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転載:http://exodus.exblog.jp/6070821/
Global Research のレギュラーライタ,リチャード・クックの最新論文 "The Crashing U.S. Economy Held Hostage : Our Economy is on an Artificial Life-support System" を全訳した.米国連邦準備制度に代表される中央銀行システムが世界の諸矛盾の根源であり,戦争と貧困の最大の原因であることが次第に理解されるようになってきた.すでに共和党の大統領候補の一人であるロン・ポールは「連邦準備制度の廃絶」を公約として打ち出している.平易な論文なので読み通すのは難しくないと思われるが,「信用創造(credit creation)」と「部分準備銀行(fractional reserve banking)」についての簡単な予備知識があることが望ましい.2003年に私が書いた小論文「共同的資本主義論」を併読して頂けるとうれしい.この時期にこの種の論文を提起する理由は,年金問題(累積公的債務問題=財政破綻問題を含め)を最終的に解決するためには「政府貨幣の発行」に関する議論をクリアする必要があると考えているからである.政府は年金支給年齢を65歳から70歳あるいはそれ以上に遅くすることを目論んでいるが,クックはそんなに働く必要はないと主張する. この改革を実現する上でテクニカルな問題は基本的には存在しない.クックは数ヶ月あれば十分実装可能と予測する(この「革命」には「ギロチン」は不要だ).しかし,私はこれらのことが今日,明日にも実現できるものとは考えていない.政府貨幣(私は自由貨幣と呼んでいる)を発行する権限を握った政府がどう行動するか予測できないからだ.自由貨幣を自由に行使するためには至高のモラルが要求される.200兆円におよぶ公的年金資金という無尽蔵に近い黄金の山の前で国家官僚・政治家たちがどのように行動したかを想起せよ.そのような政府が可能であるのかどうか?私には今のところ分からない.一部には「政府貨幣の使用は世界権力者(国際金融資本家のトラスト)が許さないだろう」という見方もある.確かに,これまでに政府貨幣の実現に向けて動いた政治家(たとえば,リンカーン,ケネディなど)はほとんど例外なく暗殺されているという事実がある.これらの条件を考え合わせると,もし仮に近い将来政府貨幣が実現されたとしても,極めて限定的実験的かつ期限付きのものにならざるを得ない.一つだけ言えることはこの場合,政府貨幣の執行は国民投票のテーマとなるべきだという点である.ある国家の国民が総体として政府貨幣の行使を決定したとき,介入できる国際謀略は存在しない. 人質に取られ壊滅しつつあるアメリカ経済 米国が世界最大の産業民主主義国家だったのは何時の日のことであったか?わずか30年前には我が生産経済の産出物と労働者の技能は世界をリードしていた.何が起こったのか?ほとんど信じ難いけれど,たった一世代の間に我々の地位と能力はあっけなく潰れてしまった,たとえば鉄鋼および自動車産業,あるいは家族経営農業など.では,この衰退の原因は何だったのか?今となれば次のようなことが言える:我が国の経済は人工的生命維持装置の上にあり,呼吸困難に陥いって精神病院に監禁された人質である.この狂人病棟こそ米国であり,世界金融システムは崩壊の瀬戸際にある.入院患者は大小の財界有力者並びに世界の中央銀行家たちである.世界経済の大きな部分が決定的な下向きの地滑り状態にあり,金融資本家たちはそれを止めることができない,なぜなら彼らが操作しているシステムがその主因なのだから,これが実情である.よくあることではあるが,入院患者たちが病院を仕切っているのだ. 問題は米国内に留まらない.失業は世界中で増え続け,負債は猛威を振るい,インフラストラクチャは崩壊し,物価は上昇している.このような環境下で,犯罪,戦争,テロリズムやその他の暴力が蔓延している.このようなシナリオを「悪い奴ら」に包囲された自由を愛する西欧民主主義という観点で描くことができるのはもっとも幼稚で自己中で何か勘違いしている妄信的愛国主義者しかいない.むしろ起きていることからは西欧金融グローバリストの失敗が拡大し続けていることが浮き彫りになる.