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以下のコメントを紹介します。
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4月12日付の日本経済新聞に、国内最大手の製薬会社「T薬品」の3月期決算の純利益が、史上最高の3300億円と報道されていた。医療現場の窮状と比べて「どういうこと?」と思わざるを得ない。
記事や周辺情報を読むと、米国での売り上げが好調なので利益が増えたとか、2010年には米国で主要製品の特許が切れてジェネリックに利益を大きく食われる見込みとか書いてある。では国内の売り上げは純利益の増加に貢献していないのか? そうではない。国内の売り上げも順調に伸びており、大きな増益要因になっていると分析されている。ところが日経の記事には書かれていない。
日本の製薬会社が世界に通用する力をつけることは悪くない。しかし日本の医療全体を考えると、製薬会社だけが莫大な利益を上げて、病院の経営はどんどん苦しくなっていく現状は、バランスを欠いている。
今後どうなるかは知らないが、大手製薬会社はこれまで官僚の有力な天下り先でもあった。ここまでバランスが悪いと、国が医療費の配分を決定する権力を全部握っているのをいいことに、製薬会社への利益誘導が行われてきたのではないかと勘ぐってしまう。
日本の医療の公共性と公平性の高さを考えたら、製薬会社が利益を独り占めするべきではない。得られた過剰な利益は医療現場へ、つまり国民や医療従事者や医療機関へ還元すべきだ。それをするつもりがないのなら、国が薬品の価格を「製薬会社が適度に潤うレベル」まで下げるべきであった。
これまで診療報酬改定があるたびに薬価(国が決める薬の値段)は引き下げられてきたが、製薬会社が企業努力で吸収できて利益が十分残る程度にしか下げられてこなかった。また新薬には開発費用の元を取って余りある高い値段がつけられることも少なくなかった。そうでなければ、これだけ医療費抑制(最近は適正化などと言い換えているが)を叫び続けているのに、史上最高益が出るはずがない。
今後さらなる医療費抑制政策として、医療費の定額制が大幅に拡大されると予想される。急性期病院のDPCもそうだし、後期高齢者(75歳以上)の新保険制度もそうだ。そうなった時には病院や診療所は高い薬を使うことはできず、製薬会社が何と言おうと安い薬を使わなければ医療機関が存続できなくなる。
大手製薬会社はほとんど「高い薬」を作っている。ジェネリックなどの安い薬を作っているのは、主に後発品専門の中小製薬会社だ。ジェネリックが世の中の薬の大勢を占めるようになったら、大手製薬会社は存続の危機となる。大手製薬会社がこの状況にどう対応してくるかが見物だと思っている。
すでに現在でも、日本で未承認の安い薬は、海外で当たり前に使われる薬でも売っても収益が出ないため、どこの製薬会社も日本で売り出そうとしない。大手製薬会社は特許切れに対して、同じ手を利用してくるのではないか。というのは、ジェネリックには安い薬価を設定してもらい、儲けが出ないので参入ができない状況にするという作戦だ。医療の値段は薬の価格を含めてすべて国が決めているので、天下り官僚の影響力によってはできない作戦ではない。しかし世の中は情報化社会である。もしこのような作戦を実行するつもりなら、国民がそのからくりに気付かない時代は終わっている。
短いスパンの利益や自らの利益を目的に日本の医療を考える時代ではない。国家百年の計を目的としない政策立案者は中央から去って欲しい。業界関連企業への天下り、再就職もやめてほしい。狭い範囲の利益を見ている今の政策を続けていたら、その片方では薬を買ってくれる医療がそのうち壊滅してしまうのだから。