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http://mainichi.jp/area/yamanashi/news/20071122ddlk19100374000c.html
より引用開始
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お産難民のゆくえ:求められる「助産師」像/上 分娩体制崩壊の危機 /山梨
◇産婦人科医の確保に限界
全国的に産婦人科医不足が進み、県内でも分娩(ぶんべん)できる医療機関が激減する中、妊婦が安心して身近な施設で出産できない「お産難民」が現実になりつつある。県は医師確保に奔走する一方、助産師の存在に着目し、妊婦の健診を行う「助産師外来」の検討に入った。ただ、県内の医療機関における助産師の充足率は全国最低レベルという問題を抱える。助産師はお産難民を救えるのか−−。可能性を探った。【吉見裕都】
県東部で唯一出産ができる都留市立病院(都留市)の関係者らが10月中旬、市民約2万人の署名を携えて山梨大医学部付属病院(中央市)の星和彦病院長を訪れた。きっかけは、都留病院の産婦人科に医師を派遣している付属病院が示した08年4月からの引き揚げ方針。付属病院の医師不足が理由だが、都留病院は同3月から分娩中止に追い込まれるため、関係者が医師の派遣継続を付属病院に訴えた。
集まった署名は、約1カ月で18歳以上の市民の9割近く。短期間での盛り上がりに、市議会の藤江厚夫議長は語気を強めた。「市民も切羽詰まっている証拠だ」
同様の理由で、9月末で分娩を取りやめた甲州市の塩山市民病院でも、医師の派遣継続を求めて約7万7000人が署名した。
30年にわたり甲府市下石田2で開業している「杉田産婦人科医院」(杉田茂仁院長)も、10月から分娩を取りやめた。1人で対応してきた杉田院長(70)は「365日24時間働き、人間的な生活はできないと覚悟してきたが、年齢的に厳しくなった」と話す。長男(40)は千葉の病院で産婦人科医として勤務するが、「医師1人の開業は安全面で懸念を持っているようだ」とした。
県内の分娩可能な医療機関はここ10年で半数以下の17カ所に減少。うち9カ所が甲府市内に集中している。
× × ×
困窮の度合いを増すお産現場の改善に向け、分娩場所の拠点化や医師の集約化が議論に上っている。国立病院機構甲府病院の外科系診療部長で産婦人科医の深田幸仁医師(44)は「若い医師が安全に安心して働ける勤務環境を整えないと産婦人科医は増えない」と訴え、この動きを支持する。
受け入れ病院が決まるまでの照会件数は、消防庁によると、県内は04年のゼロから06年は▽1回1件▽3回2件▽5回1件−−と急増した。集約化により、既に分娩場所のない峡南地域など都市部以外の妊婦に、さらなる長距離移動を強いることにつながりかねないとの指摘もある。
県産婦人科医会の武者吉英会長は「2、3年後には県内の分娩体制が崩壊する恐れがある」と警鐘を鳴らす。県は、県内で医師として働くことを条件にした奨学金制度の導入などに着手したが、限られた産婦人科希望の学生を全国で奪い合う構図に「限界がある」との声も漏れる。
そんな中、横内正明知事は9月議会で助産師外来設置の検討を表明した。病院によっては1人の医師が1日で70人もの妊婦に行う健診を助産師に担ってもらい、医師の負担を減らすのが狙いだ。医師不足をカバーしようと、同医会も助産師を養成しやすい仕組み作りを行政に働きかけ始めた。「医師が一人前になるには何年もかかる。助産師養成の方が早く、頼もしいパートナーになり得る」。武者会長も期待を寄せる。
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■ことば
◇助産師
保健師助産師看護師法(保助看法)で定められた国家資格。助産師になるには、大学の看護学科で学んだり、看護師資格を取得して「養成所」に1年間通った後、国家試験に合格する必要がある。保健指導や正常分娩の介助、子宮収縮の状態を調べる「内診」などの助産行為にあたることができる。
毎日新聞 2007年11月22日
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引用終わり