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注:このブロガーさんは医療機関勤務。
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国民年金の納付率は2002年を底に少し上昇しているという。しかし、私の周りにも国民健康保険料は納めても国民年金保険料を納めていない人は結構いるのだ。中には「民間の保険にたくさん入っているから国民年金はあてにしていない」と言った自営業の人もいたが、そんな例は少数である。多くは収入が不安定、低所得者、親の扶養に入っているという人たちである。
来春から国民年金未納者は国保の受給権が制限されるかもしれない。「いつの間にそんな法律が通ったのか?」と、再び聞こえてきそうな国民の声。
未納するとどうなる? 来春から健康保険証制限も
国民年金を納めないと、医療保険の国民健康保険証が取り上げられてしまうかもしれない__。そんな法改正が通常国会で成立した。08年4月実施だ。
年金保険料は納められないが、病気やけがが心配で国保の保険料だけを払うという人は多い。そこで、収納率9割の国保をテコに、6割台に低迷する国民年金の納付率を引き上げるという狙いだ。
具体的には、国民年金の未納者に対し市区町村が、有効期間が通常1年の健康保険証の代わりに数ヶ月の効力しかない「短期証」を発行できるようになる。再発行には役所の窓口に行く必要がある。その際に職員が「年金も払って」と声をかける機会が増える、と国は期待する。
「短期証」を発行するかどうかは自治体が決めるが、ためらうところは多いようだ。見送りを決めた青森県むつ市は「国保の保険料を払うのが精いっぱいの低所得者が多い。それより保険料が高い年金の方も払わせようとすると、結果的に国保の滞納者も増える」
こんな動きとともに、国は年金手帳、健康保険証、介護保険証を兼ねた社会保障カードを11年度までに導入する方針だ。引っ越しの際に別々に変更手続きをとる手間がなくなったり、年金記録を自宅のパソコンで確認できたりと、利便性を訴える。ただ、行政が保険料を管理、徴収しやすくする狙いも垣間見える。
伊藤周平・鹿児島大教授は「年金、医療、介護の徴収を一元化すれば負担に耐えられず、すべての制度からこぼれ落ちる人が増える」と警告する。
(山口智久)
朝日新聞 07/11/23
社会保障の根幹は法律で決められるが、実施はそれぞれの自治体の体力と実行力である。東京都23区でさえ国保の取り扱いにはばらつきがある。全国レベルでみれば収納と給付のアンバランスに苦しむ自治体は数知れず、自治体としての独立性をも脅かしている。
遠方から通ってくる、ある高齢の女性患者との会話が思い出された。
患者の身体的負担を軽くするために、副作用が少ないとされる新薬に変えたいが少し薬代が上がると院長が説明した時に、その女性は
「2週間で500円上がる位構いません。それよりも町に負担をかけることが心配です」
と答えたのだった。
「町に負担をかける」は、薬代が上がることで自分の住む自治体の負担が増えることを危惧する発言だったのだ。高齢者医療のこの女性の自己負担率は1割である。自己負担が500円増える事にさえ『公』の負担増を心配する。「周りの邪魔にならないように、若い人の足を引張らないように・・・」謙虚な物言いに言葉も返せない。
来年、高齢者を直撃する医療制度改革をこの人たちはまだ知らずにいる。
「歳出削減がうまくいかなければ増税するしかない」という政府の本音。弱者切り捨ての歳出削減も、(名目上だろうが)社会保障と引き換えの増税も、結局一番弱い所から締め上げる。
命が軽視される国のどこに希望が見えるというのか、誇りが持てるというのか。私には理解できない。