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「ブラック企業」の問題と最近雑談板で激論があった「外国人労働者問題」が
複雑に絡み合った事例の記事を発見しました。
日本人がやらない仕事を、無理に、日本国内でやる必要がない典型的な例だ。
一切、外国人労働者を入れるなとは言わないが、このようなケースでは、
明らかに、多方面に対して、不利益しかもたらしていないのだ。
以下、転載。
http://www.news.janjan.jp/area/0409/0409138872/1.php
中国人実習生の賃金未払い問題
北海道・室蘭の縫製会社「ルックラン」(木山泰正社長)で、中国から来ている実習生11人に対し、
賃金の未払いが起きている問題で、室蘭労働基準監督署が9日、会社などへ家宅捜索に入った。
一連の問題について、新聞・テレビなどの報道を総合すると、以下のようになる。
実習生への賃金を未払い
この問題は、2000年から中国人実習生を受け入れている縫製会社「ルックラン」が、
今年働いていた実習生11人に6月分の一部と7月分・8月分全額の賃金を支払っていないことに端を発している。
実習生は賃金の未払いに抗議し、8月上旬からは仕事に就くのを拒否している。
これをみた室蘭労働基準監督署は8月25日までに、労働基準法違反の疑いがあるとし、
会社に賃金を全額支払うよう「行政指導」をしていた。しかし室蘭労基署は「改善が全くみられない」とし、
証拠保全のため強制捜査に入った。
報道などで、同社の木山社長は、室蘭労基署の調査に対し「不払いに事実はある。経営上の問題で払っていない」と
答えたというが、10日放送された地元「UHBテレビ」の特集の中では、記者の質問に対して
「能力不足で、不当ではない」と答えるなど、食い違いをみせている。
「ルックラン」の正規の勤務時間は、午前8時40分から午後5時20分だが、実際の勤務は連日の長時間労働で、
食事時間も満足に与えられない時もあり、徹夜明けでそのまま翌日勤務もあった。
今年の5月は残業時間が100時間にもなったと言う。
それなのに、残業手当は実際働いた時間の1/3〜1/6程度しか支払われていなかった。
縫製業務の際にも、不良品を出したと言って、その分を賃金から「職能給」名目で、
月に一人当たり2万円〜3万円減額している。
ところが、彼女らは「不良品は出していない」言っており、現に8月から就労を拒否しているが、
今も変わらず不良品はでていると関係者は話している。つまり、不良品がでたことを全て彼女らに押し付け、
それを賃金から強制的に差し引いていたことになる。
賃金の未払いは、今年の6月ごろからがひどくなり、今までに支払われていない額は、
1人当たり150万円余りに上ることが、連合(胆振地区ユニオン)などの調べで判っている。
はたして、こんなことが日本人労働者に対してできるだろうか。
これは、アジア各国などから日本に来て働く人に対して、日本人独特の心の中に根深くある、
同じアジア人への蔑視ではないだろうかと考えてしまう。以前、JanJanに曾理記者が書いた
「中国マスコミスキャン〜日本メディアが報じなかった『覗き見事件』」の記事に共通するものを感じる。
そして、会社側は問題が発覚したあと、追い討ちをかけるように、彼女らが会社の寮として暮らしていた、
アパート3室の立ち退きを要求してきた。所有者との間での賃貸契約が、8月末に切れることを理由にしている。
9月1日午前、実習生ら11人は室蘭市が用意した住宅(市職員住宅)に移った。彼らは
「賃金の問題が解決していないのに、寮を出されるのは悔しい」「この辛さ、悔しさは一生忘れない」と話す半面、
「突然部屋に入られることもあったが、これからは少し安心できそう」とも話している。
中国領事館も実態調査へ
こうした出来事に、中国領事館も実態調査に乗りだした。中国駐札幌総領事館の、李玉萍(りぎょくへい)領事は、
UHB放送の記者の質問に対し「21世紀の今、こんなことが、とても信じられないこと。
今は民間的トラブルで済んでも、もし、うまく解決しなければ、やはり影響があると思います」と、
日中に及ぼす影響を危惧している。
また新たに判ったことだが、日本人従業員の23人に対しても、昨年12月から賃金の遅配が続いている。
9月6日、会社側は日本人23人全員に解雇を通告し操業を停止した。そして中国人実習生にも、
同6日付けで解雇すると市側に伝えている。
木山社長は今後について、北海道新聞の取材に「倒産か存続かも含めて週内に結論を出したい」と述べている。
だが、これでは、会社が「外国人研修・技能実習制度」を悪用したとみられても、仕方ないのではないか。
李玉萍領事は「全国にある中国人実習生を受け入れている会社を回って見ているが、ここまでひどい所はない」と、
関係者に話している。実習生の11人は、賃金を払ってもらえるのか全く判っていないので、帰国日が決まらず困っているという。
この一件には、考えさせられるものがある。縫製業界の新卒者定着率は、ゼロに等しいらしい。
就労者の老齢化が進んでいるうえ、日本の若者が単純労働の仕事を嫌厭(けんえん)するため、なり手が減っている。
これから10年過ぎたあとの企業の存続を考えると、彼・彼女ら(外国人就労者)の存在が欠かせないようだ。
こうした外国人就労者と制度について、同じ市内にある縫製業者は、次のように話している。
「昨年から実習生を受け入れ始めて、現在16人が働いているが、きちんと制度が働いていてメリットも多い。
受け入れてから生産スピードがあがっているし、周りの人たちが生きいきして、工場全体の生産があがった」
また「彼女らは、欠勤率が低く仕事熱心で評判がいい。貴重な戦力になっている」
ただ、縫製業界では新規就労者定着率は、はかばかしくなく、いま働いている人たちも高齢化が進んでいるなど
厳しい環境に置かれているため、残業もやむを得ないところもあり、前述の縫製業者は
「『働時間』『賃金』など受け入れ態勢の根本的なところから見直すべきだ」とも話している。
こうした問題はアパレル産業に限らず、これらからの日本の産業の多くが直面するのではと言う意見も聞かれる。
「研修・実習」の名を借りて外国人労働者を受け入れざるを得ない現実が、ここにある。
市民が「支援する会」を結成
中国人実習生の賃金未払い問題に関しては9月1日、室蘭の市民有志らが「室蘭中国人実習生を支援する会」を結成した。
代表は司法書士の鈴木雄二さん(58)。支援内容は「ルックラン」に対し、未払い賃金の支払いを求めるとともに、
募金活動(※)などを通し、帰国費用などの支援をする方向で運動を行なうという。
鈴木代表は「会社側の対応によっては法的な措置(民事訴訟)も検討したい」とも述べている。
そして「室蘭中国人実習生を支援する会」5日、早速、室蘭市内で街頭募金活動を始めた。
代表の鈴木雄二さんら「支援する会」は、室蘭市役所で記者会見を開き「研修・技能実習とは名ばかりで、
長時間勤務や休日出勤を強制した人権問題でもあり、また実習生の疲労はピークに達しており
早くに帰国できるよう支援をしてほしい」と、募金の協力とともに訴えた。
代表の鈴木雄二さんに、直接電話で今の彼女らの状況を聞いたが
「彼女らには、市から当面の生活費として、一日1,200円が支払われている。
だが、日本へ来る時かなりの借金をして来ているので、我われの募金だけでは、これを穴埋めしてあげられない」と話していた。
こうした部分については、国や地方の行政の手を借りるしかないだろうと思う。
根付いてきた日中の友好関係をこんな形で崩さないで欲しいものである。
(岩崎信二)