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医師が行政を訴えた!!『重症リハビリ医療日数等制限差止請求事件』
テーマ:医療崩壊
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脳卒中などの重篤な疾患を患ってしまい、機能障害が残った患者さんにとって、生活の質を保つために、リハビリは必要不可欠なものです。
ただし、リハビリをしたからといって、常に劇的に四肢の機能などが改善するわけではありません。
たとえば、自立した日常生活を保つために、あるいは、四肢の拘縮を防ぐために『現時点で残された機能を維持する』ということもリハビリの重要な目的のひとつであります。
ですので、リハビリを行ったときに、機能改善が認められないからといって一律に日数でリハビリを中止することを行政がせまるというのは憲法第25条で保証された「生存権」をないがしろにする憲法違反であるといえるでしょう。
日本政府は、医療費削減のため、この4月よりの診療報酬改定で、リハビリテーションの点数に算定制限を設けて、この憲法違反を行おうとしております。
この通知の撤回を求め、リハビリに関わっておられる澤田石順先生が国を相手取った行政訴訟をおこされました。
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訴 状
請求の趣旨
1 被告は、原告に対し、原告が患者に必要と認めて行うリハビリテーションにつき、別紙重症リハビリ医療日数等制限目録記載の制限をしてはならない
2 訴訟費用は被告の負担とする。との判決を求める。
請求の原因
第1 原告の地位
1 回復期リハビリ病棟の勤務医
原告は、指定保険医療機関たる鶴巻温泉病院(神奈川県秦野市鶴巻北1−16−1)の回復期(亜急性期)リハビリテーション病棟に勤務し、リハビリに専従している登録保険医たる医師である。同病院では、高齢者、認知症患者、その他多くのハンディを背負い、しかも重症の患者を多く受け入れ、精力的に重症患者のリハビリに取り組んでいる。
2 国民の医療権(公的医療受給権)
ところで、憲法25条1項は、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」と定めて、すべての国民の生存権を保障している。このうち、「健康な生活を営む権利」は、国民の生存権の健康の側面を明示したものである。そして、憲法25条2項は、同1項を受けて、「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」と定め、国民の生存権を実現する責務を国に課している。生存権の健康的側面においては、健康保険法を初めとする諸法令が制定され、国民皆保険制が実現した。よって、すべての国民に公的医療の受給権が保障されている。このすべての国民の公的医療受給権は、国民の具体的権利であり、「国民の医療権」である。
3 医師の医療権
一般に医師は、疾病に侵され又は傷害を負った国民(患者)から負託され、国民の医療権(公的医療受給権)を実現する責務を負い、そして、日々これを果たしている。医師法19条1項も「診療に従事する医師は、診察治療の求があった場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない。」と応招義務を定め、この医師の責務を確認している。
ところで、医師は応招義務があるから、やむを得なく医療を施行しているのではない。医療が必要な患者に対して、医師としての当然の使命として、患者を救うために、医師としての良心に従って医療を行っているのである。患者を救うために患者の負託を受け、医師がその良心に基づき患者に対し必要な医療を施す権利は、「医師の医療権」である。
4 原告の回復期リハビリの医療権
