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この労働環境では、長く生きられない。死ぬまで働いたらダメだよ。  高知新聞 「医師が危ない」 1−4
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投稿者 どっちだ 日時 2008 年 3 月 12 日 14:45:58: Neh0eMBXBwlZk
 

---勤務医 開業つれづれ日記・2 から転載--------------------------
http://med2008.blog40.fc2.com/blog-entry-4.html


■救急現場の現実 高知新聞 「医師が危ない」 1−4


高知新聞で

救急医療に携る高知医療センターの

連載をしています。

医師が危ない
http://203.139.202.230/08doctor/08doctorfr.htm


まずタイトルから。

”医師が危ない”


すげー能天気に思えるのは私だけでしょうか?

大半の地方の医師は

”危ない”どころじゃなく、

”いつ過労死してもおかしくない”

が正確な書き方だと思います。

高知医療センターに行くと

こういう人生が待っています。

冗談でなく。

そして、

これが多くの全国の医療機関の

実態なのです。

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(1)すべて見せましょう

http://203.139.202.230/08doctor/080227doc01.htm

 高知医療センター(高知市池)の堀見忠司病院長(62)を訪ねたのは昨夏の終わりだった。

 取材の申し入れに応じてくれるかどうか、少し不安もあった。というのは、自分の病院で働く医師の時間外労働が月二百時間。これは、国の過労死認定基準の一つ「八十時間」をはるかに超える。救命というやむを得ぬ事情もあるが、病院としてはあまり公にしたくない話でもあるだろう。

 ただ、医師が自分の身を削り、家庭を犠牲にして救命に当たっている現実に目をつぶったままでいいものか。脳神経外科は今、日本で最も成り手が少ない科の一つといわれる。気が付いた時には医師が枯渇していた、という事態になれば、それこそ大問題だ。

 取材の意図を説明すると堀見院長はため息交じりにうなずいた。

 「溝渕先生(第一部で登場した脳外科の溝渕雅之医師)は確かに熱心なドクターです。彼の言葉を額面通りに取ってもらっても構いません。救急外来もやり、脳脊髄(せきずい)液減少症という難しい病気の外来も抱え、本当にパニックになるぐらい追い込まれていた、というのはありましたから」

 医師が疲弊しているという。その原因は第一部で書いた通り、“防波堤”だった高知県立安芸病院を中心とした県東部の病院の脳外科が衰退し、ヘリ搬送も予想以上に来る。さらに「ウオークイン」と呼ばれる、救急車を使わず自分で来る軽症患者も少なくないことなどにある。

 「皆がしんどいというわけではないんですが、脳外科だけでなく、いろんな科が大変になっているんです。今のここの救命救急センターは、二次(入院や手術が必要)、三次(重篤)救急のはず。ところが、ガーゼ交換をしてほしい、というような患者さんが夜間に来て呼び出されたら皆、疲れますわねえ」

 にもかかわらず、患者からは「専門の医師に診てほしい」「待ち時間が長い」といった不満が出る。

 「自分の専門外の患者さんを診るストレスは、ただでさえ大きいんです。今は医療ミスに限らず、どんなささいなことでも、とんでもない方向に走りかねない。医師は余計に『救急はやりたくない』となるわけです」

 脳や心疾患の疑いがある場合は特に緊張度が高い。

 「患者さんが帰宅後に急変でもすれば大変ですから。だから皆、急変の可能性が否定できない救急患者を診ることに、ものすごく疲れてるんです」

 そういう現場の一部始終を見てみたいと伝えると、堀見院長はうなずいた。

 「ええ! ぜひ、見られた方がいい。実は現場からも『世間に実情を知ってほしい』という突き上げがあったばかりなんです。この病院は透明性が必要。ここで起きていることを、正直に伝えてもらうことも大切です。それが結果的に、県民に安心していただける病院になることにつながる。そのためにも、すべてをお見せしましょう」

 そのオープンな姿勢が、抱える悩みの深さを物語っているようでもあった。

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(2)救急車 来る

http://203.139.202.230/08doctor/080228doc01.htm

 高知医療センター脳神経外科の密着取材の許可が下りた。溝渕雅之医師(48)は「現場は歓迎してますよ」と言いながら、くぎを刺してきた。

 「今の時代は患者さんのプライバシーが難しいですから」

 このため、取材開始にあたっては院内各所に院長名で「マスコミ取材のお知らせ」の紙が張り出されたほか、私は社名入りの腕章を着用。さらに取材予定部門には、事前に溝渕医師が作成した文書を配布した。

 〈患者さんの病気のことは根掘り葉掘り聞きません。邪魔な時は邪魔と明言してください〉

 見られたくない場面もあるだろうし、仕事の妨げになったら大変だ。ピリピリムードの中、取材は始まったが…。記者の存在を気にするほど現場は暇ではなかった。

  ◇  ◇

 初日は一泊二日で、溝渕医師の当直(午後五時十五分―午前八時半)に密着した。

 本当に忙しいのか?

