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ひと:バド・ウェルチさん 死刑廃止訴えるテロ被害者遺族
168人が犠牲になった米オクラホマシティー連邦政府ビル爆破事件で、23歳の長女ジュリーさんを亡くした。95年4月19日のことだ。「自分の手で犯人を殺したい」。怒りと憎しみに取りつかれ、アルコールにおぼれる夜が続いた。
事件を首謀したとして逮捕・起訴された男は元米陸軍兵士。「自分を湾岸戦争に送り込んだ連邦政府への恨み」が動機だとも報道された。自分と同じ復讐(ふくしゅう)心が、事件を引き起こしたのではないか。10カ月後にそう気付いた。
「死刑は子供たちに憎むことを教えるだけよ」。生前の娘の言葉を思い出し、死刑反対を訴え始めた。男の死刑は01年6月に執行されたが、何の安らぎも得られなかったという。
復讐の連鎖を断ち切ろうと考えた時、テレビで見た男の父親の姿を思い出した。悲しみに包まれた表情が、鏡に映る自分にそっくりだった。「息子が犯した罪であなたを憎んではいない」。3年半後に面会を果たし、そう伝えた。今も続く父親同士の交流が、大きな癒やしになっている。
自身の体験に基づき、全米で「死刑廃止」と「被害者家族と加害者家族の対話」を訴えてきた。10月下旬から11月初めに初来日、犯罪被害者家族との交流も深めた。海外訪問は日本で12カ国目。講演回数が1000回を超えた年もある。「死刑廃止に向け、日本はアジアでリーダーシップを発揮してほしい」。離日に当たっての願いだ。【木戸 哲】
【略歴】 BudWelch 元ガソリンスタンド経営。来日時は全国8カ所で講演した。「人権を求める殺人被害者家族の会」理事長。米オクラホマ州在住。68歳。
毎日新聞 2007年12月7日 0時10分