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2007年12月28日(金) 15:37
民俗宗教研究家で千歳建設会長の千歳栄さん(79)=山形市松見町=が写真集「『モリ供養』三森山」を自費出版した。鶴岡市の三森山に伝わる宗教行事を記録した貴重な写真を多数掲載。千歳さんは「東北の人々は死者の記憶を大切にしてきた。モリ供養には日本人の心の原風景がある」と話す。
千歳さんが企画したドキュメンタリー映画「精霊の山 ハヤマ」(2006年制作)の東京、山形での上映会の反響が大きく、「常に見られる写真集として残し、長く記憶にとどめてもらおう」と考えたという。
映画は東北4カ所の里山に伝わる行事を記録したものだが、写真集は千歳さんが特に強い関心を持ち、20年ほど前から通っている「モリ供養」を紹介している。写真は、千歳さんの著書の写真を撮ってきた写真家のイシイヨシハルさんが今回も撮影。モノクロ写真を中心にモリ供養の深遠な世界を表現している。
モリ供養は、鶴岡市の三森山に伝わる「送り盆」の習俗。三森山は8月の2日間だけ、生きている人と死者の霊が出会う場所となる。
「優婆(うば)様」と呼ばれる木像を住民が背負い、闇夜の山道を粛々と登る「優婆さまくねり」や、自分の先祖だけでなくすべての霊を慰める施餓鬼(せがき)供養、餓鬼の化身といわれるヤッコ(子供)への施しといった行事の全容を、荘厳な山の風景を織り込みながら詳しく紹介している。
「モリ供養の主役である優婆様は山の神。自然神であると同時に先祖神であり、神仏習合の原型の一つといえる」と千歳さん。「現代の日本人は荒廃する精神世界に悩み苦しんでいる。モリ供養は先祖霊以外の無数の霊も丁重に扱う優しい供養。風土に根差した民族の思想を、今こそ見直すべきだ」と指摘する。
数年前に千歳さんとともにモリ供養に同行し、「精霊の山 ハヤマ」の脚本を書いた宗教学者、中沢新一さんの文なども収録。縦25センチ、横22.5センチで63ページ。5000部を印刷し、地元住民や関係方面に配布した。非売品。問い合わせは千歳建設内のハヤマ映画制作委員会023(647)1533。