 「来る来る。救急車はいっぱい来ますよ。多くて十台、少なくても六台ぐらいかな」

 ただ、残暑の季節は脳外科の閑散期だという。

 「脳卒中の一番の危険因子は、高血圧などの血圧変動。急に寒くなって血管が収縮すると血圧が上がるから。夏は熱中症にはなるけど、脳は結構、大丈夫なんです」

 だとすると、忙しさはさほどでないかも…。

 午後九時前、溝渕医師が二階の医局ソファでカップラーメンを食べ始めた途端PHSが鳴った。

 「溝渕ですけど。六十×歳、くも膜下出血。四十分から一時間後ね。分かりました」

 郡部の病院から、救急車で転送依頼の連絡だ。

 「状態診て、向こうの病院で撮ったCT見て、それからどうするかだなあ」とつぶやき、誰かにPHSで連絡を始めた。

 「転倒して、良くなったと思ったらけいれんが来て、CT撮ったら脳室に血腫が穿破(せんぱ)してるというんですわ」

 分かりやすく言うと、動脈瘤(りゅう)破裂で血液が、脳脊髄(せきずい)液のたまっている脳室の壁を突き破って、その中へ噴き出しているらしい。

 「こん睡状態に近く、瞳孔散大してきているということなんで。くも膜下出血の激しいのが出て、さらにもう一回、破裂しているのかも。こっちでMRIを撮るかどうかですね」

 電話の相手は上司の森本雅徳脳外科部長(56)。以前、溝渕医師が「僕より長時間、病院にいる」と言っていた人物だ。当直ではないが、まだ残って仕事をしているらしい。

 救命救急センター長でもある。多忙を極め、一度あいさつしようとしたが、会った瞬間、PHSで呼ばれて消えていった。京都大出身。脳外科のあらゆる手術に精通し、全国レベルの手技を持つ。

 連絡から半時間。溝渕医師が一階の救急外来に下りた。すると、もう一人、女性の脳外科医が現れた。大卒八年目の福田真紀医師。一年前、民間病院から移ってきた先生だ。

 明日の手術予定の患者への説明や、病棟の重症患者の診察、薬の指示の確認などをしていたという。

 「そろそろ帰ろうかなという感じだったんですが…」。明朝は九時から手術だという。

 「きついですね」と言うと、「前の病院は医師が二人だったので、くも膜下出血が来ると、夜中しか手術する時間がなかったんです。朝までやって、翌日はまた普通に仕事して、というのが一週間に三件続いたことがありました。さすがにその時は、かなり参りましたけど」。

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(3)心の中に時限爆弾

http://203.139.202.230/08doctor/080229doc01.htm

 一週間に三件の夜中の緊急手術。高知医療センター脳外科、福田真紀医師の思い出話に、「大変ですね」と反応すると、溝渕雅之医師(48)が「ここでは普通です。夜中の三時に帰ってシャワー浴びて、八時半ぐらいに『参ったなあ』と言いながら、ふらふら出てくる。それが開院以来ずっと。先週の夜中も激しかったから」。

 木曜日の午前三時半に脳出血の緊急オペ。金曜日も脳出血を続けて二つ。土曜日は午前零時すぎに脳底動脈閉塞(へいそく)の緊急血管内手術に入り、明け方までかかった。昼間も通常勤務で火、水、木曜と予定手術があった。

 福田医師は高校時代、バスケットボールで鍛えた長身だが、医療センターへ来て、たちまち五キロやせた。夜中に帰宅して遅い夕食を取っても、体が受け付けなかったという。自分の時間が全くなくなったそうだ。