原告は、日常業務として、特に重症の患者に対し、回復期(亜急性期。急性期と慢性期の中間。)のリハビリテーション医療を行っている。たとえば、高齢者で、脳梗塞・脳内出血後の身体麻痺の後遺症に悩む患者、または、認知症や骨粗鬆症のための転倒骨折による運動障害に悩む患者など、重症患者が多い。原告は、重症患者についても軽症患者と区別なく、患者にとって必要と認める限りは、自己の良心に基づきリハビリ
医療を施している。したがって、原告は、特に重症患者の回復期リハビリにつき、患者の医療権を受けて、
医師の医療権を日々現実に行使しているのである。
第2 重症リハビリ医療の日数制限等
1 厚生労働省告示第59号
処分行政庁たる厚生労働大臣舛添要一は、平成20年3月5日、診療報酬の算定方法を定める件につき、厚生労働省告示第59号を発した。この告示は、回復期リハビリに関する診療報酬の算定方法を次のように定め、平成20年4月1日から適用し、診療報酬の算定方法(平成18年厚生労働省告示第92号)は、平成20年3月31日限り廃止する、というものである。
記
別表第一医科診療報酬点数表
第2章 特掲診察料
第7部 リハビリテーション
第1節 リハビリテーション料
区分H000心大血管疾患リハビリテーション料
注3 患者に対して、必要があって治療開始日から150日を超えてリハビリテー
ションを行った場合は、1月13単位に限り算定できるものとする。
区分H001脳血管疾患等リハビリテーション料
注3 患者に対して、必要があってそれぞれ発症、手術又は急性増悪から180日を
超えてリハビリテーションを行った場合は、1月13単位に限り算定できるものと
する。
区分H002運動器リハビリテ−ション料
注3 患者に対して、必要があってそれぞれ発症、手術又は急性増悪から150日を
超えてリハビリテーションを行った場合は、1月13単位に限り算定できるものと
する。
区分H003呼吸器リハビリテーション科
注3 患者に対して、必要があって治療開始日から90日を超えてリハビリテーション
を行った場合は、1月13単位に限り算定できるものとする。
2 重症患者のリハビリ制限
(1)日数制限―150日・180日・150日・90日
前記厚労省告示は、回復期(亜急性期)のリハビリテーションを、軽症患者・重症患者の区別なく、心大血管疾患は150日、脳血管疾患等は180日、運動器は150日、呼吸器は90日に制限するものである。特に重症患者については、150日・180日・150日・90日を過ぎても、医学的観点から判断してリハビリ医療を続ける必要のある場合が頻繁にある。
(2)従来のリハビリ医療―1日6単位(1ヶ月132単位)くらい
原告は自らの患者に対し、通常、必要に応じ1日6単位から9単位(1単位は、時間にして約20分なので、1日約2〜3時間。)のリハビリ医療を施している。1ヶ月にすると、土・日・祭日を除くので、約132単位から207単位くらいである。従来の厚労省告示では、リハビリ医療の医学上の必要があれば、そのまま肯定されていた。そして、日数を問わず、1日6単位(1ヶ月132単位)程度のリハビリ医療を実施
できていた。
(3)一律のリハビリ打ち切り
しかしながら、今回の厚労省告示第59号では、医学上の必要性があっても、理由の如何を問わず、一律に日数制限(150日、180日、150日、90日)がなされてしまった。特に重症患者は、回復のスピードは区々である。特に、高齢者や認知症の重症患者は、回復まで時間がかかることが多い。つまり、医学上の正当性なくして、一律にリハビリ医療を打ち切ろうとするものである。リハビリ医療が中途で打ち切られてしまうと、そのまま医療が中途で打ち切られてしまうと、そのまま疾病や傷害が固定してしまい、たとえば寝た切り状態や半身麻痺状態が治らなくなってしまう。なお、制限日数を超えた場合にも1ヶ月当り13単位のリハビリは認められているが、それでは今までの10分の1以下であり、1ヶ月当り2日程度のリハビリに過ぎず、リハビリの有効性は無い。したがって、制限日数をもってリハビリ打ち切りとなるのと同じである。
