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◆呆れる環境先進県あいち!トヨタにサシバの営巣地を押し売り!
愛知県企業庁は現在豊田市北部の造成事業を行っています。場所は豊田市と岡崎市にまたがる660hの広大な山間で、道路を整備すればトヨタ自動車本社から車で30分以内のアクセスの非常に良いところです。愛知県は開発当初からトヨタ自動車と連携、計画を立案してきました。近くにはアイシン等トヨタ関連企業が軒並工場を連ねています。
愛知万博も開催された愛知県北東部には貴重な森が広がっています。開発の著しい県下ではわずかに残された自然の森です。そこには鳥類をはじめ数少ない哺乳類が、残された自然のなかでひっそりと暮しています。愛知県企業庁が開発しようとしている豊田市北部も、この自然の森の一角にあります。そして案の定、この森には絶滅の惧れのある鳥、サシバの営巣地がありました。
トヨタ自動車がこの夏独自に実施した猛禽類調査によると、レッドリスト絶滅危惧種II類のサシバの営巣が事業区内で8ヵ所確認されました。さらに隣接1平方キロ内に、オオタカ・ハチクマの営巣が見つかりました。サシバは中部地方などに夏鳥として渡来する中型のタカで、夏の間に子育てをして、10月初旬に東南アジアに飛び立ちます。
4月初旬、数千キロを渡ってきたサシバたちは飛ぶこともできないほど疲労困憊しています。しばらく羽を休めると広さ1キロほどのナワバリを作ります。やがて意中の相手を見つけたサシバは5月はじめ卵を産み子育てを始めます。ヒナたちは7月には巣立ち、長い渡りに備えて飛行訓練をし体力を蓄えます。
9月下旬サシバたちは伊良湖岬に集まります。伊良湖は日本国内の第一の集団通過地点です。ここで群れを作ったサシバたちは長く困難な渡りに向かうのです。数千キロ先を目指したサシバは、時速50キロで一日500キロほどを飛びつづけます。途中嵐に遭えば多くの仲間は海に落ち命を落とします。春に辿ってきた海を島伝いに南に向かって必死で飛びつづけます。
しばらく前まで愛知県東部の山間では、サシバが夏を過ごす姿は季節の光景でした。しかし開発が進みサシバの生息地は次々に奪われていきました。そして今サシバの営巣地がある自然の森を、愛知県企業庁は10月初旬、開発手続はそのまま進めると明言しました。
愛知万博会場の跡地を見てほしい。そこには舗装された道沿いにくだらない遊具が並び、想像力の足りない親子連れが貧しい休日を送っています。つい一年程前には森が広がり、山里の原風景が確かに存在したはずです。この森で生き物は暮らし、サシバたちが渡ってきたはずです。そうして失った自然の代償にいったい何を手に入れたのでしょう?そしていったい誰が得をしたのでしょう?EWS.はサシバの貴重な営巣地を奪う開発に反対します。
◆生物多様性条約/COP10、愛知・名古屋誘致の意見交換会開催される。
去る10月25日愛知県東大手庁舎において、生物多様性条約COP10(締約国会議)誘致の意見交換会が開催されました。愛知県と名古屋市からなる事務局が、環境NPO約30団体に対してCOP10誘致の意見を求めました。
生物多様性条約は1992年リオ地球サミットで採択された条約の一つで、地球温暖化に対する気候変動枠組条約(京都議定書の親条約)と並ぶ重要な国際条約です。日本は1993年条約を締結し、条約の国内担保として生物多様性国家戦略を策定しています。
生物多様性条約の締約国会議は二年毎に開催され、来年はボンでCOP9が開催されます。EWS.は重要な国際環境会議が愛知・名古屋で開催されることは大きな意義があり誘致に賛成でする。COP10が開催(三週間)されれば、世界中から政府関係者・研究者・NGOが集い、危機的な環境破壊から自然を守る真剣な討議がされます。そうした国際環境会議にはワークショップなど市民レベルの参加が可能で、環境保護の意識を大きく高めることにつながります。
しかし意見交換会でのNPOの発言は、行政が愛知万博継承を語ったのに対して、冷静な意見が大勢を占めました。多くのNPOは愛知万博で行政に「利用された」感を抱いており、都合の良いところだけ市民参加と喧伝する行政には警戒感を示していました。
EWS.はCOP10開催の意義を認めながらも以下の二つの問題を指摘しました。