彼らは政治的安定性に極めて腐食性の高いインパクトを及ぼしている.多くの無責任でない評論家が警告しているように,この数ヶ月以内にも大きな財政的ショックを見ることすらありそうだ.警告はBIS(国際決済銀行)やIMF(国際通貨基金)のような評価の高い[国際]機関のプレーヤーからも聞こえてくる. 我々は金融資本家が世界を支配する時代の終わりすら見ることになるかもしれない.ある時点において政府,ないしその軍事および官僚組織が無秩序に向かって突っ走る金融資本家たちの暴走を傍観する受動的な観客であることを止めるということもあり得る.これはすでにロシアやそれ以外の場所で起こっていることである.金融部門の活動によってもたらされる経済の腐食に対し政府がもっとも受動的であった米国のような国は自分たちの運命を知ることのもっとも遅い国となるだろう.現代の金融資本家たちは民営化,規制緩和,投機によって指標付けられた経済から(それはまさに変化しようとしているのだが)もっとも利益を得た最後の世代となるだろう.この変化が建設的なものになるか,破滅的なものになるかは今のところ予測できない. 住宅バブルは米国崩壊の舞台装置をセットする 米国の内部にあっては,外国人投資家,中でも共産中国は,我々の大量貿易[輸入超過]と財政赤字を彼らの資本によって下支えしてきた.彼らをハッピーにしておくために―低金利の6年の後―利子率は現在比較的高水準に保たれなくてはならない.さもなければ,中国およびその他の国々は我々を置き去りにして逃避してしまい,空洞化した経済の抜け殻で我々自身を養わなくてはならなくなってしまう.だとしても,これらの投資家たちはますますドルを保持することに不安になり,何とか脱出したいと思っている.外国人による米国証券の購買は激減している.また,我々の借金漬けの経済では製造業の基盤が大きくアウトソースされるようになったため,もはや我々自身の生産資源を活用するような生活を国民に提供することは不可能である. しばらくの間,我々は住宅バブルの上で浮かれていたが,それも過ぎ去った過去の話だ.メリル・リンチの調査に依れば,人工的に膨張した住宅産業は2005年には米国経済成長の50%を占めていた.よく知られているように,連邦準備制度理事会はアラン・グリーンスパン議長の下で経済に流動性を注入するために住宅バブルをステロイド剤を投与するように利用した.これは少なくともしばらくは効果があった.なぜなら消費者は比較的低い利率で大金を借りることができたので,持ち家の購入あるいは住宅担保ローンを組んでクレジットカードの支払いや子どもたちの大学教育資金の融資,新車の購入などに当てることができた.住宅バブルの最終的な歴史が書かれるときにはその開始時期は早ければ1989−90年とされるであろう.このとき始めて不動産を購入しようとする[消費者]信用の規制緩和が始まった.本論文のために取材した貸金業界の内部関係者たちによれば,彼らは1990年代の中盤から終盤にかけて消費者の不良信用情報を回避して何とか彼らに住宅を売りつける方法を仕込まれたという. ドットコムバブルは2000−2002年の[相場]下落により株式市場で失敗するがその崩壊後,FRBは2001年頃から住宅バブルを本気で膨らませ始めた.その結果,労働者階級の退職金積み立てを含む1兆ドル以上の富が単純にも消失した.また,貸金業界の専門家によると「酔っ払わせ詐欺の波」が始まったのは,ジョージ・W・ブッシュが大統領になった2ヶ月後の2001年3月のこととされる.住宅金融専門会社はまったく不適格な買い手が家を購入することができるようにローン申込書のパッケージをどのように組むかという「偽造の達人芸」を債権者/貸し手から伝授された.マネー・チェーンの高位からの指示なしに産業全体の不法行為が突然始まるなどということは有り得ない.それが続く間,監督官庁の内部告発者のレポートが提出されなかったということも有り得ない.今日になって政府は貸金詐欺を告発しているが,もちろんそれが実際に行われている間それについて何も知らなかったはずはない. バブルはウォール街から操られていた.そこでは「創造的に融資された」担保物件が「束ねられ」,退職金基金および投資信託,あるいは海外の投資家への債券として売られた.ポートフォリオ・マネージャはサブプライム債券を他の満期債券のように買うように指示された.