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(回答先: 民主党、天下り根絶法案を、参院に提出へ 投稿者 最大多数の最大幸福 日時 2007 年 8 月 02 日 16:51:36)
〜 「人材バンク」では天下りはなくならない 〜
6月23日で終るはずだった国会が12日間延長され、これに伴い、当初7月22日に投票予定だった参議院選挙も1週間ずれることとなった。22日で準備を進めていた地方自治体などには混乱が広がっている。安倍総理によると、「人材バンク」設立を柱とした公務員の人事制度改革法案を、何としても通したいとの思いがあるようだ。後ほど詳しく触れたいが、私は、政府案では天下りはなくならないと確信している。むしろ、今までの規制を取り払う「天下り自由化法案」と言ってもいい。もし安倍総理が、本当にこの法案で天下りがなくなると考えているのであれば、事実認識の大きな欠如で大問題だが、天下りはなくならないと判っていながら、参議院選挙対策としてのエクスキューズ(言い訳)で「天下りはなくなる」と主張するなら、これまた大きな問題だ。
林野庁所管の独立行政法人「緑資源機構」を頂点として、その下に公益法人や株式会社、コンサルタント会社などが沢山ぶら下がって「天下りコミュニティ」が形成されていた。「渡り」を繰り返して、離職後だけで最も多く給与や退職金をもらっていた役人は約1億7千万円を手にしたと言われている。ちなみに、今問題になっている社会保険庁でも、社会保険庁長官経験者が「渡り」によって本省離職後だけで、約3億6千万円の報酬や退職金を受け取ったものもいるという。官製談合によって一部の業者が競争なく仕事を受注することが出来、その見返りとして天下りを受け入れる。松岡前農水大臣は緑資源機構関連の業者からだけで、10年間で約1億3千万円の献金を受け取っていた。役人は談合を仕切って天下りを受け入れてもらい、一部の業者は競争なく仕事を受注できて利益を得、その企業から一部の政治家が多額の献金を受け取る。馬鹿をみるのは、公共事業が高値で発注されることにより、税金がより多く無駄に使われて損をしている納税者、国民だ。
このような政官業癒着の官製談合構造は、何も緑資源機構に限った話ではない。国土交通省の各地方整備局、社会保険庁、防衛施設庁、旧道路公団、旧成田空港整備公団など、数え上げればきりがない。また国だけではなく、地方でも談合は常態化している。去年だけで、一体何人の首長が逮捕されただろうか。福島県、和歌山県、そして宮崎県。さらには千葉県の成田市、大阪府の枚方市など。まさに日本は、談合列島だ。
だからこそ、天下り対策はポーズではなく、実効性のあるものでなければならない。しかし、政府の人材バンク法案では天下りはなくならず、むしろ天下りは自由化される。では一体「人材バンク」のどこが問題なのか。まず、天下りを禁止するのではなく、天下りの取り扱いを「人材バンク」に一元化することにある。「人材バンク」では年間約5000人の再就職を扱うことが予想されるが、業者から単なる求人要望ではなく、具体的な要求、つまり「何々省の誰々さんを我が社に欲しい」というオファーが「人材バンク」にあれば、受け入れないということにはなっていない。禁止されているのは、官からの押し付け的な天下りだからである。つまり、役所と業者の間で事前に相談をしておき、「あうん」の呼吸が合えば、今までは役所が仕事を発注する企業には2年間天下りが禁止されていた項目がなくなったため、すぐにでも天下りが可能になってしまうのである。確かに「人材バンク」ができると役所と業者の直接的な話し合いにはならないが、内々話をつけておく形で「人材バンク」に持ち込めば、むしろ天下りは大手を振ってまかり通ることになる。
発注も、一般競争入札を導入するなどと言っているが、役所が巧妙に骨抜きにしてきた歴史を私は見てきた。私は初当選以来約14年間、入札制度改革を手がけて一般競争入札の導入に力を入れてきた。昨年の予算委員会でも、当時の小泉総理、谷垣財務相に対して会計法の適用除外になっている公益法人や特殊法人にも、一般競争入札を導入すべきだと主張した。小泉、谷垣両氏は改善をその場で約束し、政府はそれを受けて今年から、公益法人や特殊法人に対しても随意契約ではなく一般競争入札で受注企業を決めるとの通達を出したのだが、国土交通省の地方支分部局などでは、あれやこれやの条件を付けて、結局、随意契約で仕事を出していた公益法人などに、一般競争入札導入後も同じ事業を発注し続けているのである。
最も説得力のある話をすれば、仲の良い役人達に「人材バンクが出来ることで、天下りはなくなるか」と聞いて回っているが、なくなると答えた役人には未だ出くわしたことはない。本当に効果的な天下り対策であれば、族議員が終結している自民党の総務会を簡単に通るようなことはなかったに違いない。
役人にも家族がある。大事なことは、今の定年まで勤めず、早くに役所を辞めなければならない早期勧奨退職制度をなくし、定年まで働けるようにすることだ。また、役所と取引などで関係のない企業には再就職を自由化し、関係のある企業には天下りを全面禁止するというメリハリが何よりも重要だ。参議院選挙では「ポーズだけであって実のない」政府案か、「早期勧奨退職制度の廃止」「天下り全面禁止」の民主党案を選ぶのかを、年金の在り方同様、正々堂々と問いかけていきたい。