 逃げ出したくないのだろうか。

 「できるものなら。皆、心に時限爆弾を抱えてやってると思いますよ」

 冗談めかした口調で話しているとサイレンの音。スタッフが玄関へ動いた。

 救急車から降ろされた患者は既に呼吸を助けるための気管挿管をされ、意識なし。「ピッピッピッピ」。脈拍を刻む電子音が処置室に広がる。空気が一気に緊張し、看護師らが足早に動く。採血した試験管を持って、「脈拍九〇、血圧一九六の八四」。挿管口にチューブをつなぎ替え、酸素を投与する。

 「CT見せて」「ドレナージ(廃液チューブ)二本入れて、今日はそれで逃げるか」と溝渕医師。

 脳動脈瘤(りゅう)破裂によるくも膜下出血。発症六時間以内は再破裂が起きやすいため、取りあえず血圧を下げ、脳室ドレナージという応急手術でしのぐのだ。

 「脳室に血が流れ込んで水頭症になり、頭がぱんぱんに腫れてるんですよ。このままだと、脳脊髄(せきずい)液がどんどんたまって中から脳を圧迫し、呼吸も止まる。頭蓋(ずがい)骨に小さな穴を開けて、チューブで血腫を抜いてあげないと」

 その後、ICU(集中治療室)で人工呼吸器を付けて様子を見、意識レベルが上がってくれば本番の動脈瘤手術に入る。時間がたちすぎて再破裂すると、半分は即死だそうだ。

 到着から十五分後にはMRI撮影に入り、五分後には電子画像が出て、動脈瘤の場所と大きさが判明した。最新機器の威力はすごい。

 患者をICUに運ぶと、隣の手術室の明かりがついた。待機当番の看護師が呼ばれ、半時間後には手術開始という。

 溝渕医師は家族に病状の説明を始めていた。その間に福田医師が手術や麻酔の同意書をパソコンで打ち出す。それに家族が署名。患者はベッドごと手術室へ。バリカンで髪の毛を刈り、消毒液を塗る。「お願いしまーす」の小さなあいさつで午前零時前、手術は始まった。

   ◇  ◇

 「お疲れさまー」。午前一時すぎ、小声で福田医師がICUを去り、帰途に就いた。溝渕医師は手術の内容、入院診療計画書、急変時の指示を電子カルテに打ち込んでいる。

 「これが結構、手間掛かるんよ。あと半時間やなあ」とつぶやいていると、「ピルルル」とPHSのけたたましい音。

 「はいー。詰まってる!? 瘤(こぶ)がある。あと三十分? 分かりました」

 新たな救急車の連絡だ。キーボードを打つ音が激しくなった。

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(4)当直明けも延々

http://203.139.202.230/08doctor/080301doc01.htm

 高知医療センター取材の二日目は午前七時半、仮眠室で寝ているところを、脳外科の溝渕雅之医師(48)からのPHSで起こされた。

 彼の目は充血していた。昨夜、新たに来た急患は幸い脳卒中ではなかった。変性疾患か薬の副作用による激しい頭痛だろうということで落着。その後、別の当直医が診ていた患者の相談に乗り、仮眠したのは五時前だった。

 だが、その後も、夜中に手術した患者の容体悪化で二度、救急ICUから電話で起こされたそうだ。

 朝食を買うため一階のコンビニに入った。頭はもうろう、食欲なし。何を買えばいいのか思い付かない。彼を見ていると、ゼリー飲料とパンを手に取った。「朝はこういうのしか胃が受け付けんのよ」。疲れているため、言葉がぶっきらぼうだ。

 二階医局のソファで食べながら、彼は黙々と新聞に目を通した。こちらは、恥ずかしながら見る気力すらわかない。

 十分後、朝のカンファレンス(症例検討会)に出て、九時からは手術の手伝い。午後二時すぎまで立ちっぱなしだった。

 当直明けだが帰る気配は全くない。

 「まだ、病棟の患者さんを診てないし」

 昼食を買うためエレベーターに乗ろうとして、ドアが開くと、前夜の緊急手術患者がベッドに乗ったまま中から出てきた。一階で術後のCT撮影をしていたという。

 「あ、この人を診てあげないと!」。そう言って患者を追い掛け、救急ICUへ逆戻りした。

 壁際でぼんやり待っていると、「昨日はお疲れさまー」と福田真紀医師が現れた。午前一時半に帰宅したが、七時前に院内ICU(入院中に重篤化した患者の集中治療室)から「患者さんの管が抜けた」と電話で起こされ、そのまま九時から溝渕医師とともに手術だったという。やはり寝不足。電子カルテを打ち、どこかへ消えた。