今や崩壊したのは産業のこのサブプライム区分である.たとえば,最近広く報道された事例ではベア・スターンズ投資銀行の2つのヘッジ・ファンド崩壊の引き金となった.しかも,影響を受けたのは低所得の住宅購入者だけではなかった.ワシントン・ポストはワシントン郊外の裕福な地域,フェアファックス,ロウドンあるいはモンゴメリなどの郡で,記憶されている限りでは今回始めての差し押さえが起きたことを報じた. サブプライム債券が疑わしいことは知れ渡っていた.一つの理由はそれらが変動金利に基づいていたことによる.それは実際のところ2,3年後には発行されたときよりも月当たり数百ドルも高い支払いによって爆発するようスケジュールされた時限爆弾であった.これらの抵当物件の多くは今年の10月になるとより高額の支払いにリセットされることになる.購入者らは引き上げられた支払いを免れたいときにはいつでも住宅を転売できるという嘘を吹き込まれていた.今や市場は崩壊し,損失を出さずに十分高い価格で転売して逃げることはますます不可能になっている.システムが働いた一つの方法は,抵当物件をウォール街にとってより一層魅力的なものにするために抵当への貸し手が買い手に必要な融資の「ポイント」を最大化するというやり口である.もちろん抵当物件を束ねて売り出すことで,そのローンを創発した銀行は何百万という小口投資家に相当量のリスクを押し付けることによって融資から解放された.これはフレディ・マックやファニー・メイのような準公的機関への通常の売買に追加されるものである. それは詐欺に当たるのではないか?もちろん.FRBはそれについて知っていたのか?そのはずだ.議会の監視機能は働いていたか?いいや.ホワイト・ハウスは何を知っていたか?ドルと良識の編集者であるエイミー・グラックマンが2006年11月/12月号で報告している:「クリントン政権の間はグリーンスパンは比較的組み込まれていなかった―ホワイトハウスでは平均して1ヶ月にたった1回のミーティング...」.「しかし,ジョージ・W・ブッシュがペンシルバニア通り1600番地(ホワイトハウスの住所)に移ったとき,グリーンスパンの振る舞い方は変化した.2001年の間,彼は平均1ヶ月に3.3回ホワイトハウスを訪問した.これはクリントン政権時の3倍であり,チェイニー副大統領のような政府高官よりももっと頻度が高い.彼の訪問は2002年には1ヶ月に4.6回,2003年には5.7回にも昇った.」 ホワイトハウス関係者がグリーンスパンの耳に吹き込むことはどんなことでも効き目があった.グリーンスパンは彼の減税に関する態度を突然変更した.2001年と2003年のブッシュの減税の大盤振る舞いには重要な決定的支持を与えた.さらに2001年1月に始まるFRBが制御する金利の反復的切り下げによって手綱を緩めた.権力を握った共和党への贈り物である.この過程で,バブルは住宅価格を大幅に高騰させた.これを官界は経済的「成長」であると喧伝した.今日でさえバロンのような定期刊行物にはこのインフレーションはアメリカの「富」を押し上げたなどという幼稚な与太話が出てくる. しかし,生活者にとってはこの流動性の源泉は我々のクレジットカードのように限界に達していた.そしてそれを代替するものは何もなかった.もはやキャッシュのクッションはなかった.なぜなら何年も前から個人的・世帯的な預金ができるほどの稼ぎは止まっていたからである.購入者が差し押さえによって住宅を失うとき,不動産は銀行と資金を用意できるその他のあらゆる投資家によって破産価格で強奪される.クリーブランドやアトランタなどの近郊市街地はすべて板を打ち付けられてゴーストタウンと化しつつある. 我々が見ているのは,我国の金融と政治の最上位の権力層が関わっていることを含意するファンタスティックな規模の経済犯罪の結果である.これは3代の大統領の任期にまたがっている―ブッシュ1世,クリントン,ブッシュ2世―とはいえ最悪の事態は2001年より後のあからさまな貸付詐欺の横行と共に起きているが.例によって偽善が猛威を振るっているときには雑魚だけが説明を求めて呼び出される.夢中遊行の議会を含む解説者たちは支払い限度を超えて深みにはまった消費者を独善的に非難している.