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後がない日本医療(消える病院・全5回の5)(医療・介護情報CBニュース)
http://www.asyura2.com/07/iryo01/msg/183.html
投稿者 茶々 日時 2007 年 12 月 18 日 09:31:23: 6YmOfrLmcqc3Q
 

(回答先: 住民にこたえる施策を(消える病院・全5回の4)(医療・介護情報CBニュース) 投稿者 茶々 日時 2007 年 12 月 18 日 09:30:19)

http://news.cabrain.net/article/newsId/13482.html

後がない日本医療(消える病院・全5回の5)


新シリーズ 社会保障が危ない〜「改革」の真相8
第2部 消える病院〜検証「医療崩壊問題」
下 後がない日本医療

倒産件数、過去最多
 「病院・診療所の経営は危険水域≠ノ突入し、今年の医療機関倒産件数は、過去最多。このままでは最低限の医療の提供もできなくなる」
 今年11月21日、日本医師会は「国民が安心できる医療のために」と題する見解を発表し、地域医療の崩壊が現実化していることを訴えている。
 日医の調べでは、経営の安定性を示す「損益分岐点比率」が民間医療機関で約95%と、危険水域といわれる90%台に突入。日医は「国公立病院を含めた場合、病院では100%超と赤字に陥っている。収益性でも病院・診療所の医業収入と経常利益は減収減益で、特に利益が大幅に縮小している」と、医業の厳しい経営状況を危険視している。

 日医は特に、分娩を取り扱う産科や小児科の施設数が減少するとともに、救急搬送が拒否されるケースが出始めていることを危惧する。
 11月21日の見解でも、産婦人科について、1996年に7,302あった医療機関数が05年には5,997に激減▽06年の妊婦の搬送拒否件数は東京都の528件・神奈川県の484件など全国で2,668件−などを挙げている。小児科を標榜する医療機関も同様で、96年の3,844病院・27,095診療所から05年には3,154病院・25,318診療所に減っていることを取り上げ、「過労死する医師には小児科医が少なくない」実態にも触れている。
 救急医療については、軽症患者の増加が社会問題化していながらも、中等症や重症の患者も増加。119番通報から患者を医療機関に届けるまでの時間(05年)に関し、東京都の43.2分を最高に22都県で30分以上かかっている現実を重要視。救急搬送では、96年の全国平均24.4分が05年には31.1分に延び、一刻を争うケースも少なくない救急医療の搬送が10年間で7分近く悪化していることを重く見ている。

 こうした実態を踏まえ、日医は「地域医療の崩壊を食い止めるため、診療報酬5.7%の引き上げを要望し、まず産科・小児科・救急医療の建て直しを目指す」と強調している。

効率になじまぬ医療
 「医療崩壊は首都圏でも進んでいる」として今年9月に開かれた「病院医療が危ない!都市部に求められる地域医療を考えるシンポジウム」。そのパネリストを務め、「崩壊する日本の医療」などの著書を持つ川崎市立井田病院・地域医療部長の鈴木厚さん(内科医)は、医療崩壊に対し「最大の原因は国の考えがおかしいこと」と厳しく批判する。

 その一例として、鈴木さんは総務省が11月12日に公表した「公立病院改革」のガイドラインに盛り込まれた「経営の効率化」を挙げる。同省は「一般・療養病床利用率が過去3年間連続して70%未満となっている病院は、病床数の削減、診療所化等の抜本的な見直しを行う」と説明。しかし、鈴木さんは「地方の病院は医師がいないために病床が埋まらない実態がある。患者がいないのではなく、医師がいないからだ。医療需要はあるにもかかわらず、国が見直しを掲げるとは、ベッド稼働率70%未満の病院は『無駄だから、つぶす』という印象しか持てない」と反発する。
 加えて「地方の公立病院は、小児科や救急医療などの不採算部門を担ってきた。必要な時に何時でも入院できるようにベッドを用意しておくことを、ベッド稼働率が低いとして、つぶすなど考えられないこと。逆に、稼働率が100%近くになるほど、救急を受け入れられなくなり、それがたらい回し≠ノつながることもある。国がやろうとしていることは、外国(の医療)から見たらバカな話」と首をかしげる。

