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微生物が地下水浄化 名大グループ、世界初の技術(中日新聞)
2008年1月19日 07時35分
毒性が強く地球規模で環境汚染の原因となっているポリ塩化ビフェニール(PCB)を、微生物を使って無毒化する技術を名古屋大エコトピア科学研究所の片山新太教授らのグループが世界に先駆けて開発した。自然にある微生物を利用するため環境にやさしく、費用もかからない。
PCBによる土壌・地下水汚染を改善するためには、土をすべて入れ替える大規模な工事が必要。工事車両から排出される二酸化炭素が温暖化の要因になるほか、直接的な健康被害がなければ放置される場合もあり、環境への負荷は大きい。
PCBは塩素を取り除けば自然界で分解して無毒化され、微生物で塩素を分解する試みはこれまでにもあった。
しかし、PCBは塩素の結合の仕方で200種類以上あり、特定の微生物は一部のPCBを分解するものの、すべての種類のPCBからは塩素を取り除けなかった。
片山教授らは、塩素化合物を好む微生物など約30種の微生物群を一緒に集めておくことで、さまざまなPCBから一斉に塩素を取り除く方法を発案。ガラスビーズやセラミックなどの材料を微生物群の“マンション”のような「すみか」とする方法を開発した。材料の表面には直径数十マイクロメートル(1マイクロメートルは1000分の1ミリ)の穴が無数にあり、微生物の生息に最適という。
塩素化合物を好む微生物が多く含まれている愛知県弥富市の水田の土壌を採取。ガラスビーズやセラミックを詰めた試験管に土壌の微生物群を移し替え、PCBを溶かした水を加えたところ、PCBの塩素を取り除くことを確認。実用方法として、微生物群の入ったセラミックなどで透過性のある浄化壁をつくり、汚染源付近を浄化壁で囲い込むことで、浄化壁外へのPCB流出を防ぐことが可能だ。片山教授らはすでに愛知県、名古屋市とも実証試験を目指した共同研究に2005年度から着手している。
片山教授は「微生物群のうち、塩素を取り除く微生物を完全に特定し、培養できれば、PCBを無毒化できる土をつくれるかもしれない」と話している。
【PCB】 高い絶縁性から電気機器に用いられてきたが、環境中に長期間残留し、肝機能障害や発がん性、内分泌かく乱化学物質(環境ホルモン)作用など生物に重大な影響を及ぼす有害化学物質。ストックホルム条約で世界的に浄化が義務づけられている。日本でも2001年にPCB特別措置法が制定され、16年の完全処理を目指している。
http://www.chunichi.co.jp/s/article/2008011990073513.html