第3 重症リハビリ医療の日数制限の違法性
1 省令(療養担当規則)違反
(1)療養担当規則20条六号(リハビリの医学上の必要性)違反
厚生労働省令である「保険医療機関及び保険医療養担当規則」の20条六号
「リハビリテーション」は、「リハビリテーションは、必要があると認められる場合に行う。」と定めている。
療養担当規則は、軽症患者であれ重症患者であれ、一律の制限をしていない。たとえ日数が長くとも医学上の必要があればリハビリを認め、たとえ日数が短くとも医学上の必要がなければリハビリを認めない。1ヶ月で何単位かも、患者の状態に応じて決められるものであって、要は、医学上の必要性の有無次第である。
因みに、厚労省令たる療養担当規則は、厚労省告示よりも上位の法令に当たる。したがって、前記第2・1の厚労省告示第59号の当該部分は、省令(療養担当規則)に重大かつ明白に違反するので、違法無効である。
(2)療養担当規則12条違反(他事考慮)
前記厚労省告示の当該部分は、その制定目的に医学上の観点が考慮されていない。専ら、財政目的である。しかしながら、これでは制定目的が専ら他事考慮であったと断ぜざるを得ない。目的が専ら他事考慮であったが故に、前記厚労省告示の当該部分は違法無効である。
なお、制定目的が違法であることは、療養担当規則の第2章「保険医の診療方針等」の第12条所定の「保険医の診療は、一般に医師又は歯科医師として診療の必要があると認められる疾病又は負傷に対して、適確な診断をもととし、患者の健康の保持増進上適切に行わなければならない。」という規定に反していることからしても、明らかであり、かつ、重大な違反である。
2 憲法違反
(1)憲法25条(生存権)違反
憲法25条(生存権)と健康保険法等から導き出される国民の医療権、そして、この負託を受けた医師の医療権は、具体的な権利である。
厚労省告示の当該部分は、特に回復期リハビリを必要とする重症患者(国民)の医療権、そして、リハビリを施している保険医(医師)の医療権を侵害するものである。
したがって、憲法25条(生存権)、健康保険法等、患者の医療権、医師の医療権に反することは、明白であり、かつ、重大な事態である。
(2)憲法31条(適正手続)違反
患者の健康の保持増進こそが、憲法25条・健康保険法そして、これらを受けて制定された厚労省令たる療養担当規則の目的であった。
ところが、厚労省告示の当該部分は、専ら財政目的に基づくものである。財政目的だけの行政目的である。
このように明らかに逸脱した他事考慮は、国民一般に事前に知らしめていなかったことと相まって、憲法31条(適正手続)に違反するものでもある。
第4 厚労省告示の施行の差止め
厚労省告示の当該部分は平成20年4月1日より適用が開始され、心大血管疾患・脳血管疾患等・運動器・呼吸器の回復期リハビリテーションが医学上必要な重症患者は、制限日数(150日、180日、150日、90日)を超えると必要なリハビリを受けられなくなり、そして、原告も重症患者にとって必要なリハビリ医療を施せなくなる。
したがって、原告は、一人の医師として、重症患者のリハビリ打ち切りによる当該患者の重大な損害の発生を抑止するため、告示施行が差し迫った緊急事態に鑑み、行政事件訴訟法3条7項、37条の4に基づき、本件差止訴訟の提起に及んだ次第である。
以 上
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>リハビリ医療が中途で打ち切られてしまうと、そのまま医療が中途で打ち切られてしまうと、そのまま疾病や傷害が固定してしまい、たとえば寝た切り状態や半身麻痺状態が治らなくなってしまう。
そのとおりだと思います。
リハビリが一律日数制限で打ち切られてしまうと、大変困られる患者さん、とくに高齢者が続出するのではないでしょうか。
ただただ、医療費を抑制するためだけに、後期高齢者医療制度やリハビリ日数制限によってお年寄りを虐待していいのでしょうか?
