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--さあ 立ち上がろうー「美しい日本」にふさわしい外科医とは から転載----------
http://blog.m3.com/Fight/20080122/3
2008.01.22 20:20
医療事故?それとも学会報告?
<医療事故>女児の卵巣、誤って切除 毎日新聞
女児から誤って卵巣切除 三重病院がヘルニア手術で 共同通信社
女児の卵巣、手術中に誤って片方摘出 読売新聞
これらの3紙面から伺い知ることの出来る病院側のコメントは
「結果として事故だったが、特異な事例で避けることができなかった。過失とは考えていない。家族には手術前に事故の可能性があることを説明し、承諾を得た。手術後に家族に謝罪し、納得してもらえた」「まれなケースで、避けられなかった」「通常の確認では分からない特異な例であり、不可避な医療事故だった」
・・・・
つまり、「術前のインフォームドコンセントでも、卵巣が切除される可能性は十分に説明されており、家族も納得している。不幸な事故 ではあるが、避けることの出来なかった非常に稀な症例であり、術前診断も不可能であった。
外科的にはおそらく滑脱型のヘルニアか、あるいはヘルニア嚢の壁にmigrationした卵巣などという特殊な先天異常を考えざるを得ない。しかしながら、共同通信社の記事には
「手術中に触診するなどしたが、卵巣がヘルニア部分に入り込んでいることには気付かなかったという。 」
と書いてあり、滑脱ヘルニアは否定的である。
いわば合併症の範疇に入る内 容であるが、マスコミの記事からは本件は国立病院機構本部(東京都)に「医療事故」として報告書が提出されているという。これは病院の誠実な対応であるとも受け取ることが出来るが、新聞社側は、まったく違う意志で本件をこぞってスクープにしようという意図が見え見えである。
個人的にはまったく納得がいかない。果たしてこれは「事故」なのであろうか、という疑問がわき出てくる。
生後9ヶ月の女児のソケイヘルニアの手術で、片側の卵巣が誤って切除されていたという報道であるが、病理組織の結果では、
切除したヘルニア嚢に腫瘤があり、この腫瘤の一部に卵巣が含まれていた
という所見であった。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
ソケイヘルニアには、以下の3つの構造物が必要である。
1.ヘルニア嚢という袋(薄い腹膜というシート)
2.ヘルニア門(袋の入口)
3.内容物(小腸や大網など腹腔内の臓器)
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
切除したヘルニア嚢に腫瘤があり、この腫瘤の一部に卵巣が含まれていた、という病理組織検査の結果から、判断できることは、
卵巣はヘルニアの内容物ではなかった
という事実である。 つまり、卵巣を含む腫瘤は袋の構成物として存在していたことになる。よって、袋を切除するという手術の性質からして、袋の一部である腫瘤に含まれている卵巣が一塊として切除されることには、何の違和感があろうか?
ただし解釈がむずかしい。腫瘤が「内容物の一部」でなく「袋の構成物」であるなら、この症例は学会報告されるべき事例ではあったとしても、医療事故として報告されるべき事例としては不適切であったようにさえ感じてしまう。
仮に温存できたとしても、卵巣から排出された卵子は腫瘤の一部であり、袋の壁を通り抜けることは不可能であろう。よって、この卵巣で受精することは不可能であると考えざるを得ない。
もちろん、卵巣は女性として成熟するためのホルモンを分泌するための重要な臓器であるから、残された卵巣だけで十分かどうかは、成人になるまで分からないと言えるが・・。
それでは、手術適応はどうだったのであろうか?