 午後三時、ようやく一階のコンビニに入った。

 「僕はここでしばらく立ち尽くしてしまうんだ。ここの弁当を毎日食べて二年半やからなあ」と溝渕医師。

 医局のソファで新聞を読みながら、焼き飯を十分で食べると病棟回診へ。具合を聞き、容体の変化や薬の指示を電子カルテに打ち込んだ。

 回診はすぐ終わるものかと思っていたが、意外と時間がかかった。翌日からの食事内容の変更を患者に伝えると、「今まで通りの食事がいい」と言われて指示の出し直し。入院費用に困った患者の相談もあったようだし、途中で救急外来からの呼び出しも。終わったのは午後七時半。だが、まだ帰れない。退院予定の患者の紹介状を二人分、仕上げるという。

 「一人一時間はかかるからねえ。一時間まとめて取れるのは、夜しかない。晩飯を食べてからが勝負です」

 連続勤務は既に三十六時間近い。溝渕医師には申し訳ないが、いったん引き揚げないと、こちらは体が持ちそうにない。

 別れを告げて一階に下りると、吹き抜けのある広いロビーは高級ホテルの装い。オープンカフェも併設。クラシック音楽が流れ、空気がゆったりしている。

 「これが同じ建物の中なのか」。壁一枚隔てただけで違う世界の落差に強い違和感を覚えた。


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正直な感想。


「どこにでもある風景だよね」


それほど医療は病んでいます。

医師の個人的な努力を基本にした

医療制度。

それを当然とする患者さんや行政。

もう、すぐにでも

壊れるようなシステムが

日本医療を支えています。

この新聞連載は、

どこにでもある、

日本の一風景です。

* 2008年03月12日 |


COMMENTS


うちの旦那もー
医師ってどの角度からみても大変ですね(;_;)
私の主人が救急部なので、うちも同じようなかんじです。連続40時間勤務に丸1日休みなんて2ヶ月に1度あるかないか。呼び出しでもっとないかも。家なんてたまにしか帰ってこれない。家族サービスなんてないし。(死なないでいてくれることが家族サービスと思うようになりました)
周りには主人の仕事を言ってないから、普通に病院の話題を話したりしますが、「訴えちゃえ!」なんて平気で聞くと頭にきてしまいます。
医師本人が大変なのはもちろんですが、家族も精神的につらいです。
日本は生活保護を最低限の生活保証というなら、しっかり働いている医師には人間として最低限基礎的な生活(睡眠時間確保・食事時間確保・プライベート)が送れるように守ってほしいです。

* 2008年03月12日 |
* もこ


>もこさん
コメントありがとうございます!

救急に携る医師は、基本的に「奉仕」、つまりサービスでやっています。それなのに、

「救急患者を受け入れないとはなにごとか」
「たらい回しとは信じられない」
「ミスをしたら当然裁判」

という感じで来られると、「…じゃあ、サービスやめます」というふうに思っている医師は多いはずです。そもそも、「夜勤」ではなく、「当直」という、仕事ですらない時間なのに…。

これからもよろしくお願いいたします!!


* 2008年03月12日 |
* 中間管理職


死なないでね
こんにちは。
私の友人も高知で働いています。この記事のように殺人的な忙しさです。見かねて、「死んじゃうから東京に出ておいでよ」と言っても聞き入れてくれません。高知が好きだからだと思います。他の先生方も、患者さん思いでやさしい人達です。だからよけいに疲れるのでしょう。

去年、日経メディカルに医師の過労死特集がありました。最近、もし過労で死んでしまったら、裁判で証言しようかと本気で考えています。友人の証言も重要だそうですね。

私にはもう死んでしまった医師の友人がいます。あのような労働環境では、長く生きられるとは思いません。悲しくてやるせない気持ちでいっぱいです。国民にはもっと知って欲しい。多くの医師は、命を削って患者さんのために尽くしています。

○さん、死ぬまで働いたらダメだよ。天国にいっても36時間連続勤務はあるんだからね。

* 2008年03月12日 |
* ななこ

No title
>もこ さま
是非、職場を変わる事を御主人と相談してみてください。
御家族と御主人のためです。
御主人はパンチドランカーもしくはDV被害者のような精神状態に陥っているのではないでしょうか?

勤務医といっても自分のように、月1から3回程度の当直
当直以外の時間外勤務月10時間以内という場所も有るのです。
収入は医師としては低いですけどね

* 2008年03月12日 |
* こんた

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