私も、このような非人間的行為をやめるよう、日本政府に強く抗議します。
そして、澤田石順先生の勇気に敬意を表し、応援いたします。
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コメント
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■厚労省は屁理屈をこねることでしょう
とりあげていただきまして誠にありがとうございました。
厚生労働省が私の提訴に関して、必ず言い訳すると考えられることがあります。
「180日等の期限を越えても、除外規定があるからこれまで通りにリハビリできる。
したがって提訴理由は成立しない。」
この言い訳こそこちらが期待するところ。いくらでも反問でき、厚労省が反問に対して回答を継続すると、論理的な帰結として、ただ一つの争点が浮かび上がることになります。
* 厚生労働省が現場の医師の判断を無視して、リハビリの『日数制限をすること』が不当・違法か否か
裁判官は、憲法、公的医療保険に関する実定法、厚生労働省令である療養担当規則に照らして、違法か否かを判断することになります。(この一点に関してリハビリ医療の現場の医師はおそらく一人残らず不当だと判定してます。裁判官は医学的、政策的に不当か否かの判断をすることはできません。)
http://homepage1.nifty.com/jsawa/medical/suits/1st.html
ここに、詳細な説明などあります。
司法記者クラブで会見したのですが、新聞記事になってない理由は、おそらく記者が当然の確認を厚労省にした時に、上記の言い訳をしたために、何の知識もない「司法記者」が納得したか、あるいは疑念をいだいたからだと思われます。
新聞各社に厚労省の言い訳は、まさによそうとおりの致命的なものであることをこれから知らせていくことにしています。
澤田石 順 2008-03-20 16:20:07 [コメント記入欄を表示]
■法律上の論点
澤田石 順様
ネットのすごいところはご本人が現われるところですね。
診療報酬の細目について厚労省が何の前触れもなく、ころころといじるのでいつか行政訴訟をしなくてはいけないと思っていましたが、その先鞭をつけられたことに拍手を送りたいと思います。その上で法律上の問題点を指摘したいと思います。
1)憲法上の最大の争点は三権分立と司法権の限界はという論点です。行政府の裁量についてどこまで司法が介入できるのかという論点で、ここではじかれると内容の吟味なしに棄却となります。憲法の教科書には一番書かれる部分です。
2)次に自由診療の問題。厚労省は医療行為として当該リハビリ行為を禁止しているわけではないです。必要ならば自由診療でいいではないかということになります。もちろんこうしたリハビリが必要な人が自由診療でできるとも思えないのですが、法律上の論点としては重要です。
3)次にやっと自由診療を行うことができない患者が保険診療でリハビリを中止したことでの状態が違法か否かというところになりますが、この前に論点があります。この件に付きだれでも訴えることができるのかという論点です。リハビリを受けられなかった人が訴える場合はこの論点はないですが、医師が訴えることができるかが論点となります。
> 厚労省は屁理屈をこねることでしょう
上の1)から3)をクリアーしないと上までに到達できないです。ここまでいければ100点満点で1万点くらいの価値です。マスコミを動員して医療崩壊を計っているという以前に、司法記者クラブの記者たちもこのくらいの障壁はわかっているはずです。
私見ですが、医療機関が準備期間なしに朝令暮改の改正によって失った経済的利益を厚労省を訴える方がクリアできると思います。療養型病棟へのいじめがチャンスだったように思えますが。
ya98 2008-03-20 19:49:46 [コメント記入欄を表示]
■ありがとうございます。
>澤田石 順様
早速のコメントをありがとうございました。
>厚生労働省が現場の医師の判断を無視して、リハビリの『日数制限をすること』が不当・違法か否か
リハビリの日数制限をどうして官僚ができるのか、そもそも、官僚は福祉の増進につとめなければならないのではないでしょうか。私は完全に憲法第25条の精神に違反していると思います。
>司法記者クラブで会見したのですが、新聞記事になってない理由は、おそらく記者が当然の確認を厚労省にした時に、上記の言い訳をしたために、何の知識もない「司法記者」が納得したか、あるいは疑念をいだいたからだと思われます。
大きな社会問題にしたくない厚労省や政府が報道機関に圧力をかけているのでなければいいのですが。
いずれにせよ、私を含め日本全国の多くの人が先生を応援しております。
ダブルムーン 2008-03-21 04:58:37 [コメント記入欄を表示]
■ありがとうございます。
>ya98様
>私見ですが、医療機関が準備期間なしに朝令暮改の改正によって失った経済的利益を厚労省を訴える方がクリアできると思います。療養型病棟へのいじめがチャンスだったように思えますが。
厚労省の梯子はずし政策は本当にいいかげんにしてほしいですね。医師や医療機関はいいかげんな行政府に対して、もっと法的手段で対抗すべきなのかもしれません。
ダブルムーン 2008-03-21 05:10:52 [コメント記入欄を表示]
天夜叉日記
http://ameblo.jp/showatti/entry-10081346676.html