 国の思惑の根底には「半分の病院が倒産すれば、医師や看護師は生き残った病院に移るため、医師・看護師不足は起きないという厚生労働省の本音がある」と鈴木さん。このようなことが現実になれば、「予測の話として、交通事故で助かる患者も助からないという事態が起きる」と指摘する。「厚労省は(受け入れる病院がなく患者が)『死んだっていい』と考えていることに国民は気付くべきで、お上≠フやることに間違いはないという発想を捨てなければならない。国の動きを見ると、すべてが読めてくる」と強調する。

 鈴木さんは、社会保障費抑制の根拠となっている国・地方の1,000兆円超の負債に関し「これは経済政策の失敗、公共事業や公費の無駄遣いに起因し、そのツケを国民医療費抑制に転嫁している構図が許せない」と追及。5年間で289施設の自治体病院が廃院となり、5,100ベッドが消滅していることにも触れ、「医療機関はスタッフがいるほど手厚い体制となり、患者さんに安全・安心の医療を提供できる。言い換えると、効率の悪い病院ほど患者さんに良い病院となる。だから効率化は医療に当てはまらない」と、日本の医療が映画「シッコ」等で鋭く批判される効率最優先のアメリカ型医療に近づく現実を危惧する。

医療こそ地域のインフラ
 今年9月に「誰が日本の医療を殺すのか」という本を出版した埼玉県済生会栗橋病院副院長の本田宏さん。本田さんは外科医として診療活動に携わる傍ら、21世紀の望ましい医療を考えるNPO法人(特定非営利活動法人)「医療制度研究会」の副理事長も務め、全国各地で日本の医療問題を告発する活動を展開している。
 本田さんは最近、長崎県の報道機関から病院の集約化に関する取材依頼があったことを明かし、地域医療の問題について語った。「病院の集約化は、ある地域から病院がなくなること、つまり医師がいなくなり、ベッドがなくなることを意味する。一言で言えば『医療の空洞化』に当たる。これでは人が住めなくなる」と指摘。長崎県には五島列島という離島があり、そこで医師不足に伴う病院集約化計画が起きている事例を挙げ、各地で医療の空洞化が起きていることを説明した。

 本田さんは、こうした現象を深沢七郎作の小説で映画でも有名になった「楢山節孝(ならやまぶしこう)」になぞらえる。楢山節孝とは、姥(うば)捨て山伝説を題材にした小説だが、「地域に医療機関がなくなると、若い人も高齢者も住めなくなる。ひいては町や村がなくなることで、地域がそのまま楢山節孝£n帯となってしまう」と案じている。
 地域問題を解決しようとする時、国はすぐに道路整備を持ち出すが「道路を作っても解決しない。人が住める意味でのインフラ(社会基盤)は医療・福祉・教育で、これらを整備すれば雇用の場も生まれる。医療の空洞化(医療崩壊)は国の低医療費政策が原因だが、何が地域の真のインフラなのか、国は発想の転換をする必要がある」と力説する。

 実は、本田さんが働き生活する埼玉県は全国で最も人口当たりの医師数が少ない都道府県だ。埼玉県は首都圏に位置するが、同じく人口比の医師数が少ない千葉県や茨城県を含め、「これらの県は首都圏のベッドタウンとして人口が急速に増加したものの、医療の整備がほとんど追いついていない」と本田さん。「団塊の世代が多い地域でもあり、現状のままでは今後の医療需要に対応できない」と心配している。

 青森県・長崎県などの地方だけでなく、首都圏でも進む医師不足等による「医療の空洞化」−。本田さんは「もう後がない」として警告する。
 「地域崩壊は医療から始まる。国は医療費抑制として高齢者を切り捨てる政策を進めているが、それを若者が見ているだけに将来にも悪影響を及ぼす。医療こそ国民の命の安全保障であり、各地域に合った医療システムを構築する必要がある。そうすれば、かかりつけ医によって地域で幼少時より健康教育を進めることができ、結局は医療費も下がるだろう。重病になってからでは、かえって効率が悪い。医療を目先の経済で図るのは誤りで、社会の高齢化に伴い医療費を上げている世界の流れに日本は逆行している。道路のようなハード優先ではなく、人が住める(生きる)という意味で医療のようなインフラこそ充実させなければならない」

(第2部おわり)

関連記事「翻弄される医療」
      「国策と地域医療」
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更新:2007/12/11   キャリアブレイン

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