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「都と専門家会議の対応は、はなはだ疑問」
築地市場移転問題で、日本環境学会が懸念の声明軸丸 靖子(2007-07-10 18:45)
御用学者によるお手盛り会議に、食の安全・安心を任せていられない――。
築地市場の豊洲移転問題で、東京都が設置した「専門家会議」に対する不信感が高まっている。
移転反対の側に立つ日本環境学会(会長=畑明郎・大阪市立大学教授)は9日、過去2回の会合内容と都の対応について、「討議とは程遠い」「極めて不十分な基礎調査を『よくやっている』と評価している」と懸念を示す声明文を提出した。
市場関係者も「これがいわゆる御用会議というものか」と、いらだちを隠さない。
会議に都内在住者は、ゼロ
都の「専門家会議」とは、移転推進派の石原都知事が4月の都知事選の最中に設置を明言したもの。
「(土壌汚染には)どの程度、科学的に信ぴょう性のある批判、懸念があるのか、1回でも2回でもボーリング調査をしますよ。都民に安心してもらうために再調査をするのは簡単なこと」
として、石原知事は、移転問題が選挙戦の争点になるのをかわした。
実際、5月には専門家会議が設置された。だが、招集された委員はわずか4人。そのうち3人が関西から、1人が筑波からで、都内の人間はゼロという、なんとも不自然な人選だった。
しかも、公開会議にもかかわらず、5月19日の初会合で2人が欠席・早退。6月30日の第2回会合は2時間の予定時間をもてあまして、15分早く終了するというやる気のなさ。
やっぱり結論アリキ?
初会合までに誰も現地を視察していない。都の読み上げる資料を見て「よくできた追加調査計画」と持ち上げるだけで自前の資料を用意していない。委員同士の討議がない――といったことも、「やっぱり結論ありきの御用会議じゃないか」と移転反対派の不満を増大させている。
環境学会が9日提出した声明は、
日本環境学会研究発表会で開かれた豊洲問題のシンポジウム。約150人が3時間半にわたって熱心な議論を繰り広げた=7日、東京・府中市の東京農工大(撮影:軸丸靖子)(1) 豊洲の汚染物質の調査・撤去はきわめて不徹底。現在の対策案のまま市場が移転されれば、早晩取り扱い食品の汚染を招く恐れがある。
(2) 低濃度有害物質への長期曝露は、複雑で慢性的な健康被害を起こす危険がある。たとえ環境基準をクリアしていても安全とはいえない。
(3) 豊洲は土壌汚染対策法にのっとれば「汚染地」となる土地。それも食品を扱うのだから、少なくとも法が求めるレベルの調査は行うべき(注*)。
(4) 「専門家会議」で移転を前提としたような発言がみられるのは問題。
(5) 都が「専門家会議」以外の機関による現地調査を拒否するのは疑問。
というもの。
築地自身の再開発は可能?
「この声明は、2カ月後には答申を出す『専門家会議』の姿勢に、学術的な見地からとり急ぎ懸念を示すもの。時間がないのだから、『専門家会議』との結節点である法を元に、学会として言うべきことを言わなければならない」
と畑明郎会長。
「ただ、そもそもを言えば、築地市場は再開発のために移転する必要はないと考えている。都は無理だと言うが、築地での現地再開発は可能だ。実際、築地と同じころに再開発計画が出された大阪の中央卸売市場は、すでに現地での整備を終え、高層化・システム化された施設で運営されている」
と、例を挙げる。
あと2カ月──まともな議論をしてくれるのか
今回の声明のたたき台となったのは、7日に都内で開かれた同学会研究発表会のシンポジウムだ。3時間の予定を大幅に超えて、学会の専門家や市場関係者らが侃々諤々(かんかんがくがく)の議論を繰り広げた。
「土壌汚染対策法のようなザル法に基づいた調査をやっても、とても納得はできない」(学会メンバー)
「有害物質の検出量が環境基準を下回っているからといって信用できない。イタイイタイ病も水俣病も、当時の排水基準にはかなっていたはずだ。微量でも、有害物質が体内に蓄積されたときにどうなるのか、子、孫の世代のことまで考えるべき」(市場関係者)
「専門家の団体として、築地に残るべきか、豊洲で良いのかということまで、口を出すべきではないのでは」(学会メンバー)
「都が集めた専門家の出す結論によって、われわれは豊洲へ行かされてしまう。都がイエスマンを選んだというのは分かるが、あと2カ月で彼らにノーと言わせなければならない」(市場関係者)
都の「専門家会議」が、60カ所超のボーリングをした結果、豊洲移転にゴーサインを出すのか、ひょっとしてストップをかけるのかは分からない。
だがせめて、一般人には聞き応えがある程度には中身のある議論をしてほしいものである。都民の税金を使って、日本人の食の安全を左右する結論を出す立場にあるのだから。
【注*】 2003年に施行された土壌汚染対策法は、有害物質を扱っていた工場のあった土地を、公園・住宅などへ転用する場合にしか、汚染調査義務が生じない。さらに附則では、施行前に土地の用途変更をした場合も調査を免じている。これらの要項のため、豊洲の新市場用地には法が求める調査を行う義務が生じない。
オーマイニュース
http://www.ohmynews.co.jp/news/20070710/12989