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1)県下で進行中の設楽ダムにおける絶滅危惧種ネコギギ保護の問題。
2)県企業庁がディベロッパーとしてトヨタ自動車と共同で開発計画を進めている豊田市北部の絶滅危惧種サシバの営巣地の問題。
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生物多様性条約の目的は、多様な生き物の生息環境を保全することにあります。この環境保全はアマゾンやインドネシアの熱帯林に限ったことではなく、私たちの暮らしの足下にも存在しています。その最たるものが、設楽ダムでは流域に世界中でこの地域にしか存在しないネコギギの生存が脅かされ、豊田市北部の660hの開発地にはサシバの営巣地が複数見つかり近傍にはハチクマやオオタカの営巣も見つかっています。
COP10誘致で生物多様性を語りながら、その裏で希少動物を絶滅に追い込んで良いはずがありません。愛知県がCOP10を誘致するのであれば、この問題における誘致事務局としての立場表明が欠かせません。まず足下の生き物の生息環境を守ってこそ、ホスト自治体としての資格があります。
また愛知県と名古屋市は、COP10を国際イベントとしてとらえている姿勢が
垣間見られ、活動を電通に委託しているところからも明らかです。
COP10の目的はイベントではなく生物多様性を守ることであり、アル・ゴア気取りの
松原某の権力志向を満足させるためにあるのではないことを指摘しておきます。
◆科学的実証もないない稚魚放流実験!国交省の欺瞞を暴きネコギギを救おう!
10月下旬国交省はネコギギの稚魚100匹を設楽ダム建設予定地の下流に放流したと発表しました。この稚魚は豊川から採捕した25匹のうちで産卵した稚魚です。国交省はダム建設予定地のネコギギの移殖を検討しており、移殖成功の可能性を宣伝することで、ダム建設最大の障害をクリアーしようとしています。
しかし川魚の移殖の成功例はほとんどなく、生物学者はもちろん設楽ダム建設検討会メンバーの学識経験者ですら可能性はゼロに等しいと発言しています。国交省自体も成功するとは思っていないはずですが、マスコミを通して稚魚放流を発表することで市民の目をごまかそうとしていることは明らかです。
1962年に始まった設楽ダム建設計画は、既に45年の歳月が流れています。戦後間もない頃に立案されたダム建設計画が今ごろ着工されようとしているのです。現在の三河地方の水需要は、01年豊川総合用水事業の完成で1億立方メートルほどの余剰があります。
これは事業完成で5割増の取水が可能となったことによるもので、渇水期でも充分まかなうことのできる水需給量です。また新規利水の見通しがないばかりか、水田面積の減少などから水需要は少なくなってきています。さらに設楽ダムの有効貯水容量9200万m3の65%(6000万m3)が不特定容量とされ、いまだに利水先が見当たらない状況です。こんなダムでは半世紀もの間うち捨てられてきて当然です。つまり必要ないダム建設計画が、21世紀になって亡霊のように甦っているのです。
一方半世紀という時の流れは、自然を大きく変えました。CO2の排出による地球温暖化、種の大量絶滅による生物多様性の喪失。そうした環境変化に豊川流域も例外ではありませんでした。かつてどこにでもいたネコギギは、今では希少種-絶滅危惧種(IB類)となり国の天然記念物に指定されています。全長15cm、ナマズのようなヒゲをもつ淡水魚は、世界中で最も貴重な生き物となりました。ネコギギは世界中で伊勢湾と三河湾に注ぐ川の中上流域だけにしか生息しない、国際的に最も保護される魚となったのです。
国交省は「公共性」という名の下でダム建設を押し進めていますが、公共性という言葉は官僚の権力維持とゼネコンや住民の薄汚れた利権のためにあるのではなく、残された自然を未来に引き継いでいくことにこそあります。EWS.はこれからもネコギギを守る闘いをつづけていきます。
★設楽ダム建設の権力と利権
http://www2.odn.ne.jp/ews/damgenzitu.html
★ネコギギを救おう
http://www2.odn.ne.jp/ews/shitaramoney.html
http://www2.odn.ne.jp/ews/cop10.html