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焼け野原に焼夷弾 東大阪で前線の医師不足が露呈 毎日新聞は例によって「医療機関叩き」記事を嬉々として掲載
http://www.asyura2.com/07/iryo01/msg/245.html
投稿者 どっちだ 日時 2008 年 1 月 04 日 20:59:37: Neh0eMBXBwlZk
 

----天漢日乗 から転載--------------------------------------------
http://iori3.cocolog-nifty.com/tenkannichijo/2008/01/post_ebfe.html

008-01-04
救急医療崩壊 焼け野原に焼夷弾 東大阪で前線の医師不足が露呈 毎日新聞は例によって「医療機関叩き」記事を嬉々として掲載

医療機関は
 十分な医療を施せない場合、患者の受け入れを断る
のが
 患者の生存率を高める方策
なのだが、それには
 人口に比して、十分な数の病院と医療従事者が存在する
という前提が満たされている必要がある。その前提があって、救急網は初めて機能する。
わたしの生まれ育った北海道では
 そもそも患者を運び込める病院が近隣にない地域があちこちにある
ので、
 内地(本州以南)なら助かる事故や病気で亡くなる人
というのは珍しくなかった。雪で搬送に支障が出る冬期は、ことに
 重傷・重症の患者さんの搬送
は、
 どこでその状態になったか
に左右された。簡単に言ってしまえば、生存率は
 運
に左右されていた。札幌の市街地ならともかく、ちょっと離れた地域で、もし命に危機をもたらす状況が起きたら、後は正直どうなるか分からない。そうした
 医療の薄い状態
に慣れていると、次のニュースのどこが
 毎日新聞の気に触っている
のか、さっぱり分からないのだ。
たったの
 1時間で搬送されている
というのは、北海道の重傷者搬送にかかる時間を考えると
 非常に短時間で、受け入れ先が見つかっている
と思われるのだが、それでも
 遅い
のか? だとすると
 北海道は医療訴訟だらけ
になるのだが。

毎日新聞の論調は、すでに
 大阪の救急は崩壊に近づいている
というのに、あたかも
 医師が努力を怠った
というミスリードで
 救急医療に携わる医療従事者を追い詰めようとしている
ように見える。わたしは救急医療の専門家ではないが
 バイク事故での大動脈損傷の生存率
がどの程度か、分かった上で、この記事が書かれているのか、甚だ疑問に感じる。

不幸にして亡くなられた方のご冥福を心からお祈りします。


搬送1時間:5救命センターに断られ、男性死亡 東大阪
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20080104k0000m040073000c.html

 東大阪市で2日夜、交通事故で重いけがをした男性が、救命救急センター5カ所に受け入れを断られ、6カ所目の救命救急センターへ約1時間後に搬送されたが死亡した。

 大阪府警河内署と同府大東市消防本部によると、2日午後10時20分ごろ、大東市灰塚のトラック運転手、西村正夫さん(49)が東大阪市内の市道で、ミニバイクを運転中、対向してきた大阪市淀川区の男性会社員(28)の軽乗用車と衝突。

 救急隊が同10時33分に事故現場に到着。西村さんは胸を強く打ちショック状態で危険な状態だったが、5カ所の救命救急センターが受け入れを断った。6カ所目に同府吹田市の府済生会千里病院併設の千里救命救急センターが受け入れを了承。救急隊は午後11時に現場を出発し、11時35分に西村さんを同センターに運び込んだ。しかし西村さんは3日午前1時40分過ぎに死亡。死因は大動脈損傷による出血多量だったという。

 断った施設の一つ、東大阪市の府立中河内救命救急センターは「専門医2人と研修医1人で当直していた。救急隊からは2度の受け入れ要請があったが、別の重症患者2人の治療のため、2度とも受け入れを断らざるを得なかった」と話している。3次救急を担う救命救急センターは、救急患者の「最後のとりで」と位置づけられており、本来、最重症患者への緊急対応が求められている。【日野行介、田中博子】

毎日新聞 2008年1月4日 0時21分

この不幸な事故は
1. ミニバイクと軽乗用車の衝突事故でミニバイクに乗っていた男性が受傷
2. 事故が起きたのは、 一般の医療機関が休んでいる正月3が日1/2の深夜に近い時間帯
という、
 受傷した方が命に関わるケガを負いやすい事故で、救急医療機関がフル回転しているとおぼしい時間帯に起きている
のだ。
毎日新聞の論調は
 救急救命センターが受け入れ拒否をしたのは怠慢
というものとしか読めないのだが、
 フル回転していただろう現場で、新たな重傷者を受け入れる余地があったとは思えない
のだ。