この病気は手術以外で根治することはあり得ないため、袋の入口のレベルでヘルニア嚢を切り取り、内容物が出てこないように縫ってしまうという原始的な方法が、何十年も行われている。
大人のヘルニアの場合は、それだけでは再発してしまうことが多いので、腹壁の補強をする手技が必要になるのであるが、小児のヘルニアでは、ほとんどの場合が袋を切除するだけで完治してしまうことが多い。
手術をしない場合には、重篤な状態になることがある。すなわち、ヘルニア内容物の壊死である。小腸や大腸が袋の入口にはまりこんで腐ってしまった場合には、生命の危機にさらされることもある。
女児のヘルニアは両側性であることも多いと聞く。対側の卵巣が同じような状態であった場合に、このヘルニア嚢に小腸が嵌り込まないことを祈るばかりである。
アクセス解析
<医療事故>女児の卵巣、誤って切除 国立・三重病院
1月22日14時35分配信 毎日新聞
津市の国立病院機構、三重病院(庵原(いはら)俊昭院長)の小児外科で05年2月、「鼠径(そけい)ヘルニア」の女児を手術した際、二つある卵巣のうちの一つを誤って切除していたことが、22日分かった。
「鼠径ヘルニア」はヘルニアの一種で、脚の付け根に腹膜が「ヘルニア嚢(のう)」となって残り、内部に腸や卵巣がはみ出す。病院によると、この女児は県内在住で手術当時生後9カ月だった。05年2月1日午後2時ごろ、小児外科医長(現・小児外科部長)が切除手術を行った。術後、切除した部分に腫瘤(しゅりゅう)が見つかったため、三重大病理部に組織検査に出したところ、同月17日に腫瘤に卵巣が含まれていた。卵管と卵巣が離れている特異な事例で、事前の検査や手術中でも分からなかったという。
執刀医が直接、女児の家族に事故について説明し、同月20日ごろ、国立病院機構本部(東京都)に報告書を提出した。
病院の井口光正副院長は「結果として事故だったが、特異な事例で避けることができなかった。過失とは考えていない。家族には手術前に事故の可能性があることを説明し、承諾を得た。手術後に家族に謝罪し、納得してもらえた」と説明した。【高木香奈]
女児から誤って卵巣切除 三重病院がヘルニア手術で
津市の国立病院機構「三重病院」(庵原俊昭(いはら・としあき)院長)で2005年、三重県内の生後9カ月の女児に鼠径(そけい)ヘルニアの手術をした際、誤って卵巣ごと患部を切除していたことが22日、分かった。
鼠径ヘルニアは脱腸とも呼ばれ、足の付け根付近で袋状に突出した腹膜に腸や卵巣が入り込み腫れる病気。
病院によると、05年2月上旬、女児に全身麻酔をして開腹手術をしたが、執刀した小児外科医長の男性医師がヘルニア部分と一緒に2つの卵巣のうち1つを切除した。
卵管と卵巣が離れた状態になっていたといい、手術中に触診するなどしたが、卵巣がヘルニア部分に入り込んでいることには気付かなかったという。
術後の病理検査で、切除した患部に卵巣が含まれていることが判明。病院側が女児の家族に事故の詳細を説明した。
22日、記者会見した井口光正(いぐち・こうせい)副院長は「まれなケースで、避けられなかった」とコメントした。残りの卵巣が機能しているかどうかは、患者が幼いため確認が難しく、誤切除の影響も現時点では不明としている。
記事:共同通信社
提供:共同通信社
【2008年1月22日】
女児の卵巣、手術中に誤って片方摘出…三重の病院
1月22日3時15分配信 読売新聞
津市の国立病院機構「三重病院」=庵原(いはら)俊昭院長=で2005年2月、「鼠径(そけい)ヘルニア」で小児外科に入院していた女児の卵巣を、手術の際に誤って摘出する事故があったことが21日、わかった。同病院は、女児の家族に対し、事故の経緯や今後の影響を説明し、了承を得たとしている。
同病院は、女児は手術時に「0〜3歳だった」としているが、正確な年齢や事故の影響については、「個人情報保護のため」として明らかにしていない。
鼠径ヘルニアは、「脱腸」と呼ばれるもので、太ももの付け根付近に、袋状の腹膜「ヘルニア嚢(のう)」が先天的に残っていて、その中に小腸や大腸、卵巣などが飛び出し、はれる病気。
同病院によると、05年2月1日、女児の手術の執刀医を務めた小児外科医長が、全身麻酔をして女児の開腹手術を行った際、ヘルニア嚢と一緒に、誤って二つの卵巣のうち一つを切除したという。同病院は「通常の確認では分からない特異な例であり、不可避な医療事故だった」としている。
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ヘルニアで卵巣摘出
http://plaza.rakuten.co.jp/tinyant/diary/200801230000/
昨日の朝、テレビを見ていたら「ヘルニアで誤って卵巣摘出」と言うアナウンサーの声が聞こえた。女の子の場合、ヘルニア嚢の中に卵巣が入っていることは時々ある。確かめもしないで取ってしまったのならうかつなこ... [続きを読む]
posted from 医療報道を斬る 2008.01.23 20:51
医療ミスのニュースを見たら、お医者さまのブログを読もう Vol01.三重・卵巣切除
http://8910-1000.at.webry.info/200801/article_24.html
当ブログで、こんなキャンペーンを始めてみることにしました。 マスコミの医療報道も非常に課題が多いようなので、少しは社会が明るくなるといいなと思います。 [続きを読む]
posted from 白鳥一声 2008.01.23 23:26
コメント
珍しい症例にあたったら、学会発表する前に記者会見開かないといけなくなったんですかねぇ。ヤッテランネーヨ!