全米抵当貸付銀行協会はそれ自身の産業内の悪徳ブローカーと推定される連中をスケープゴートとしてFBIに追いつめさせるために700万ドルを超える予算を計上するよう議会へのロビー活動を行っている. バブルは単なる兆候でしかない 話はそれに留まらない.これらのバブルは兆候である.我国の賃金・給与生活者は低迷する所得とさまざまな構造的要因により購買力を欠いていたためにバルブが創出された.これらの要因には我国の製造工業を中国やその他の低賃金市場にアウトソーシングしたこと,米国に残った産業はさらにより少ない労働者によって生産物を製造できるほど超効率的であることなどが含まれる.また,我国の農業,鉱業,その他の資源を基盤とする産業は長期の下降局面にある.この下降と製造工業の低落は1970年代に石油生産がピークに達して以来続いている.これはFRBによって誘発された1979−83年の不況に続く.次に来たのは金融産業の規制緩和である.これらはすべて今日の「サービス経済」に通ずる経済的崩壊の一部であった. 今や,米国現代史上始めて新しい経済エンジンがまったく存在しない状態に至った.最後のリアルなエンジンは現在成熟に達し,除草されて周辺プレーヤしかいないインターネットである.今日の我国の民間部門の最大の職務はフード・サービス,財政的文書業務の処理,増加しつつある退職者の健康管理,造園やビル管理などのような低賃金の単純作業である.これらはますます保育や自動車修理など多くのサービス業で標準以下に値付けされる米国市民である移民によって行われるようになっている.今日,我々の人口の一般人は生き残るためにはますます借入に向かわなければならない.銀行とクレジットカード会社だけが受益者である.個人,ビジネス,および政府の社会的負債の総計は45兆ドルを超えてさらに上昇し続けている.このようなことが賃金と給与の実質価値が減少し続ける中で起きている. 私がここまで述べてきただけで十分悪いのだが,本物の狂気に入るのはこれからだ. 従業員報酬の価値の下落に関連する主たる要因の一つは,株式市場の浮揚を維持し,株式,ヘッジ,デリバティブ・ファンドの投機的ゲームを煽るために使われる巨大な量の銀行信用の増殖による包括的金融経済におけるドルの平価切り下げである.換言すれば,我々の工場の閉鎖が続く間ウォール街の賭博カジノは―ラスベガスの対応部分のように―年中無休全開で走っている.これは,巨額の財政赤字を穴埋めする融資とともに,批評家がFRBの「紙幣乱造」についてしゃべっているとき,話していることである. 連邦政府支出の主たる増加要因は,中東戦争の戦費と国債の利払いである.しかし,民間部門の中でさえ,エコノミストが最近「虚像...金利のみ(元本を償還せず金利のみ払い続ける蟻地獄),負償還貸付(支払い金額が利払いにも不足し元本が増殖するとんでもスキーム)」と書いたように,借り入れによって資金調達するビジネスへの融資がサブプライム市場には存在する.しかし,ここには大きな相違点がある.借り入れによって資金調達しているビジネス経済では,危機に瀕している資産の量は住宅バブルの場合よりもさらに大きい.マイケル・ハドソン博士がFIRE経済―金融・保険・不動産,Finance, Insurance, and Real Estate―と呼ぶ財界はゲームの遊び方を知っている連中の中から百万長者,億万長者を産み出してきた. ウォール街のヘッジファンドは歴史上もっとも無責任な財務詐欺として突出している.何の規制も受けることなく秘密主義的で,株式取引全体の1/3を占め,資産として2兆ドルを所有し,個々のマネージャには年間で10億ドルよりも支払っている.この次,誰かあなたの知っている人の仕事が中国にアウトソースされたとか,あるいはその人の住宅貸付の変動金利がリセットされ,毎月の住宅費支払いが支払い可能水準をはるかに越えてしまうようなことがあったとき,このことを考えてみるがよい. ヘッジファンドはFRBが認定した部分準備の特権の下でローンを生成する銀行から巨額資金を借り入れる.しばしばこの資金はヘッジファンドが市場で空売りを行い,それによって株式価格が下落したとき利益を上げるために使われる.換言すれば,ヘッジファンドとその銀行屋どもはバンク・レバレッジを生産経済に対抗して賭けるために使う.そうすることによって,彼らは実際に株式価格を急激に下落させ一般投資家に彼ら自身の富の一部を強制的に失わせることも行う.これを犯罪と呼ばずして何と呼ぶことができるだろう? 