★阿修羅♪ > 雑談専用23 > 145.html ★阿修羅♪ |
Tweet |
(回答先: 胃カメラの検診でポリープがあると言われました。 投稿者 ワヤクチャ 日時 2007 年 3 月 24 日 11:00:15)
小生、私事で恐縮ですが、今から20数年前に胃にポリープあり、という検診結果を伝えられ切除手術を受けました。
胃カメラを呑んで胃の組織をとる、いわゆる精密検査とやらを受けた結果、具合が悪くて何時出血しても不思議のない状態だから、早速切除した方がよいと医師に言われました。ポリープが良性だとか悪性だとかは何も言わず、「胃粘膜下腫瘍」だと言われました。季節は夏か秋のはじめ頃だったように記憶しています。
仕事の都合があるので、正月休みに切除手術を受けたいと申し出て、正月前に胃を3分の2ほど切除しました。小生はいちいち医師に問いただしたりしない性格で、この時も素直に医師の勧めに従いました。ただ最近は胃潰瘍でもあまり切除したりしないのに、薬で治療せずにいきなり切るとは手術の好きな医者もあるものだと、少し疑問に思ったのも事実です。
手術は無事終わり、経過はすこぶる良好でした。麻酔が覚めると「ああ、よく寝たなぁ」とつぶやいてから、ふと集中治療室中の自身の姿に気がついて驚きました。フランケンシュタインの怪物を蘇生させる、あの例の実験を思わせるような自分自身の異常な姿に、です。ドレインといって体内からの汚れた体液を出す穴からチューブは出ているは、排泄用のチューブも出ているは。なんてこったこれは、という感じです。
その次に小生の口をついて出た言葉が、「管を外してくれ。トイレに行く」でした。そばには妻が心配そうについていて、「トイレに行く、言うてますけど無理ですよね」と看護婦(当時)に相談しています。看護婦が「無理ですけど、やってみてだめだと分かれば、納得しますから」と言って排泄用のチューブなどを外してくれました。
小生は、「無理といったな、一泡吹かしてやろう」と集中治療室のベッドから立ち上がり、点滴中なので支柱を押しながらトイレに向かい、無事用を足してベッドに戻りました。それから、もう心配ないからと言って妻も家に帰らせました。手術を屁とも思わん患者が間々いるとは聞いていたが、実際に出くわすのは長い医師生活でも初めてだと、外科部長もすっかり呆れておりました。
以後その日から、毎日階段の昇降などの運動に励み、同じ日に虫垂炎で手術を受けた若者とやはり同じ日に無事退院しました。
最近になって、知人などがガンで死亡することが多くなり、知らせを受けては、「こんなに早くなくなって気の毒だ」とその都度、妻に語っておりました。ある時、妻がきっとした表情でこちらを向き、「あなたは本当に、自分がガンだったことを知らなかったの?40歳過ぎに手術したのはガンだったからよ。それもステージ2から3へ移行する段階だったのよ。若いからあっという間にガンが進行して末期になるというのに、正月前まで忙しいから手術は出来ないなんて言って。入院するまで飲んでいた薬は抗ガン剤だったのよ。人の気も知らないで」とまぁ、こんな風に言いました。
ガンと告知されなければ分からんよ、俺だって。ガンと分かっていればもっと早く手術を受けたよ ― てなことを小生が言うと、「よく言うわよ、日頃姿を見せない身内まで全員勢揃いしているのだから、誰でもガンかもしれない位は思うはずよ」とすっかり呆れ果て、むくれる始末。取り付く暇もありません。
こんな「てんやわんや」が演じられるのも、昔は一切「ガン告知」なされなかったためだと思います。そこへ行くと現在は、本人に「末期ガンです。余命は3ヶ月です」なんてことを告げるらしい。末期ガンで告知通り3ヶ月で世を去った知人が見舞いに訪れた小生に告知内容を語ってくれて、その後、握力の残っている間に君の手をぐっと握らせてくれといって、握りました。
小生は妻に「あなたはガンだったのよ」と言われてから人にはこう言うようにしています。「俺は運が良かっただけなんだ。たまたま手術が間に合う時期にガンが発見されて。医学が進歩しても、まだまだ寿命は運次第なんだ。俺にガン告知せずに手術を勧めた医師は、自分のガンにも気がつかずにもうすでに他界している程なんだからナ」と。