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功労者ひこにゃんは誰のもの? イラストレーターと市が対立(中日新聞)
2007年11月25日
3月下旬から開かれてきた「国宝・彦根城築城400年祭」は25日、目標を大幅に上回る70万人以上の入場者を迎え、大成功のうちに閉幕しそうだ。一方、ここへ来て、成功の最大の功労者となったキャラクターの「ひこにゃん」をめぐり、“生みの親”であるイラストレーターの男性(22)が“育ての親”である実行委員会と彦根市に閉幕後の商標使用中止などを求めて彦根簡裁に調停を申し立てた。ひこにゃんは、いったい誰のもの?
ひこにゃんは「天衝脇立(てんつきわきだて)」と呼ばれる彦根藩井伊家のかぶとをかぶった白猫のキャラクター。2代藩主直孝を落雷の難から救ったという招き猫の伝説に由来している。
昨年初め、実行委のコンペで10社が提出した二十数点の中から選び、座る猫や跳ねる猫、刀を突き上げる猫の3パターンをシンボルマークやロゴとともに100万円で買い取った。名前はその後、一般公募で付けられた。
ひこにゃんは市内外の業者が競って商品化。ピンバッジや携帯電話ストラップ、食品や宝石に至るまでさまざまなグッズが出回った。キャラクターを利用するには実行委への申請が必要だが、使用は無料とあって、これまでの使用申請は1000件以上。東京のクレーンゲームの景品にも、ぬいぐるみがあるほどだ。
男性側はこれを問題視。調停の申立書では「類似デザインや音楽CDの発売など、無制限な承認はとどまることを知らなかった」と実行委を批判し、閉幕後の商標使用中止や、3パターン以外のキャラクターの使用承認取り消しなどを求めた。
代理人の弁護士らによると、男性側は開幕当初からキャラクター管理のルール作りや監修の機会を与えるよう話し合いを求めてきたが、応じてもらえなかったという。
実行委と市側は「著作権など一切の権利は実行委に帰属する」との契約内容から、市が男性に相談なく商標登録を出願したことや、営利目的の使用を許可していることの正当性を主張する。
男性側は、実行委がひこにゃんについて「好物はお肉、特技はひこにゃんじゃんけん」などとした性格付けも「意図していない」と指摘。著作物の内容を意に反して勝手に改変されない同一性保持権など、他人に譲渡できない著作者人格権の侵害にあたるとしているが、弁護士でもある獅山向洋市長は「ひこにゃんは商標。人格権はない」と意に介さず、主張はまったくかみ合わない。
問題を複雑にしているのは、実行委が契約したのは大阪市の総合企画会社であること。男性の所属するデザイン会社は下請けで、実行委と直接の契約関係にはない。獅山市長はこれについても「契約当事者でないのに債権的請求をするのはおかしい」と切り捨てる。
さらに男性が彦根市内の出版社から、3パターン以外の図柄のひこにゃんを主人公にした絵本を発売したことについて、「逆に商標権の侵害だ」と怒りをあらわにする。
第2回調停は、奇しくも閉幕日翌日の26日だが、実行委と市側の求めに応じて不調に終わる可能性が高い。22日に開かれた市議会の400年祭特別委員会では、議員らから「祭の成功はひこにゃんの力が大きいだけに、最後にこんな問題になったのは残念。何とか穏便に収められないものか」という声も上がった。
(築山栄太郎)
http://www.chunichi.co.jp/article/shiga/20071125/CK2007112502067015.html