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総事業費890億円見込む 徳山ダム導水路分割合意【中日新聞】
2007年8月23日 朝刊
徳山ダム(岐阜県揖斐川町)の水を利用する導水路事業で、国土交通省中部地方整備局と愛知、岐阜、三重県、名古屋市が、長良川の渇水対策などに有効な導水路二本を建設する分割案で合意したことを受け、同整備局は二十二日、総事業費は約八百九十億円を見込み、二〇一五年度の完成を目指す方針を明らかにした。
整備局は事業費の各自治体負担案も提示。それによると愛知県三百十八億四千万円、岐阜県二十九億七千万円、三重県十三億千万円、名古屋市百二十億六千万円。国は四百八億二千万円となっている。
導水路を利用した取水量などの割合を基に算出した。自治体側は巨額の負担を求められ、妥当かどうかの議論が今後の焦点となる。整備局は本年度内に各自治体の同意を得たい考えだ。
合意案は、揖斐川から木曽川への上流ルートで、総放水量毎秒約二十トンのうち、毎秒約四・七トンを途中の長良川に放流。代わりに岐阜県羽島市南付近に造る補完ルートで、長良川への放流分を木曽川に戻し、木曽川の渇水にも対応する。当初検討していた揖斐川から直接、木曽川に放流する案に比べ、導水路の一部を細くできることなどで、事業費を約十億円軽減できるとしている。
整備局は二十二日、当初案に比べて分割案は理解を得られたと説明。来年度予算概算要求に十五億円程度を盛り込み、建設着手を目指すとした。
◆木曽川水系 総合運用検討へ
<解説> 徳山ダムの水を利用する導水路事業案が固まったことで、国土交通省中部地方整備局は、木曽川水系の水を総合的に運用する仕組みの検討に入る。来春の徳山ダム本格稼働もにらみ、異常渇水時の水系全体の水利用のあり方を考える必要があると判断。導水路による総合運用は全国初で、導水路の事業化をめぐる問題は次の段階に進むことになる。木曽三川の水を融通し合い、一九九四年のような異常渇水にも耐え得るようにする目的。揖斐川上流の徳山ダムは全国最大の貯水量を誇り、ためた水を木曽川、長良川に放流できる導水路建設で可能になるというわけだ。
現在の検討案は、異常渇水の際は、徳山ダムや長良川河口堰(ぜき)の水を先行して利水などに使用し、木曽川水系上流の岩屋ダムや阿木川ダムなどは温存。渇水がさらに進んだ場合は、事前に定めた順番に従って上流ダム群の水を利用する。
これにより、九四年の異常渇水時を基に想定すると、水道水などの取水制限日数は大幅に緩和され、一部で発生した断水も解消可能と試算。同整備局は「渇水による社会経済活動への影響はほぼ解消される」とする。
一方で五十嵐敬喜法政大教授(公共事業論)のように「河口堰の水もほとんどが使われていない水余りの中で、巨額の税金を使う導水路が必要か」との指摘もあり、環境面の影響などを含めて慎重に検討する必要が求められる。
(社会部・石川浩)
http://www.chunichi.co.jp/article/economics/news/CK2007082302043068.html