米国勤労者の多くの生計およびおそらく残りの世界人口の半分―多分30億万人―はこのような金融的無法状態に脅かされている.金融自由化と金持ちに対する減税の最初に用いられた口実は,富裕層の収益が一般人に波及するトリクルダウン効果だった.レーガン政権は1980年代に「サプライサイド経済学」の見出しの下でこれらの政策の先鞭をつけた.しかし,起きたのはまったく反対のことだった.システムは持てる者と持たざる者にますます階層化する世界的な文化を制度化した. カタストロフィーの根本的原因 迫り来る今日の悲劇はどのようにして起きたのか? 原因を探すのはたまねぎの皮を剥くようなものだ.我々が現実に見ているのは,ほとんど1世紀を経た失敗した金融システムの断末魔の苦しみである.1913年の連邦準備制度の創設以来―完全雇用を目標とするケインズ主義的経済によるニューディール政策の時期でさえ―我国の経済はほとんど完全に部分準備銀行に基礎を置いていたが故に,それは起こりつつある.これは世界の全権を握る中央銀行システム体制の下で,貨幣が負債の重荷を背負った貸付としてしか出現しないことを意味する.この貸付金利は実物経済の成長によって追い越されない限り指数関数的に増加する傾向にある. 財務省債券の購買からクレジットカード,住宅担保貸付,レバレッジド・バイアウト(買収対象の資産あるいは将来キャッシュフローを担保にした借入を資金として行う企業買収)のため,あるいは純然たる投機のためのヘッジファンドへの10億ドルのローンまで,すべての銀行融資の事例は最終的にはいつか,どこかで,誰かしらによって,どのようにしてであれ金利と共に返済されなくてはならないことを想起するがよい.最後には,それは米国内であれ他の国であれ,生計のために働く人々のところに戻ってくる.なぜなら,それがこの世界共同社会において実質的な富を創造する唯一の方法だからである. 米国のような貧血症の経済では,成長は規制緩和された金融市場(金利は高いものになる)の金利に追いつくことはできない.利率はたとえば1980年代初期に比較すれば高いようには見えないかもしれない.しかし,最善でも2%のGDP成長率しか持たない経済に対しては高いものになる.さらに,銀行業はますます規制緩和されるようになっているので,1960年代からは平均的に高くなっている.興味深いことに,1965年以来,米国ドルはその価値を80%減価した.このことは何人かの観察者の論点を実証するものである.高金利はFRBが頑迷に主張するようにはインフレーションを縮小しないばかりでなく,実際にはその要因となっている. 今日の状況は1929年と比較してあらゆる観点から見てさらに悪化している.なぜなら,負債の過剰に対する実物経済の価値の比はその当時よりも現在の方がずっと高くなっているからである.当時我々の人口の多くは工場や農場に有給で雇用されていたのだから,米国経済は1920年代には今よりもはるかに整っていた.すでに始まっているのだから,システムが倒壊し始めたのはいつかと問うても始まらない.FRBのデータによれば,M1(消費者の購買のためにもっとも即座に使うことのできるマネー・サプライ部分)がインフレーションの進度に遅れているばかりではなく,過去12ヶ月のうち11ヶ月では実際に減少している事実が何よりもはっきりとこのことを示している.これは生産経済がすでに不況下にあることを意味する.連邦政府は何をすべきかを理解しようとしている.彼らの最大の関心事は外国投資家がドル建て市場から引き上げ始めたということである. 政府の「暴落防止チーム」―公式には大統領の金融市場作業部会として知られる―は彼らが「ソフト・ランディング」と呼んでいるものをエンジニアリングしようとしている.それは蛙をナベで茹でるプロセスに似ている.水の温度を毎日1度づつ上げる.熱は少しづつ上がってゆくので蛙は飛び出さない.やがて,もう遅すぎるということになる.蛙は茹で上がっている.もし,暴落防止チームが成功したとしても,つまり蛙をゆっくり茹でることができたとしても,ドル建て債務の大規模な事実上のデフォルトと米国生活水準の長期退行があるだろう.部内では早ければ2007年12月にも重大な通貨ショックと,場合によっては株式市場の暴落を見ることになりそうだと言われている.どうにも最悪なのは,抵当貸付に連結した証券の重荷を背負った退職基金にロックされた人々である.