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(貼り付け開始)
なぜメディアは事実を報道できないのか? 5(武田邦彦)
http://takedanet.com/2007/04/post_e3ab.html
― なぜ、新聞は真実を報道できないのか? ―
新聞が真実を報道できないのは、現代の新聞は、最初から「真実を報道する」という役割を持っているのではなく、「正義を国民に諭す」という役割を負っているからだということがわかりました。
それに気がつけば、普段から良く判ることも多かったのですが、「新聞は真実を報道する」という先入観が強かったので、こんな簡単なことに気がつかなかったというのが正直なところです。
でも、新聞の歴史を丹念に調べればもしかすると最初のころは真実を伝えることもあったでしょうし、今でも真実を伝えようとする新聞があるかも知れません。
新聞のこの2つの方針は必然的に異なる取材の方法につながります。
1) もし真実を取材するならば、事実を取材し、確認する。
2) もし社会を諭すなら、最初に方針を決めておいて、それに合うものを取材する。
このように表現してみると「事実を取材する」というのは、「方針を決めて取材する」ということに対してとてつもなく難しい事が判ります。
もし、新聞が正義を決めて社会を諭す役割を持つとすると、新聞社の社内でまず正義を決めます。今の日本の新聞はどうも次のように社内で決めていた、または決めているように思えます。
戦争 ・・・ 戦前は正義、戦後は悪。
内閣 ・・・ スタート時は正義、終わりは悪。
水俣病 ・・ 民衆は正義、チッソは悪。
エネルギー ・・ 太陽電池は正義、原子力は悪。
消費 ・・・ 1960年代は三種の神器、1990年代は悪。
化学物質 ・・ 天然品は正義、合成品は悪。
国際 ・・・ アメリカは正義、北朝鮮は悪。
などです。
正義か悪かを一旦、新聞社の重役会で決めて貰うと記者は取材が簡単です。事実を知るために足を使ってかけずり回らなくても、その趣旨に合うように取材すれば良いからです。
戦前は民衆が戦争に勝とうと思っていました。その時には戦争は正義ですから新聞記者は上海に出向き、「上海の我が軍、意気盛ん!」と報道します。その場合は、最初から記事の内容は判っているのですから、上海に取材にいった記者は元気な将校を見つけてそこでインタビューすれば直ちに本社に電信できます。
取材は一人で済み、まとめるのも簡単ですし、本社の編集部や整理部は喜び、重役の覚えも良くなり、さらに国民が支持してくれます。もし何か文句を言われたら「国民が希望していることをして何が悪い」と言えばOKです。
反対に、「事実」を取材しようとすると大変です。多くの将校から取材し、兵士にも取材しなければなりません。もしかすると将校の取材は許されても、兵士へのインタビューは禁止されるかも知れません。
危険を覚悟して事実を追う記者、苦労して真実を捕まえることができても記事をまとめるのも大変だし、何しろ本社の意向に反する結果が出るかもしれないのだから、その場合は苦労して取材した記事が採用されないかも判りません。
・・・そんな気骨のある記者もいるかも知れませんがサラリーマン記者ならあまり期待してはいけないでしょう。
また、新聞は内閣の誕生当時にはかなり好意的でも、終盤は悪口ばかり書くので首相は必ず新聞と対立します。新聞が内閣と対立するということ自体がおかしいのですが、新聞論調というものは内閣の末期には批判的になります。
内閣支持率が高い間は内閣を持ち上げなければならないし、支持率が下がればマスコミとしては悪口を書いた方が民衆の心を掴みます。もし、内閣が起死回生の良い政策を進めようとしても、それを叩けばイチコロです。
環境問題でもこの関係は続きました。
大量消費が悪いと言われていますが、それは1990年代に入ってからで、1960年代には大量消費は三種の神器などと呼ばれて「正義」だったのです。でも「正義」は新聞社の本社で決めた「民衆は何に喜ぶか」という事ですから、すぐ変わります。
ゴミの山を見てびっくりすると、直ちに「大量生産は悪」という事になり、それ一色で読者を獲得します。
でも、我が身を振り返り、そして社会のほとんどの人がサラリーマンか、そうで無くても利害関係で動くのだと思うと、新聞記者だけが会社の方針に反対することを期待するのは酷というものです。
また新聞社も商売をしているのですから、民衆が喜ぶ報道をして何が悪いと言われれば、それもそうとも思います。そして何より重役が「あれが悪」と決めれば取材も論説も簡単になるというのが一番のメリットでしょう。
社会より一段高い見識をもった新聞、事実を報道するだけのスタッフや魂を持ったマスコミ、そんなものはすでに幻かも知れません。
つづく
(貼り付け終わり)
さあ〜 亀タタキだ〜!