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公約違反の銚子市立病院“閉鎖”に市民が大反対、臨時市議会開催に(JANJAN)
青野信之2008/08/07
いま、千葉県銚子市で市立病院の休止が大問題に。市財政の危機、と市長はいう。
だが、それは市当局が大学誘致のために90億円を支出するなどで招いたもので、そのツケを市民に回すことは許されない。また、市民が安心してかかれる命と健康を守る拠点を、安易に放棄することは市民の大局的利益からも合理的ではない。休止反対に立ち上がった市民の署名は約4万人にのぼり、今月中に臨時市議会が開かれる。市民の戦いは、正念場に差しかかっている。
市長豹変、9月末で病院休止と公約破り
わが地元である銚子市の唯一の公立病院(銚子市立病院)が、岡野市長の突然の公約違反により、9月末日をもって休止されるという緊急事態になっていることについて、報告いたします。
銚子市立病院は1984年に総合病院として開設され、この間、建設や維持に500億円もの公費が投入され、施設や医療設備、スタッフおよび医療技術など有形無形の人的・物的資産を形成してきました。また、地域医療に責任を持つ銚子市内唯一の公設病院として「市民の命と健康を守る」という役割を担ってきました。
さらに銚子市は、日本で最初の精神衛生宣言都市であり、先進例として高い評価を受けています。現に、市立病院の精神神経科には40名近い方が入院しており、1,000人近い人が外来として今も通っています。そして、精神科医療は不採算部門の最たるものであり、公立病院でしか担うことができないものであります。また、交通弱者の患者さんや精神科に通院する患者さんにとって、代わりの受け皿となる病院は見当たらない、というのが現実であります。
このような市民にとってかけがいのない市立病院が、市の財政危機を理由に現市長の公約違反によって9月休止という事実上の閉鎖へと追い込まれようとしています。
国の研修医制度や診療報酬制度の度重なる改悪により、銚子市立病院はこの数年間に医師不足が深刻化し、経営状況が年々悪化していることは事実ですが、その半面で市当局は新しい市立高校の建設をPFI方式(民間の資金、経営能力、技術力など活用して公共サービスを提供する方式)により行い、あらたに70億円近く借金する、としています。
また、前市政は銚子市への大学誘致に公費を90億円以上も投入しており、市の財政危機の最大の要因を作っています。市当局自ら作り出した財政危機であり、それを市民の宝である市立病院閉鎖という形で市民にしわ寄せすることは到底納得できません。
誇張も甚だしい“夕張の二の舞”の理屈
さらにいえば、この財政危機という市立病院閉鎖の理由も、検証に耐えられないシロモノです。 なにより、銚子市よりもきびしい財政状況の自治体においても公立病院の維持は、例外なく続けられているのが現状です。岡野市長は「9月末で休止しなければ、市の財政運営が立ち行かなくなる。」と言い、なにかにつけて、このまま市立病院を存続させたら、夕張市の二の舞になるとも言っています。
しかし、岡野市長が例に出す夕張市でも、地域医療の中核施設であり市民の大切なセーフティネットである市立病院は、現在でも存続させています。また、銚子市と夕張市を比較した場合、両者の財政規模の違いなどを勘案すれば、銚子市が“夕張市状態”にあると言えるためには、現在の時点で2千億円以上の負債が銚子市に存在しなければなりません。
しかし、現在の銚子市の負債は3百億円であり、市立病院存続派の市会議員さんによると、2007年度の一般会計の決算では黒字が見込まれるとのことであります。すなわち、わが銚子市は“夕張市状態”には“ほど遠い”というのが現状なのす。
また、休止すなわち事実上の閉鎖ともなれば、病院の看護師や医師など200人以上の雇用が失われ、彼・彼女らの退職金の工面など清算業務のために、新たに総額60億円が必要になり、市の財政危機は深刻になりこそすれ、緩和するとはとうてい思えません。
もし、今年の9月に病院を休止するとすれば、今年度中に12億円の清算費用の発生は避けられませんし、翌年度以降も毎年7億円以上の清算費用を払い続けなければならない事態となります。このように、財政的な側面から考えても早急な市立病院の休止(事実上の閉鎖)には一片の道理もありません。
市長は、この2年間で病院の企業会計に市の一般会計から30億円以上の補填をおこなってきたとし、今後も病院を存続するためには毎年、市の一般会計から9億円の補填をしなければ病院存続が不可能として、病院休止を主張しています.
しかし、年9億円の代わりに、市民の誰もが安心してかかれる医療の場・市民の命と健康を守る拠点を放棄することは、銚子市民の大局的利益からみて合理性があるとはとても思えません。週刊誌にも「公立病院の突然死が始まった」と書かれ、「首都圏『第1号』は銚子市立病院か」とも書かれています。このままでは、首都圏での公立病院閉鎖のドミノ倒しの引き金になりかねない、と思います。
このような現状から、心ある多数の市民は市立病院の事実上の閉鎖である休止に反対しています。そして、最低でも病院の休止を1年間延期し、公的病院存続への努力と具体案作りを銚子市当局に求めています。
市立病院の存続を求めて、7月19日には「公的医療を求める市民の集い」が開かれ、700名以上の市民が参加しました。そして、病院存続に向けた署名活動も開始され、短い期間に3万8996人分の署名が集められ、8月5日には市長のもとへ届けられました。同日夕には市役所前で署名報告会&デモ行進が開催され、多数の市民が参加しています。
今月中には病院問題をめぐって臨時市議会が開かれることとなっており、市立病院存続に向けた市民のたたかいはこれからが正念場となろうとしています。
http://www.news.janjan.jp/area/0808/0808053837/1.php