投資ポートフォリオ全体が一晩で消えてしまうことがあるかもしれない.銀行は,銀行のレバレッジド・エクイティ,ヘッジファンドと共に,少なくともこの世代では最大の火災処分特売を準備している.インサイダーはこれに備えて換金を急いでいる.もし,エンロンが「爆弾」だったと思っているのなら,あなたはこれを見過ごしたくはないだろう. できることは何か? システムには多くの欠陥があるので,本当の変化のための時間は今しかない. 私がこの数ヶ月論文で指摘してきたように,合理的な解決のためのキーは世界がいかに金融業務を運営するかということに関して,今直ちに根本的なシフトにつながる通貨改革を行うことである.それは,私営銀行家の手から世界経済のコントロールを取り上げて,民主的に選出された政府に返すことを意味することになるだろう.私は21年間米国財務省で働き,米国通貨制度の歴史を研究してきた.我国の歴史の多くの部分を通じて,我が国はさまざまな通貨システムの研究所のようだ.南北戦争中,およびその後の期間(1861−5年)我々は経済にエネルギーを供給する5種の異なる通貨の源泉を持っていた.その一つはグリーンバックである.政府が直接支出して経済循環に投入される通貨として著しい成功を納めた.金融資本家のプロパガンダに反して,グリーンバックはインフレ的ではなかった.もう一つは,金と銀の鋳造貨幣であり,財務省紙幣を正金で支持した.第3のものは,国営銀行によって貸し出され循環する紙幣である.4番目のものは保留された収益―個人の預金と事業の再投資利益―これらは産業資本の主たる源泉である.5番目は株式と債券市場である. 1913年に連邦準備法が議会を通過した後,政府と銀行は戦債の発行によって通貨を膨張させグリーンバックと鋳造貨幣の価値のほとんどを破壊した.銀行は資本市場を完全には置き換えなかったけれど,最終的にはレバレッジを使った合併,買収,乗っ取りの現在という時代に至ってそれらを支配した.この間FRBは資産バブルを創造し,またそれを収縮させた. 連邦準備制度を通して経済を支配する銀行システムは今や潰れつつある負債のピラミッドを構築した.このシステムは茶番である.流通を促進する上で役に立つこともある銀行は,このような権力を持つべきではない.下院銀行委員会前議長のライト・パットマン,ヘンリー・ゴンザレス,現在の共和党大統領候補者ロン・ポールを含む多くの知性的な人々がFRBの廃止を求めている.ある人はこのようなプログラムを革命と呼ぶかもしれない.私はむしろそれを国家主権の復権と呼びたい.このプログラムの中心は発券銀行としてのFRBを廃絶し,国民の代表たる議会に貨幣創出の権利を取り戻すことである.それはまた我々の憲法が規定するところでもある.それは1913年以前に我々が持っていたシステムである. 通貨の処方箋 通貨政策の根本的な目的は健康で生産的な経済を保障し個人に十分な所得を給与することであるべきだ.目的は銀行に莫大な利益を得させることやウォール街の詐欺師どもに喰わせるまぐさや,制御不能の政府支出に白地小切手を渡すことであってはならない.注意:私は所得について言及したが,「雇用を創出せよ」とは言っていない.それはケインズ主義者の答えだ.なぜならケインズ主義者は集産主義者であり,集産主義者はすべての人間をもっと働かせることを思いつきがちであるからだ.それが大恐慌の期間に彼らがWPA(大恐慌期の雇用対策局)でやったようにシャベルをちょこっとつかんで溝を掘るみたいなことであっても. それはクリントン大統領が「福祉から労働へプログラム」でやったことである.このプログラムでは何十万もの母親を生活保護該当者名簿から追い出して生活賃金を得られる十分な仕事の存在しない労働市場に投げ込んだ.政府がより多くの資金をコンスタントに借りていたもう一つの理由は,より多くの軍隊,官僚,契約業務を創出することで軍産複合体を刺激することである.所得の問題に戻ろう.「所得」というアイディアは「雇用」とは反対に文明的かつ人間的アイディアである.生産経済が万人にきちんとした生活を提供するためにはすべての人が有給の仕事を必要とはしないということにいつ我々は気が付くのだろう?現代経済の生産性は我々すべての遺産の一部であり,社会的共有の一部であるということにいつ我々は気が付くのだろう? なぜ母親たちは1世代前には可能だったように,子どもたちと一緒に家に居ることを選択できないのだろう.