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埼玉の建築士、耐震偽装 横浜のマンション 首都圏中心46件で計算関与
(東京新聞)2007年10月16日 朝刊
国土交通省と横浜市は十五日、横浜市西区に建設中のマンションについて、埼玉県八潮市の設計事務所「藤建事務所」の遠藤孝・一級建築士(60)が、構造計算書を偽造していた、と発表した。マンションは販売前で、工事は中止された。遠藤建築士が構造計算に携わった物件はマンションを中心に四十六件が確認されており、国交省は関係する自治体に調査を指示した。
遠藤建築士は「時間に追われてやった。修正するつもりだったがそのままにした。他にも(偽造を)数件やった」と話している。
横浜市によると、偽造が明らかになったマンションは地上九階、地下一階建ての「グランドメゾン横浜紅葉坂」(仮称)で、建築主は「積水ハウス」(本社・大阪市)。藤建事務所は構造計算を孫請けしていた。指定確認検査機関の「東日本住宅評価センター」(同・横浜市)が六月に建築確認し、基礎工事まで進んでいた。
その後、偽造を指摘する通報が国交省を通じて横浜市にあり、市が調査したところ遠藤建築士が構造計算書の偽造を認めた。遠藤建築士は、計算プログラムの入力データを不正に変更し、壁や柱の地震耐力について本来なら「せん断破壊が起きる」と表示される百六十一カ所を、「破壊しない」と表示されるように偽造。同計算書の「NG(不可)」の表示部分に「OK」という紙を切り張りした偽造も六カ所あった。
東日本住宅評価センター総務部は「内容を精査すれば(偽造を)見極められたという反省はある」としている。
藤建事務所は一九八九年八月、埼玉県に一級建築士事務所登録。同県の調査では、構造計算書の保存期間を過ぎた物件も合わせると、一九九〇年以降遠藤建築士がかかわった物件は六十七件に上るという。
看板外し沈黙 八潮の事務所
埼玉県八潮市にある遠藤建築士の自宅兼設計事務所前には、問題発覚後の十五日夕から大勢の報道陣が詰めかけたが、遠藤建築士が姿を現すことはなく、深夜には部屋の明かりも消えた。
近所の住民によるとこの日も昼すぎまでは人の出入りがあったが、午後三時前後に年配の男性が事務所の看板を撤去。ドア越しの報道陣の問いかけには反応がなかった。
“姉歯式”手口また素通り
姉歯秀次・元一級建築士による耐震強度偽装事件をきっかけに今年六月、改正建築基準法などが施行されてから初めて、新たな耐震強度の偽装が発覚した。
藤建事務所の遠藤孝・一級建築士が関与した四十六物件の内訳は、偽造が明らかになった横浜市の物件を含むマンションが三十八件、自治体施設六件、飲食店と老人福祉施設が各一件。大型マンションが多く、十五階建て以上が十一件、十−十四階建てが十六件あり、大半が分譲済みという。
物件所在地は東京都(十四件)が最も多く、▽神奈川(十一件)▽埼玉(九件)▽千葉(五件)▽岐阜(二件)−の各県が続く。茨城、長野、福井、鳥取、愛媛の各県にも一件ずつあった。
遠藤建築士の偽造は構造計算プログラムに虚偽の数値を手入力するなど、姉歯元建築士など過去に明らかになった手口と同様だ。問題のマンションの構造計算書は約三千八百ページもあり、コンピューターで再計算するなどしなければ数値の改ざんを見破るのは難しい。
改正建築基準法が施行された六月二十日以降、建築確認申請された一定規模以上の建物の構造計算書は第三者機関が再計算するなど二重チェックが義務付けられたが、問題のマンションの建築確認申請は施行前の“駆け込み”のため、二重チェックを免れていた。
だが、建築確認とは別に、耐震性などを評価する任意の住宅性能評価制度を建築主が利用。住宅性能評価機関が構造計算を精査、偽造が発覚した。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2007101602056621.html