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http://mainichi.jp/select/wadai/news/20071130k0000m040105000c.html
藤原宮跡:最古の「地鎮具」…富本銭納めた須恵器見つかる
日本初の本格的都城・藤原京(694〜710年、奈良県橿原市)の藤原宮跡で、富本銭(ふほんせん)9枚と水晶9本を納めた須恵器が見つかった。中国の陰陽思想で「9」はめでたい数字とされており、29日発表した奈良文化財研究所によると、宮殿造営の際に都の平安や政権の安定を願って埋めた地鎮具とみられる。宮殿跡で確認されたものとしては最古。「藤原の宮地(みやどころ)を鎮め祭らしむ」と伝えた、692年の日本書紀の記述を裏付ける画期的な資料で、律令国家が行った地鎮祭の実態を知るうえで貴重な手がかりとなる。
今年4月から、宮の中心に位置する大極殿院南門跡の周辺1560平方メートルを調査。南門の西に取り付く回廊の下で、酒などを入れたとされる須恵器・平瓶(ひらか)(直径約20センチ、高さ約14センチ)が見つかり、注ぎ口の欠けた部分からは銅銭がのぞいていた。
X線を当てて調べると、液体と水晶の結晶9本が入っており、注ぎ口の銭は、日本最古の貨幣の富本銭9枚と分かった。富本銭は成分分析の結果、近くの飛鳥池遺跡(同県明日香村)で鋳造された可能性が高い。平瓶は、整地土に開けられた約60センチ四方の穴に砂を敷き詰めて安置し、丁寧に埋められていた。四隅には直径約25センチの穴があり、聖域を示す結界を設けて祭祀(さいし)をした可能性もある。【林由紀子】
◇日本書紀具体像ほうふつ
森郁夫・帝塚山大教授(歴史考古学)の話 日本書紀には地鎮の方法や場所が書かれておらず、その具体像をほうふつとさせる非常に貴重な発見だ。さらに、実際に藤原宮内で遺構を確認できたことが重要で、今後の研究に大きな影響を与えるだろう。
毎日新聞 2007年11月29日 21時17分 (最終更新時間 11月29日 22時10分)