なぜある人たちは老人介護の仕事を選択することができないのだろう?また別の人たちはなぜ教育やアートのような低賃金の職業に付くことができないのだろう?なぜしばらくの間研究に従事したり,旅行したり,あるいは新しいスキルを習得したり,また(今日ではしばしばそうであるのだが)財務的な破滅に直面することなしにビジネスを始めるという選択ができないのだろう?なぜ退職者は求人市場に留まったり,社会保障制度が壊れてしまうことを心配する代わりに彼らの隠居生活を楽しむことができないのだろう? これらのことは通貨改革者たちには何十年もの間知られていたことである.米国内における第一歩は次のようになるだろう. 1) 負債の大規模なキャンセル これらの提案は基本的に単純なものであるが,総合的なプログラムは今日我々が持っている金融資本によって支配されたシステムとは非常に異なるものであるから,それがどのように働くかを正確に理解するためには注意深い読み込みと多大な思索を要する.これにアプローチする一つの方法としては,起こりそうな効果を観察することである.これらの基準は我々の経済の基礎を銀行からの借入から公衆的かつ草の根レベルの直接的な信用創造を含む混合システムに速やかにシフトさせる.政府の規模は縮小されるであろう,我々の生産経済は再生するだろう,負債は減少するであろう,経済民主主義が現実のものになるだろう,そして金融業界は適正規模になるだろう.最後に,国際的状況は安定することが可能になるだろう.なぜなら我々はもはやイラクに対してそうであったように他の国家の資源を掴むために戦争が常態であるように駆動されることがないし,外貨準備のためにドルを買い支える必要もなくなるからである. このようなシステムは自然的財産と国家の生産性を動員するために必要な信用の固有の源泉を創造することによって動作する.このプログラムを実践できる人たちは存在する.このように動作するシステムを米国財務省とFRBに組み込むのなら数ヶ月で片付くだろう.経済民主主義を回復するために実践される根本的な通貨改革こそ21世紀のアメリカの真の仕事は何であるべきかという問いの答えだ.一つだけ確かなことは,米国を破壊し続けている制御不能な金融システムと最後の世代を超えた世界経済はもはや存続を許されていないということだ.どのような結果が展開されるかは,時期を待つ一人のジェファーソン,リンカーン,あるいはルーズベルトがいるかどうかに大いにかかっている.これら偉大なリーダーたちそれぞれの成功はある決定的な要因に依存する.国家的緊急時に貨幣改革を実践する彼らの能力である. リチャード・C・クックは2007年9月1日発売予定の「我々はこの真実を保持する:貨幣改革の希望」の著者である.退職した連邦アナリスト,彼のキャリアは米国人事委員会,食品医薬品局,カーターホワイトハウス,NASA,それに引き続く米国財務省での21年間の役務を含む.彼の貨幣改革,経済学,および宇宙政策に関する論文はグローバル・リサーチ,危機にある経済,反対意見,アリゾナ自由プレス,大西洋自由プレス,その他に発表された.彼はまた,「暴かれた挑戦者:レーガン政権はいかに宇宙時代最大の悲劇を引き起こしたかについてのインサイダーの説明」の著者でもある.彼のウェブサイトはrichardccook.com.彼は土曜日の朝東部時間の午前11時にインターネット・ラジオ themicroeffect.com にしばしば出演する.
米国経済は人工的生命維持装置の上にある
リチャード・C・クック (超訳:馬場英治,2007-07-12)
2) すべての人に就業しているかに関わりなく 1年あたりおよそ1万ドルの所得を保障
3) 全市民に生産経済の利益の正当な分け前として国民生産性で変動する追加的国民配当
4) インフラその他の必要なコストのための課税・借入れに依存しない政府による直接的支出
5) ビジネスと消費者に低利で融資する私的貸し出しの新しいシステムの創造
6) 銀行による投機のための信用創造の禁止を含む金融業の規制復活,レバレッジド・バイアウト,買収,合併,ヘッジファンド,デリバティブなどのために債券を利鞘を取って購買すること
7) 発券銀行としてのFRBの廃絶,国民的財務取り引き手形交換所としての機能は存続