ制作の分業や共有を推進し、テレビを見るより自らコンテンツ制作を楽しむというスタイルに発展する可能性について述べた。ところがもう1つ、テレビ関係者が今一度認識しておいた方がよいことが、ある番組をきっかけにまたはっきりしてきた。
■TBSが番組で「初音ミク」を取り上げたが・・・
TBS系列で10月14日に放送された情報バラエティー番組「アッコにおまかせ」で音声合成ソフト「初音ミク」を紹介したコーナーに対し、一部ネット上で批判が相次いでいる。
初音ミクは、気になる最新キーワードを紹介するコーナーで「無限ぷちぷち」とともに取り上げられた。3分弱のVTRは初音ミクで楽曲を制作するユーザーと、初音ミクを開発した会社への取材で構成され、前半部分はソフトの概要と開発にいたった経緯が説明されている。
ネットで特に問題になっているのは、ユーザーの部屋に張られたアニメのポスターやコスプレ用の制服、ユーザーがフリーターであることを揶揄したナレーションなどが流れた後半部分だ。ソフトウエアの純粋な紹介ではなく、アニメやコスプレにはまるオタクの奇妙な生態、といった取り上げられ方をした点に批判が集まった。
■テレビとはこんなモンなのだが
<拡大>
「初音ミク」は、メロディーと歌詞を入力して楽曲のヴォーカルパートを制作する歌声合成ソフトウェア
ボクシングや相撲などの問題とは異なり、今回の初音ミクの件が世の中的にほとんど騒ぎにならないのは、「アッコにおまかせ」の取り上げ方が、世の中の多くの人々とそれほどズレてはいなかったからだ。地上波テレビは常に視聴者が求めているものに迎合する。読者の中にはこのことに全く納得できない人もいると思うが、テレビは数字が取れないことはやらない。
番組自体の構成は、私のテレビ番組制作に関わってきた経験からもオンエアを見る限りごくごく普通だ。制作側に意図があるのは当然。意図無きコンテンツなど少なくともテレビでは成立しない。制作側が用意した原稿を読むように、コスプレ衣装を着るように強要されたと言うなら話は別だが、そうではないようだ。ところがネット上では過激な批判が後を絶たない。
おそらくテレビ関係者は、ネット上での今回の番組に対する批判の大きさ(それはネットでもごく一部ではあるが)の理由がほとんど理解できないと思われる。制作側には何ら悪意がないからである。
逆に受け手側のある種の自虐意識が根底にあるが故の番組批判という見方もできる。テレビ局や世間的には「初音ミク=オタク」というステレオタイプ式が存在する。ところが初音ミクユーザー側からすると「初音ミク=DTM(デスクトップミュージック)」かつ「DTM>オタク」ゆえに「初音ミク>オタク」という式が成立するというわけだ。
■ネットを手にした視聴者は強くなった
たとえ制作者側が問題ないと思っていたとしても受け手がそう思わないケースが多々ある。時にマスコミの暴力と呼ばれ、その程度の判断能力もないのかとさらに批判にさらされる。これまでもメディアによる暴力が少なからずあったことは事実で、それに対して受け手はたいした武器も持っていなかった。ところがネットを手にしたことで視聴者側は発信することが可能となった。とくに今回批判をしている人たちはネットを自在に利用できるリテラシーを持った人たちだ。
いかなる番組を制作した場合でも、受け手側にはさまざまな意見や印象がある。発言の場はテレビ局が用意しなくても勝手にできあがり、あちらこちらでこれまで無視してきたような小さな批判が、いつのまにか大きなうねりとなって押し寄せてくるのである。これまでは視聴者センターに電話回線を何本用意するのかといった程度の話で済んで、夜中は留守番電話にでも対応させておけば良かったにもかかわらずだ。
■何が分からないのかが分かっていない
「アッコにおまかせ」の司会者である和田アキ子氏は「はっきり言わせていただく、分かりません」という言葉でコーナーを締めくくった。その通りなのだ。テレビ関係者にはよく分からないのである。
ここで「分からない」と言っているのは実は初音ミクのDTMソフトウエアとしての先進性でもなれば、オタク文化への理解や許容レベルの話でもない。受け手としての視聴者がどんどん変わり始めているということが分かっていない点を自己認識すべきだ。
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[2007年10月18日/IT PLUS]
-筆者紹介-
江口 靖二
プラットイーズ取締役
略歴
1986年 慶應義塾大学商学部卒
慶應義塾大学新聞研究所修了
(株)日本ケーブルテレビジョン(JCTV)入社
技術局、制作局、マルチメディア室、経営企画室を経て
開発営業部長。CS、BS、地上波の番組制作、運用を経験
2000年 AOLジャパン(株)入社
コンテンツ部プログラミングマネジャー。
2002年 (株)プラットイーズ設立に参画
現在企画マーケティンググループ シニアコンサルタント
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