written by グラフト採取専門医 / 2008.01.23 08:20
女児の場合、滑脱型として卵巣がヘルニア嚢と一緒に出てきていることがあるのは、一般外科医でも知っていることですよね。そうではなかったということなんでしょうか。
腫瘤があって、その一部に卵巣組織があったということなんでしょうか。
よくわかりませんね。
私が現在勤務している病院には小児外科医がいるので、小児のヘルニアに関与することはありませんが、以前していたときには、卵巣は還納するようにしていましたけれど。
written by / 2008.01.23 13:32
グラフト採取専門医 さん>
コメントありがとうございます。
この報道がどこまで真実かはまた、
例によってよくわかりません。
きっと報道している記者もよく分かってないんですね。
written by Atsullow-s caffee / 2008.01.23 15:31
hanaさん>
コメントありがとうございました。
滑脱型ヘルニアの可能性はあり得ますが、
>手術中に触診するなどしたが、卵巣がヘルニア部分に入り込んでいることには気付かなかったという(共同通信)
ですから、滑脱した卵巣があれば気がついていたはずであると判断しました。よって、純粋な滑脱ヘルニアは、やや否定的です。
そこで、上に記載した毎日新聞の記事を信用するなら、
>切除した部分に腫瘤が見つかったため、三重大病理部に組織検査に出したところ、同月17日に腫瘤に卵巣が含まれていた。
ということですから、外科の常識では「切除した部分=ヘルニア嚢」。つまり「切除した部分に腫瘤が見つかったため=ヘルニア嚢の壁の一部分」であり、「腫瘤に卵巣が含まれていた」と読めます。
ちなみに読売新聞の記事では記載無し。
単純なミスではないことは明らかで、「これを医療事故と嬉しそうに報道する前に、顔を100回洗って出直してこい!」というのが、わたしの感想です。
written by Atsullow-s caffee / 2008.01.23 15:42
****わたしは、怒りとめまいに打ちノメサレテ、
はげしく長椅子に倒れこんだ。ふろっぐぅ。お水ちょーだい。
「9ヶ月のソケイ部異常腫隆のなぞ」****by ゆめみ
女児のソケイヘルニア。。。消化管がヘルニアの袋に脱出していても、ヘルニアの穴に戻せばよい。卵管や卵巣が滑脱していることも多い。そのときは子宮円靭帯を途中で切り離して、ヘルニアの袋を一部つけたまま腹腔の中に押し戻し、残りのヘルニアの袋を強く縫って閉じればよい。
しかーし、生後9ヶ月。。。手術年齢が異常に早い。。。きっと、ソケイ部がよほど腫れていたか、奇妙に膨らんでいて、緊急手術を迫られたのでしょう。
簡単な手術のようで、大人のようにうまくいくとは限りない。ヘルニアの袋が薄く、靭帯も卵巣もまだ成長していない。先天的な異常ともいえる生まれて間もなくの発症。。。なにかもっと、予想できない何か。。。術前に腫隆状に触れたていたのは、何か得体のしれない異常なもの。
長くなった袋の先端にまで降りてきた卵巣?腫隆状に触れたていた???もとの腹腔に戻すこともできない。距離がありすぎる。それ以前に、外見上、戻すような正常の卵巣でもなかったし、異常な腫隆になっていた???!
*****激しく倒れたまま、つづく。
written by 夢見る掃除人 / 2008.01.23 19:32
****ふてくされて倒れたまま、つづいた
病理で腫隆を調べたという。術中で卵巣らしきものは触れなかった。腫隆はあった。とらなくてはならなかった。そして調べなければならなかった。本来そこにあるものではないから。。。調べたら、一部卵巣の組織が見られた。
これを「卵巣の先天位置異常」といいます。
学会報告です。
新聞の「お騒がせニュース」ではあーりません。
で、なによ。読み切りは年齢は言えないって?
何のために。似たような年齢の子はいくらでもいるでしょ。年齢を隠した?何のために?共同から聞いたときに年齢を聞き忘れたの?
正確な年齢がないニュースはたいへんはーずかしいでしょ。
でしょ。やばいでしょ。
3歳と9ヶ月って、常識的にも、医学的にも、天と地の差があるのです。
* * *
で、小児の大事な卵巣を取った?どーしてくれるって?。。。誰がそんなこと言ってるのかしら。
もともと位置がずれていていては、卵ちゃんは使えないわよ。それに、腫瘤状に変性したものはホルモン機能はないわよ。
でも、念のため言っておきましょうね。
片方とっても女の子。将来は、きっと男の子をいじめるし、恋も花咲くよー。子供だって作れるから!邪魔しないで。毎日○聞!
**** 完全に仕事する気のなくなった ゆめみ。
written by 夢見る掃除人 / 2008.01.23 19:36
3年前の出来事が、何故今報道されるのでしょう。家族が訴訟するつもりでリークしたのでしょうか。読売だけが21日に分かって、共同と毎日は22日になってから分かったようですから、読売が最初に情報を掴んだのでしょうね。
病理検査するまで分からなかったのですから、単純に卵巣を間違って取ったわけではないと、私も思います。トラックバックさせていただきました。
written by bamboo / 2008.01.23 21:03