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収量が重視される飼料用品種の稲(上)は、食用の稲(下)と比べて大きい
http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/0001516283.shtml
飼料の国際価格が高騰する中、外国産の牧草に代わる牛の餌として地域の田んぼで作る飼料用の稲が脚光を浴びている。価格上昇が続く輸入飼料に頼る経営が立ち行かなくなってきた酪農家が、国産品の利用へと動き出した。米余りで稲が作れない転作田の使途に悩んできた稲作農家も歓迎。餌の地産地消による酪農家との連携に期待が高まる。
まだ葉の緑が鮮やかな稲が刈り取られていく。九月下旬、加西市山下町の田んぼ。収穫されるのは「兵庫牛若丸」という牛の飼料用に開発された品種。同町の二十二の兼業農家でつくる営農組合・山下中農業共同事業協議会は、今年から休耕田の転作作物として二十二アールで試験的に栽培した。
食用の品種より収穫が早いのは、穂から葉まで稲全体の栄養が最も高い時期を選ぶため。専用の機械で筒状に束ねられた稲は別の機械を使いラップで包まれた後、乳酸発酵が始まり、モミも軟らかくなって牛が消化しやすい状態になり、一カ月で餌として使われる。
同様の稲作農家の取り組みは稲美町と神戸市西区でも進んでいる。背景には輸入飼料の高騰で、国産飼料の割安感が出てきたことがある。
農林水産省などによると、世界的なバイオ燃料人気で、原料となるトウモロコシの栽培面積の増加に押され、牧草畑の縮小などが響き、牧草の国際価格が上がっている。
乾燥させた一般的な輸入牧草一キロ当たりの価格は六十-六十五円で二年前より十円上がった。牛のもう一つの主要な餌であるトウモロコシはそれ以上に高騰し、酪農家の経営を圧迫する。一方、乳製品メーカーが酪農家から生乳を買い取る価格は今年四月に、一キロ当たり三円上がっただけだ。
今回の飼料稲を購入した酪農家中川一三さん(56)=加西市山下町=は「多くの酪農家が赤字で続けている。牧草よりも少し安く手に入ったので、牛が喜べばこれからも買いたい」と話す。
加西農業改良普及センターは本年度、飼料稲の生産者の収益や、稲を食べた牛の健康状態や牛乳の生産量などを調べる。
同協議会は「田んぼは稲が作りやすいし、多くの人が栽培できる。酪農家の要望があり、収益が上がれば栽培を拡大したい」という。(佐藤由里)
神戸新聞2008.10.11