同じ事故を朝日は
 大阪周辺の救急医療体制が弱体化している
として、次のように報じている。


収容に1時間、事故男性死亡 5救命センター拒否 大阪
http://www.asahi.com/national/update/0103/OSK200801030054.html
2008年01月03日21時12分

事故発生地点と大阪の救命救急センター(地図)
http://www.asahi.com/national/update/0103/images/OSK200801030057.jpg

 大阪府東大阪市で2日夜に交通事故に遭った男性が、府内の五つの救命救急センターから「満床」などを理由に受け入れを断られ、事故から1時間後に現場から約13キロ離れた同府吹田市の救命救急センターに運び込まれた後、死亡していたことがわかった。搬送した同府大東市消防本部によると、24時間態勢で緊急治療を担う救命救急センターに重篤な患者の受け入れを要請する場合、通常なら2、3施設目までに搬送先が決まり、「5施設も断られるのは極めてまれ」という。
 いわば「最後の砦(とりで)」が相次いで受け入れを断ったことは、大都市の救急医療体制の弱体化を浮かび上がらせたとも言えそうだ。

 河内署によると、亡くなったのは大東市灰塚4丁目のトラック運転手、西村正夫さん(49)。西村さんは2日午後10時20分過ぎ、バイクを運転して市道を直進していたところ、右折しようとした大阪市淀川区在住の会社員の男性(28)の軽乗用車と衝突した。同署は男性に当時の状況を聴いている。

 大東市消防本部によると、同10時33分に救急隊が事故現場に到着。西村さんは胸を強く打っており、意識はあるもののもうろうとしている状態だったため、命にかかわる重篤患者を受け入れる3次救急の救命救急センターでの治療が必要と判断。東大阪市や大阪市など現場から近いセンターから順に受け入れを要請したが、5施設に「満床」などと断られた。

 6番目に要請した大阪府済生会千里病院(吹田市)併設の千里救命救急センターでの受け入れが決まり、救急隊が現場を出発したのは、事故発生から30分以上経過した午後11時ごろ。西村さんは同センターに同11時25分ごろ運び込まれたが、3日午前1時40分過ぎに死亡した。

 大阪府では、3次救急医療は、府が救命救急センターに指定した11病院が担っている。年末年始は一般の病院が休みで、救命救急センターなど救急体制をとる病院に患者が集まりやすいという。

 現場から最も近い府立中河内救命救急センター(東大阪市)は当時、通常の夜間と同じく救急専門医を含む3人が救急の当直として勤務していた。しかし、2人の重症患者を治療中で、「これ以上の対応はできない」と判断して断ったという。

 西村さんの長男(27)は、搬送先の病院の医師から「到着時に意識がなく傷は心臓に達しているため、手術が難しい状態だった」と説明を受けたという。「近くで受け入れてもらえなかったのは悔しいが、正当な理由があるのなら、あきらめざるを得ない」と話した。

朝日の記事は、見出しはひどいが、記事は毎日より遙かにマシだ。
 救急体制をとる病院に患者が集まりやすい
という書き方には
 一般の病院が休みのため、本来、受診すべきでない比較的軽症・軽傷の患者も救急医療機関に来ている可能性
を示唆しているだろう。

医療機関が休んでいる時期に、患者さんが救急医療機関に集中する背景には、感染症の流行がある。激烈な症状を伴う感染症としては、昨年末からノロウイルスによる胃腸炎やインフルエンザが流行している。こうした感染症は、持病がある人や、高齢者や赤ちゃん・子どもが感染した場合には、命に関わることもある。

今回の搬送に関してマスコミがすべきことは
4. 年末年始の救急医療機関に「本来受診すべきでない患者が大量に押し寄せて、本当に救急医療を必要とする患者さんがはじき出されたのか否か」を検証すること
だ。
毎日新聞のように
 医療従事者が悪い
という書き方を続けていれば、しんどい前線から医療従事者は去るだけだ。それは
 大阪周辺は、普通の傷病でも人が死ぬかも知れない薄い医療体制になる
ことを意味する。
メディアがヒステリックに
 「健康な生活を送る」という自己の権利が侵害された
とわめき続けるだけでは、医療は良くなるどころか、
 崩壊を加速する
だけだ。まずは
5. 今回の場合、大動脈損傷による死亡に、搬送の遅れが影響したか否か
6. なぜ東大阪周辺で「搬送受け入れ余力がなかった」のかを事実に基づいて分析する
姿勢が必要だ。というか、それが
 マスメディアの仕事
なのではないか。

続報を待ちたい。

2008-01-04

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